2007年度公募プログラム

アーヘン工科大学夏季講座(「Keio-Aachenサマースクール」)

活動課題(テーマ)

ドイツ・アーヘン工科大学の全面的な協力のもと、夏季休業期間中に、全学部・研究科在籍生を対象に、国際的視野に立ち、世界を舞台に活躍する未来先導型人材の育成を目的とした短期在外研修プログラムを新規に開設する。

担当

理工学部長 真壁 利明

真壁 利明このプログラムは、参加者が将来世界を舞台に活躍する人材になるためのきっかけを提供することを目的としています。ドイツの言語・文化・科学技術・社会にじかに触れ、さらに興味を深めてくることを期待しています。

実施状況

ドイツの協定校・アーヘン工科大学との間の長年にわたる相互信頼に基づき、両校間の交流をさらに発展させ、若い学生のための学術教育交流へ展開させることを目的とした夏季在外を2007年7月28日(土)~8月18日(土)にかけてドイツ・アーヘン市で開講した。当初10名から15名を想定していた派遣数に対して、学部1年生から修士課程生にかけて予想を上回る38名からの応募があり、全員を面接した結果20名の学生を選出した。講座の内容は1)ドイツ語によるドイツ語・ドイツ文化研修ならびに2)英語によるエンジニアリング入門研修の二本立てとなっている。

午前中はドイツ語授業が展開された。クラスは既習者と初心者のレベル別に編成され、語学能力に合わせたきめ細やかな指導が行われた。日常生活・社会生活の中で必ず遭遇する具体的な局面・状況がテーマとして扱われ、それぞれのテーマごとにドイツ語の実践的な運用法を集中的かつ効果的に学ぶ事が出来、実際のドイツの文化や生活も効果的に紹介され、学んだドイツ語が定着するよう配慮されていた。 日本に興味のあるアーヘン工科大学の学生達もプログラムに参加した事もあり、授業で学んだ事を実際にドイツ人相手に用いる事が出来、はじめは慣れない様子であった学生達も3日もたつと一生懸命ドイツ語で話す様子が見受けられた。

午後のエンジニアリング入門研修では、工学系基盤分野から抽出されたテーマに関する、最先端で活躍する教授陣による英語での講義と、同校ならではの充実した研究設備を用いた実習など、将来の学生の研究交流を視野に入れた体験学習の機会が提供された。最も印象的であったのは常に学生の目線でコミュニケーションをとりながら講義をする教授陣の姿であり、またそれに応える形で自然と一生懸命講義に取り組んでいった学生達の姿であった。また、同大学で学ぶドイツ人学生達と合同演習や工場見学に行く事により従来の短期在外研修では味わうことの出来ない留学経験を味わう事が出来た。
これらの授業科目と併せて、同校の同世代の学生たちとの市内あるいは近郊都市へのエクスカーション等も企画され、三週間にわたる非常に充実したプログラムであった。

アーヘン工科大学側の受け入れ態勢としては、本サマースクールの運営の為に新たに専門のスタッフが雇用されており、事前のスケジュール調整の段階からプログラム実施中の学生対応に至るまで大変細やかな対応があり、初めての試みであったサマースクールを非常にスムーズに運営する事ができた。また、このサマースクールの開講はアーヘン市においても話題の催しとなり、開会式の様子について等は地元の新聞社も取材に来るほどの歓迎振りであった。サマースクールの様子はアーヘン工科大学のホームページでも報告されている。

成果・目標達成度

本プログラムの目的は、実地演習型の教育を特徴とする本プログラムに参加しドイツ語・英語を使用しながら国際的・学際的なテーマに能動的に取り組むことにより、参加学生が1)国際社会に還元可能な問題意識を抱き、2)国際社会で通用するコミュニケーション能力・自己表現能力を向上させる必要性と、多元的な視点から柔軟に思考することの重要性を自覚し、3)国際人としての個を確立してゆくための貴重な契機、将来グローバルに活躍できる有能な人材たらんとする動機を得ることであった。
ドイツ語講座では、毎日の授業だけでなくドイツ人学生との交流を通じて、語学のスキルのみならず国際社会で活躍する際に肝心と思われる積極的にコミュニケーションを取る姿勢を多くの学生が学び取った。工学分野に関しては、古くから工学の分野でその先導者を多く世に輩出してきたドイツ有数の名門工科大学での第一線で活躍する教授陣による授業を、現地の学生と交わりつつ体験する事がきできた。この様に、参加学生達は滞在期間中を通じてEUで中心的な役割を演じているドイツの言語・文化・科学技術と直に触れ、日本での学生生活だけでは得られなかった問題意識や柔軟な発想を得た。
帰国後に提出された学生アンケートによると、プログラムに対する満足度は大変高く、参加者全員が「このプログラムを他の学生に勧めたい」と回答している。理工学部とアーヘン工科大学との密な協力関係により実現した今回のプログラムであるが、当初に掲げた目標の達成度については上述した通り、大変満足行く結果であったと言える。

今後の展望

今年度のプログラムは初年度にも関わらず、学生の満足度的や運営体制から見ても成功だったと言える。次年度からは、今年度のプログラムをベースに、派遣学生の準備教育を組み合わせ、共同教育指導体制の確立と学習効果の向上を目指す。

具体的にはドイツ語教育に関しては先方のドイツ語担当教員と理工学部ドイツ語教員が緊密に連携して練り上げた教育プログラムに基づき、レベル別クラス編成によるきめ細かい実践的な教育指導を行う。実際に3月17日から19日にかけてアーヘン工科大学からドイツ語教員3名を招致し授業内容に関しての検討を行った。エンジニアリング講座に関しては今年度視察した教員からも、充実した素晴しい内容であったとの意見がよせられているので次年度も継続した内容で実施する予定である。 その他の事項としては、先方の専門分野の強みが工学系基盤分野から抽出されたテーマとなり、また学部生レベルの内容となるので、プログラム参加者は機械系の学部生を中心として選出する案、ドイツ語またはエンジニアリングの分野においての単位化の動き等がある。

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