2007年度公募プログラム

Model G8 Youth Summit 2008 in Japan

活動課題(テーマ)

  1. 国際交流・国際理解の促進
  2. 次世代リーダーの成長とネットワークづくり
  3. 学生による市民外交の実践と産官学連携

担当

総合政策学部教授 香川敏幸

実施状況

1.グローバルな課題に関する国家政策担当者としての討議

Model G8 Youth Summit 2008 in Japan(日本語では日本大会と称しているため、以下、本大会)の主要なイベントは、各国の代表団による首脳間および各大臣間会合での討議であった。学生を中心とする若い世代が国家政策担当者として模擬会議を行い、最終的には「共同宣言文(コミュニケ)」という形でグローバルな課題に対する姿勢が発表された。
討議当日に至るまで、アジェンダに関する議論が国内外で行われた。国内では、教授や研究員そして大学院生で構成される、運営事務局から独立した組織「アジェンダ策定委員会」を設置した。国外とは過去のロシア大会・ドイツ大会の参加者の学生を中心に、大臣設定およびアジェンダ策定に関して議論が行われた。争点は当初国内で設定されていた労働大臣と内務大臣と教育大臣というユースらしい提案にするか、代わりに開発大臣や環境大臣を入れる忠実なモデルにするかという点であった。結局、半ば強制的な形で前者の設定により模擬会議は行われた。  共同宣言文は閉会式にて議長国である日本の代表団より発表された。式では、外務省経済局政策課G8サミット班の職員から宣言文に対するコメントをいただくなど、各国代表団にとって政策的な意見交換を行うことができた。

2.文化交流等、その他のプログラム

各国代表団は討議が始まる前日(3月11日)、各国駐日大使館の担当官にブリーフィングに行った(ただし、アメリカ代表団とフランス代表団は大使館との調整ができなかったため、訪問せず)。開会式の後のレセプション、会議の間のコーヒーブレイクおよび食事などでは、各国代表団が非公式な形で交流できる時間であった。3月13日に行われた文化交流イベントでは、日本の伝統的楽器によるオーケストラと、言語表現を超えた演劇を鑑賞した。
産官学連携を意識したパネルディスカッションは、各国代表団だけでなく、一般の来場者にも公開した。これは本大会を認知してもらう意味と、日本における産官学連携の意味を各国代表団に知ってもらう意味を含んでいた。代表団から意欲的に質問が飛び交い、学生と有識者の意見交換の場にもなった。
3月15日は、高校生との対話企画があり、日本の高校生と各国代表団がそれぞれの首脳・大臣に分かれて意見交換を行った。高校生には国際政治の複雑さを知ってもらい、各国代表団には自分たちの経験を次の世代に伝えてもらう、重要なセッションとなった。

成果・目標達成度

1.国際交流・国際理解の促進 ・・・90%

国際交流については、参加者である代表団同士、率先して行っていた。プログラム内でレセプション等の交流の機会を設けたこともスムーズな交流を促進することにつながった。国際理解に関しては、特に海外からの代表団にとって、日本という慣れない環境の中で、本委員会のサポートが行き届いていたとは言えない状況であり、結果として情報共有不足が生じたことは否めない。しかし、本大会を通じて日本に対してあるいは他国に対して新たな発見があったのは事実であるため、90%とした。

2.次世代リーダーの成長とネットワークづくり ・・・70%

政府の見解をどの程度受け入れるべきかといった、まさに現実的な国益とユースとしての独自性のバランスをいかに捉えるか、個人差はあれ、参加者は試行錯誤をしていた。大会後、次年度のG8開催国となるイタリアでの大会開催に向け、各国の有志の参加者がMLやSNSを通して、仕組みづくりの議論に参加している。これらの状況を考えると、ネットワークづくりへの貢献は予想以上であった。点数は参加者への今後の期待も兼ねて、低めに設定した。

4.学生による市民外交の実践と産官学連携 ・・・110%

学生による市民外交は、大会開催前から始まっていた。当委員会で設定したアジェンダに関して、海外の参加者からクレームが来たためである。私たちは議論を1ヶ月ほど続け、本大会では主催側がアジェンダに責任を持つということで落ち着かせることができた。今後、学生間のコミュニケーションが増えることを考えると、市民外交は予想以上に実践されたと言える。
産官学連携については、主にパネルディスカッションで取り上げられたが、各国代表団の理解が深まったという点で評価できる。

4.全体総括

最終日(3月15日)は、高校生との対話企画と閉会式での共同宣言文発表によって、大会の成果を公表した。対話企画では、次の世代へ経験を伝えるべく、高校生を対象に各大臣会合の内容を説明した。共同宣言文は各大臣会合で合意され、各国首脳の承認が得られた文書をすべて統合したものである。巻末には図が付記され、ユースならではの工夫も見られた。 全体としては、様々なオペレーション的な問題が発生しつつも、本大会は関係者全員に「考える」機会を与えたことが最大の収穫であったのではないかと思う。問題の発見をバネに、今後も常に貪欲に問題に立ち向かう姿勢を関係者全員が続けてくれることを願っている。

今後の展望

本大会は今年限りのプログラムであるため、報告を済ませた後の活動は特に予定していない。本大会はG8サミットの模擬会議であるため、来年度の大会はイタリアで行われる予定である。現在、各国代表団による全体の仕組みづくりが行われているが、イタリア大会が開催される目処はいまだにたっていないのが現状だ。
本大会を機に、Model G8 Youth Summitのネットワークの在り方に関する議論が活発化していることは非常に歓迎すべきことである。日本委員会も今後のModel G8 Youth Summitを全面的に支援すべく、内部組織強化等について課題が残っている。

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