2008年度公募プログラム

世界の先導者SFC招聘プログラム

活動課題(テーマ)

SFCにおいては慶應義塾創立150年記念事業の一環として「未来への先導者」を育成する「未来創造塾」の創設を検討中だが、その端緒として、世界を先導する選りすぐりのリーダーをSFCへ招聘し、学生を主体に、教員・研究者も加わって、集中的かつ緊密な交流を行う。

 

担当

総合政策学部長 阿川 尚之

主な活動メンバー

総合政策学部准教授 古谷知之
総合政策学部専任講師 秋山美紀
政策メディア研究科修士1年 平尾智明

事務担当部門

湘南藤沢キャンパス事務室

実施状況

本プログラムでは世界的な舞台で比類なき功績を上げ高い評価を受ける、政治・経済・文化・科学などの分野における真の先導者をSFC に招聘し、学生および教員・研究者との集中的かつ緊密な交流を行った。福澤先生のいう「人間(じんかん)交際」を通じて、特に学生の視野を広げ、世界へ雄飛せんとする志を抱かせしめ、独立と共生の能力を兼ね備える「未来への先導者」育成に資する。
具体的には、サンドラ・ディ・オコナー前合衆国最高裁判事を招聘して、2008 年12 月9 日から14日までの間、SFC や三田キャンパスなどで様々なプログラムを実施した。オコナー女史招聘プログラムを「オコナー塾」とよび、オコナー塾に参加する学生14 名を募集した(大学院生1 名、SFC 学部学生12 名、三田学部学生1 名)。
まず、12 月10 日から12 日には、オコナー女史がSFC に2 泊3 日で滞在した。12 月10 日は、オリエンテーション、SFC アゴラへの参加、学生向け特別セミナーを実施したほか、茶道サークルによる茶道体験を実施した。茶道体験では、大学生だけでなくSFC 高校生も参加し、国際交流体験を行った。翌11 日には、午前中に学生諸君とともに鎌倉を訪問し、午後には学部講義科目「外交と戦略」にて講演を行った。SFC では、オコナー女史と学生がともにゲストハウスに滞在して起居を共にした。12 月12 日は都内に移動し、首相官邸、外務省、最高裁を訪問し、伊藤信太郎外務副大臣、竹崎博允最高裁長官などと意見交換を行った。同日、三田演説館において名誉博士号授与式を執り行い、名誉博士の学位を授与した。その後、記念講演とレセプションを三田キャンパス内で行い、法学部や法務研究科の教員・学生などとの交流を深めた。13 日は自由行動日にあて、14 日に帰国していただいた。

成果・目標達成度

本プログラムを通じて、世界の先導者を招聘した滞在型教育研究プログラムの有効性が示せた。このことは、SFC における創立150 年記念事業の一つである「未来創造塾」構想を進める上で、非常に有益であった。
また、当初の成果目標である、人材育成・国際的コミュニケーション能力育成・愛塾心涵養についても、一定の効果を上げることができたといえる。
学生時代に世界の先導者との交流体験を得ることにより、学生の人生や価値観に大きなインパクトを与え、学生が高い志を抱くことができた。世界の先導者の経験を、言葉だけでなく存在そのものによって示してもらうことにより、「独立して生きる力」と「協力して生きる力」の両方を備えた「未来の先導者」たるに必要な能力と人格の育成に資することができた。
世界の先導者との交流により、学生に国際的な知性、教養、語学力とユーモアの重要性を認識させることができた。世界の先導者の母国語による講義やディスカッションを通じて、学生のコミュニケーション能力向上の効果が示された。また、会食や茶道体験などの場面では、互いの文化・価値観の理解を促すことができた。
日本訪問そのものがマスコミの関心を惹起するような世界の先導者招聘によって、塾全体とSFC における創立150 年記念事業の広報効果を高め、認知度を向上させることができた。またそうした広報に触れた学生が、世界の先導者との交流を可能とする義塾とSFC への誇りを抱き、勉学その他の塾生としての活動に、より高いモーティベーションをもって取り組むことができた。

今後の展望

本プログラムの成果を踏まえ、今後、SFC 未来創造塾構想のソフト施策の一つである、滞在型教育研究プログラムを進めていきたいと考えている。特に今回成果を上げたのは、オコナー塾を支えた学生グループである。彼らは、研究会(ゼミ)や学部・学年の枠を超えて構成されているが、全体の準備やロジスティックスなどにも力を発揮してくれた。まさに一つの「ハウス」とでも言うべき一体感を醸成し、本プログラムの成功を支えた。
SFC では現在、未来創造塾の滞在型教育研究プログラムとして、学部1 年生60 名程度を対象に、複数の教員と上級生が指導し、未来の先導者としての全人格的な教育を行うための「ハウス」制度を導入しようとしており、2009 年度以降そのテストランを実施しようと検討中である。このハウス制度を支える上級生グループ(ハウスリーダー)に、オコナー塾参加学生を加え、滞在型教育研究プログラムとハウス制度の試行に発展させたい。

参加者の声

公募プログラム

政策・メディア研究科 平尾智明

私がオコナー塾の企画に参加したのは、義塾に何か貢献したいと思ったからである。阿川学部長から本企画への参加をお誘いいただいた際はすぐに快諾した。私に期待された役割は、社会人経験を有する大学院生として、先生方と学部生スタッフたちとの間に立って、先生方を補佐しつつ学部生たちの仕事を監督することだった。
また、学部生にとっては物珍しい事柄、例えば仕事の管理の仕方やVIP の接遇要領などについては、学部生たちに積極的に教示して、彼らがより多くの社会的スキルを体験できるように努めた。いっぽうで、学部生たちの新鮮さから私が刺激を受けることも多かった。
オコナー塾を通じて私が得た成果は、自分の行動の「シーリング(上限)」がより高くなったように感じられることである。人は他者との交流を通じて進歩する。交流の相手が高いところにいれば、自分もまた高いところまで(たとえ錯覚であっても)行けそうな気になるものである。少なくとも、そのようなモーメンタムは生まれる。本企画においては、オコナー判事をはじめ、義塾の教員・職員の方々、学部生たち、さらには米国大使館員やお寺の住職様など、様々な方と交流を持つことができた。義塾に貢献するとともに、自分自身がこれまでよりもいろいろなことができるような気になっていることが収穫である。

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