2008年度公募プログラム

慶應義塾理工学の歩む道
:科学技術の連鎖革新戦略で世界潮流の先導

活動課題(テーマ)

理工学部矢上キャンパスで拠点形成を進めてきた理工学5分野の21世紀COEプログラム(注1)と、2007年度から開始されたグローバルCOEプログラム(注2)が合同して、拠点形成成果を広く塾内外、国内外にアピールするとともに、今後四半世紀を視野として理工学部・理工学研究科が歩むべき道を議論するシンポジウムを開催する。
開催時期は2008年秋学期とし、慶應義塾創立150年(2008)ならびに理工学部70周年(2009)を記念して、未来先導基金の支援のもと理工学部が企画・実施する。

(注1)
「システム生物学による生命機能の理解と制御」(生命科学分野)
「機能創造ライフコンジュゲートケミストリー」(化学・材料科学分野)
「アクセス網高度化光・電子デバイス技術」(情報・電気・電子分野)
「統合数理科学:現象解明を通した数学の発展」(数学・物理学・地球科学分野)
「知能化から生命化へのシステムデザイン」(機械・土木・建築・その他工学分野)

(注2)
「アクセス空間支援基盤技術の高度国際連携」(情報・電気・電子分野)
「環境共生・安全システムデザインの先導拠点」(機械・土木・建築・その他工学分野)

担当

理工学部長・理工学研究科委員長 真壁 利明

真壁 利明このプログラムは理工学部が進めてきた理工学5分野のCOE(Center of Excellence)拠点形成の成果を踏まえて,理工学部・理工学研究科が歩むべき道を議論するシンポジウムです.大学院生のみならず,ぜひ学部の学生も参加してください。

主な活動メンバー

理工学研究科総合デザイン工学専攻教授 黒田忠広
理工学研究科総合デザイン工学専攻准教授 眞田幸俊
理工学部事務室事務長 渡辺浩志
矢上研究支援センター事務長 佐藤 朋
理工学部事務室事務長付 鈴木太郎
理工学部用度課事務員 大野友義

事務担当部門

理工学部事務室

実施状況

大学院理工学研究科で拠点形成を進めてきた21 世紀COE プログラムとグローバルCOE プログラムが、主に学部生、大学院生を対象に、その成果と進行中の研究活動をアピールするとともに、学外からも講演者を招き、今後四半世紀に理工学部・理工学研究科が歩むべき道を議論するシンポジウムを、以下の3 部構成で実施した。

第1 部 理工学研究科におけるCOE 拠点の研究・人材育成活動ならびに成果

理工学研究科の各COE 拠点への理解を深めるため、まずは総合司会を務める黒田忠広 総合デザイン工学専攻教授から、文部科学省による21 世紀COE プログラムとグローバルCOE プログラムの概要、および慶應義塾大学における採択状況などについて説明された。それに引き続き、理工学研究科における7 つの拠点の担当者から、各拠点での研究や人材育成などについて、これまでの実績と今後期待される成果を中心に報告された。

第2 部 21 世紀の理工学の潮流

第1部の各拠点での活動を踏まえ、まず、真壁利明 理工学研究科委員長から、「21 世紀初めの四半世紀で理工学部・理工学研究科が目指すリノベーション構想」と題する講演が行われた。特に学部生や修士1 年生が、理工学分野で活躍する自身の将来像がイメージできるように、理工学部・理工学研究科の研究・教育の現状、グローバル化の中で今後目指すべき道やその具体策について語られた。その後、富塚誠義 カリフォルニア大学バークレー校教授による講演(「米国における21 世紀理工学の潮流」)、管 暁宏 西安交通大学電子情報工程学院長による講演(「社会の変革と大学の責任」)が行われ、慶應義塾における理工学の現状を、海外の視点から客観的に見つめなおす機会となった。

第3 部 パネルディスカッション

真壁委員長、富塚教授に、土井美和子 (株)東芝 研究開発センター首席技監、國尾武光 日本電気(株)中央研究所 執行役員(兼)中央研究所長を加えた4 名のパネラーと、総合司会の黒田教授によるパネルディスカッションが行われた。「21 世紀の理工学分野の人材の育成」を基本テーマに、“産業界や海外から見た慶應義塾について”、“留学生に対する大学や産業界の取り組みについて”、“博士課程の育成に関して”等、それぞれの立場から大いに語られる一方、求められる理工学分野の人材育成のあり方や問題意識が共有された。参加した学生との活発な質疑応答も行われ、予定時間を大幅に超えた実りあるディスカッションとなった。

成果・目標達成度

当日の来場者は、学部・大学院生を中心に、企業・官公庁関係者など、計400 名以上を数えた。
本シンポジウムを通じて、これから大学院進学を考える学部生に対しては、普段の授業では触れることのできない、「世界トップクラスの教育研究拠点」の活動や成果を、拠点リーダーの肉声を通して伝えることができた。彼らにとって、理工学研究科における教育・研究の具体的な内容を知り、博士課程学生(RA)の活躍を目の当たりにしたことは、今後の進路を考える機会となったと確信する。
また、大学院生にとっては、同じ理工学でも、これもまた日ごろ接点のない、自身の研究分野やテーマとは異なる研究活動の現状を知る好機となった。さらに、アメリカと中国における理工学を取り巻く現状についての講演と、研究開発の最前線で日々活躍されている産業界からの2名を交えたパネルディスカッションでの「人材育成」に関する議論は、未来の理工学を担う大学院生が、自らのキャリアパスを考える上で、多くの示唆を与えることとなった。
学生以外にも多くの企業・官公庁関係者の来場があったが、本シンポジウムを通じて、慶應義塾大学大学院理工学研究科の質の高い研究活動や、高度な理工学人材の育成に対する強い意欲を十分に感じとっていただけたと思われる。
以上のように、本シンポジウムは、大学院理工学研究科で採択された21 世紀COE、グローバルCOEの成果や活動を、海外、産業界の視点も交えながら、まとめて紹介することによって、高度な人材の育成に力を注ぐ理工学部・理工学研究科の現状と、その豊かなポテンシャルを直接学生に訴えかけ、また、こうした活動を産業界ほか学外の方々へもアピールする契機ともなり、大変有意義なプログラムとして終えることができた。
なお、シンポジウム終了後もより多くの方にその成果を伝えるために、講演内容予稿集を発行し、シンポジウムの模様を慶應義塾大学OCW(Open Course Ware)でも配信した。

今後の展望

理工学研究科は、これから大学院進学を考える学部生および未来の理工学を担う大学院生を主な対象として、理工学分野における研究の奥深さ、楽しさや喜びといったものを伝えることを目的に、本シンポジウムを継続実施することとした。2009 年度については、さらに本年度の形式を発展させたかたちで、11 月18 日(水)に「慶應義塾理工学の歩む道」を開催するスケジュールを組んでいる。

参加者の声

公募プログラム

理工学研究科総合デザイン工学専攻 後期博士課程 岩村俊輔

本シンポジウムでは各G-COE プログラムの活動内容だけでなく、産業界の第一線や海外の大学で活躍されている先生方からのお話を聞くことができ大変有意義であったと感じております。私立大学でG-COE プログラムの採択件数が一番であることは本塾のレベルの高さを表しており、世界トップレベルの優秀な研究者を国内外に輩出してきた教育の場で研究できることに誇りを感じました。また世界的な不況の中、若い世代は将来に対して様々な不安を抱えていると思いますが、パネルディスカッションでの若手研究者への「今こそがイノベーションを起こすチャンスである」という言葉は、不安を払拭してくれる強いメッセー ジでした。博士課程育成のためのG-COE プログラムに参画し、産官学多方面から期待されている中で、私たちがイノベーションを起こすのだという自覚が芽生え、日々の研究に対してさらにモチベーション高く向き合えるようになったと思います。

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