2008年度公募プログラム

読書交流支援システムの開発と教育的利用実践

活動課題(テーマ)

中学生対象の読書指導授業を補完するためのシステムを開発し、導入する。具体的には以下のことを取り組む。

担当

中等部教諭 江波戸 愼

江波戸 愼本を活用した授業の効果を高める読書支援システムを構築する。参加者が書評を投稿し、他者はその閲覧とコメントができるという円形の読書コミュニティを形成する。中等部版ブックリスト・個別読書量管理機能も持つ。

活動内容

活動内容

  • 1) 洋書・和書の各図書をウェブ上で紹介することで、図書検索を簡易化する。
  • 2) 各生徒の読書記録を管理する。
  • 3) ウェブ上で生徒間の読書交流を促進する。

活動スケジュール

1) 2008年度

(1) 新しくサーバーは購入せず、現在の総合政策学部大岩元教授の研究室で開発したシステム(Interactive Reading Community 以下IRC)をそのまま企業に委託する。

(2) 企業と協同して、新しいシステムを開発する。これまでのIRCは慶應義塾大学や上智大学をはじめとする大学生に照準を合わせていたが、基本的なシステムは変えずに、中等部生に照準をあてたシステムに修正する。

(3) これまでのIRC内のデータは、すべて大学生向けの洋書であったが、新システムでは中学生対象の和書・洋書両方を扱うので、図書データはかなり質的に変化することになる。和書は中等部で現在指導書となっている『読書のすすめ』に収録してある図書をスタートとする利用可能予定であるが、洋書に関しては、英語学習初心者向けのかなり新しい図書データを入力することになる。

2) 2009年以後

企業と共同して、発展的な運用に重きを置く。企業からは様々なメディアを通して、世間に対して宣伝をしていただき、慶應側では紀要・学会等で学術的な場で発表していく予定。また洋書・和書書籍データを追加していく。

活動における効果

IRCの導入によって、以下のような効果が期待できる。
現行IRC (Interactive Reading Community、以後IRC) は、教師対生徒、あるいは生徒対生徒という、いわば従来の個的な線の形のコミュニケーションを越え、参加者(登録者)全体の円の形のコミュニケーションを実現する。その中心・テーマとなるのが読書であり、洋書・和書の読書とその後の交流の場を築きあげていく。

例えば、一冊の課題本に対して、感想の提示をIRC上にするよう指示すれば、その感想は他の参加者にも公開されることとなり、他者の意見を参考にすることで、その本への内容理解がいっそう深まっていく。これは、紙ベースで感想を教師に提出し、各個人に返却されるという従来の型を超越したモデルである。しかも、他者の書いたものを見て、二次的・三次的にIRC上にまた意見を書けるというのも優れたメリットとなる。

また、課題本が自由な場合には、書評の形でレポートさせれば、それがそのまま中等部生版ブックリストとして活用できる。しかも、それを読んだ人がその本の評価を次々と加えていくことも可能である。つまり、いろいろな本の情報を共有できるというコミュニティ機能が働く。実情、他の人がどんな本を読んでいるか、しかもその本の内容がどういう内容であるか、ということを情報として得られるのは、アナログでは友達レベルにとどまるであろう。こういった情報が、いろいろな本にアクセスを得て、生徒はさらにいろいろな本にアクセスするゲートウェイとして重要であると考える。

そして、評価システムとしても活用できる。現在の「読書の時間」では、和書を読んだページ数が評価の基本となっている。また英語の授業で行っている洋書多読では、書籍毎の総単語数を記録させ累積している。これをIRC上で生徒が記録できるようにし、例えば上位の成果を(匿名で)公開するようにすれば、参加者全体のモチベーションアップにつながる。これは現行IRCのリーディングマラソンの考え方と同様のものである。

これらの他にも、ネット上での利点を生かす工夫ができる。例えば、よく読まれている本のタイトルをカウントしたり、また人気の本ベスト10などを随時発表したりすることも、ネット上では素早く反映させられる。また、そういった集計の類は、そのままデータ記録として活用も可能である。

以上のようなシステムを構築することにより、現行の授業内容が断続的になることもなく、その場と時間を離れても、授業と授業を連結する、いやむしろ授業の内容をベースとする一方で、彼らの中でも自然と読書コミュニティが拡がっていくことを期待したい。IRCの導入によって、以下のような効果が期待できる。
現行IRC (Interactive Reading Community、以後IRC) は、教師対生徒、あるいは生徒対生徒という、いわば従来の個的な線の形のコミュニケーションを越え、参加者(登録者)全体の円の形のコミュニケーションを実現する。その中心・テーマとなるのが読書であり、洋書・和書の読書とその後の交流の場を築きあげていく。

例えば、一冊の課題本に対して、感想の提示をIRC上にするよう指示すれば、その感想は他の参加者にも公開されることとなり、他者の意見を参考にすることで、その本への内容理解がいっそう深まっていく。これは、紙ベースで感想を教師に提出し、各個人に返却されるという従来の型を超越したモデルである。しかも、他者の書いたものを見て、二次的・三次的にIRC上にまた意見を書けるというのも優れたメリットとなる。

また、課題本が自由な場合には、書評の形でレポートさせれば、それがそのまま中等部生版ブックリストとして活用できる。しかも、それを読んだ人がその本の評価を次々と加えていくことも可能である。つまり、いろいろな本の情報を共有できるというコミュニティ機能が働く。実情、他の人がどんな本を読んでいるか、しかもその本の内容がどういう内容であるか、ということを情報として得られるのは、アナログでは友達レベルにとどまるであろう。こういった情報が、いろいろな本にアクセスを得て、生徒はさらにいろいろな本にアクセスするゲートウェイとして重要であると考える。

そして、評価システムとしても活用できる。現在の「読書の時間」では、和書を読んだページ数が評価の基本となっている。また英語の授業で行っている洋書多読では、書籍毎の総単語数を記録させ累積している。これをIRC上で生徒が記録できるようにし、例えば上位の成果を(匿名で)公開するようにすれば、参加者全体のモチベーションアップにつながる。これは現行IRCのリーディングマラソンの考え方と同様のものである。

これらの他にも、ネット上での利点を生かす工夫ができる。例えば、よく読まれている本のタイトルをカウントしたり、また人気の本ベスト10などを随時発表したりすることも、ネット上では素早く反映させられる。また、そういった集計の類は、そのままデータ記録として活用も可能である。

以上のようなシステムを構築することにより、現行の授業内容が断続的になることもなく、その場と時間を離れても、授業と授業を連結する、いやむしろ授業の内容をベースとする一方で、彼らの中でも自然と読書コミュニティが拡がっていくことを期待したい。

参加者の声

公募プログラム

中等部 N・R

IRC がはじまるまでは、授業や宿題でだされるから洋書を読んでいた。しかし、始まってからは洋書を自ら読むようになった。インターネットを利用するため、他のことを調べたり動画をみたりするついでにIRC を開ける。リアクション・レポートを作成する際、何をどこに書くかをきちんと欄があるためわかりやすい。そして手書きではなく、感想をタイプできるため楽である。何よりも素晴らしいと思うのは、他の人が書いた感想をもとに次の自分が読みたい本が決められることである。今後はクラスごとではなく慶應義塾全体で和書・洋書、分野を問わず様々な本の批評ができるともっと面白くなるのではないか。


中等部 S・S

IRC は、最初、とても難しそうなものだと思っていましたが、作業は意外に簡単で、ついつい沢山レビューを入れようと、頻繁に本を読むようになりました。IRC の最大の利点は、他人に紹介できて、更にコメントを付けられる所だと思います。これを通じて、自分の読書の幅を広げることができ、自分と好みの本が合う人との交流も図れます。この学習は、ただ単に本を読むだけでなく、その後の感想などを書くことも目的であるので、自分で考える力も必要となります。いかに他人に上手に紹介できるかが焦点となり、それを考えることも一つの学習だと思います。


中等部 N.S

IRC には初めあまり興味がありませんでしたが、ちょっとしたことで僕はIRC に没頭しました。毎日のように英語の絵本を図書室で借りてレポートを投稿した結果、23 冊分のレポートを書きました。このIRC をやることによって、英語に興味を持ちました。真面目なことがきらいな僕にはとてもあっていたと思います。しばらく読んでいると、内容が大分わかるようになり、英語力がついた気がしました。本を読む中で楽しみながら単語や文法も学ぶことができます。これからもIRC と英語の勉強、両方とも頑張って英語が簡単に話せるように、書けるようになりたいです。

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