2008年度公募プログラム

アーヘン工科大学夏季講座 (「Keio-Aachen サマースクール」)

活動課題(テーマ)

ドイツ・アーヘン工科大学の全面的な協力の下、理工学部・理工学研究科所属の学生を対象に、国際的視野に立ち世界を舞台に活躍する未来先導型人材の育成を目的とした夏季短期在外研修プログラムを実施する。
2007 年度に引き続き、アーヘン工科大学と密な連携の下で、派遣学生の準備教育を組み合わせ、共同教育指導体制の確立と学習効果の向上を目指す。

担当

理工学部長 真壁 利明

真壁 利明このプログラムは、参加者が将来世界を舞台に活躍する人材になるためのきっかけを提供することを目的としています。ドイツの言語・文化・科学技術・社会にじかに触れ、さらに興味を深めてくることを期待しています。

主な活動メンバー

理工学部教授 小茂鳥潤
理工学部准教授 横山由広

事務担当部門

国際センター矢上支部

実施状況

ドイツ・アーヘン工科大学(Rheinisch-Westfälische Technische Hochschule:RWTH)と本塾との、1956年以来の学術教育交流を、若い学生を対象に、さらに拡大・発展させることを目的とした、ドイツ・アーヘン市の同校での夏季在外研修を、2007年夏に、創立150年記念未来先導基金の補助を得て、はじめて実施したのに続き、2008年8月2日~8月23日に実施した。2度目となる今回は、28名の応募者から、書類審査と面接による選考を経て、22名を選抜し、その全員が研修に参加した。
講座の内容は、1)ドイツ語によるドイツ語・ドイツ文化研修、ならびに2)英語によるエンジニアリング入門研修の2本立てとなっている。
午前のドイツ語授業では、参加者は、習熟度別の2クラスに分かれ、個々のレベルに合った、きめ細やかな指導を受けることができた。授業担当者が、特にこの研修のために編んだ、滞在中の現地と日本の双方についての理解の深化と、ドイツ語運用能力の向上を有機的に連関させることに留意した教材が使用された。
授業時間外には、日本に関心のあるRWTH の学生との交流の場が設けられており、参加者は、授業で学んだドイツ語を実地に運用する機会に恵まれた。参加者たちは、日が経つとともにドイツ語で意思疎通することに慣れていった。
午後のエンジニアリング入門研修では、工学系基盤分野から抽出されたテーマに関する、最先端で活躍する教授たちによる英語での講義と、RWTH ならではの充実した研究設備を用いた実習など、将来の学生の研究交流を視野に入れた体験学習の機会が提供された。教員たちは、参加者たちとの意思疎通をはかりながら講義を行ない、それに応える形で、参加者たちも一生懸命講義に取り組んでいった。また、現地の学生たちと共に、演習や工場見学に参加したことは、通常の短期在外研修ではできない、貴重な経験であった。
授業時間外には、RWTH の同世代の学生たちとの、市内あるいは近郊都市へのエクスカーションなども企画された。
今回も、RWTH の国際部スタッフの細やかな心配りのもと、初回以上に研修を円滑に実施することができた。2008年3月17日~3月19日に、RWTH から、授業担当者を含む関係者3名が来塾し、理工学部ドイツ語専任教員と、事前にドイツ語授業の内容を議論した。研修の開会式と閉会式には、就任したばかりのSchmachtenberg RWTH 学長も出席し、閉会式では、学長自ら参加者たちに修了証を授与した。研修ついては、RWTH のホームページでも周知されている。

成果・目標達成度

本プログラムの目的は、参加学生が、ドイツ語・ドイツ文化研修を通じ、異文化理解を深めるとともに、英語による講義と実習を通して、理工学分野の多岐にわたるテーマに接することにより、1)国際社会の一員としての問題意識を抱き、2)広く世界で活躍するために必要なコミュニケーション能力および自己表現能力を身につけることと、多元的な視点から柔軟に思考することの重要性を自覚し、3)将来グローバルに活躍できる有為な人材たらんとする契機を得ることであった。
ドイツ語・ドイツ文化研修については、毎日の教室でのドイツ語授業だけでなく、現地のドイツ人学生との交流を通じて、スキルとしてのドイツ語運用能力のみならず、国際社会で活躍する際に重要な、積極的に意思表示する姿勢を、多くの学生が学び取った。工学分野に関しては、古くから同分野の先導者を輩出してきたドイツ有数の名門工科大学の、第一線で活躍する教授陣による授業を、現地の学生と交流しながら、体験することができた。このように、参加者たちは、研修期間中、EU で中心的な役割を演じているドイツの言語・文化・科学技術にじかに接し、日本国内での学生生活だけでは得られなかった問題意識や柔軟な発想を得た。研修終了後に提出された学生アンケートによると、プログラムに対する満足度は大変高く、参加者の多くが、このプログラムを他の学生に勧めたいと考えている。理工学部とRWTH との緊密な協力関係に基づき実施されている本プログラムは、当初掲げた目標に照らして、じゅうぶん満足できる成果をあげていると言える。

今後の展望

本プログラムは、2度の実施を経て、理工学部の専門教育と外国語・総合教育の両側面を併せ持つ、特色ある有意義な催しとして、定着しつつあり、今後継続とさらなる発展に努めていきたい。理工学部は、2009年度に総合教育科目「ドイツ語・エンジニアリング在外研修」を設置し、本プログラムへの参加を単位認定する可能性を設けて、理工学部生の本プログラムへの参加を支援することになった。なお、本プログラムに参加した2年生2名が、このたび、ドイツの大学への交換留学に応募した。これまで、必ずしも留学することに積極的でなかった理工学部生の、海外で勉学する意欲を喚起するためにも、本プログラムを、今後も継続して実施する意義があると言えよう。

参加者の声

公募プログラム

理工学部 O.N.

3 週間の研修の成果として、ドイツ語に対する意欲と英語に対する危機感を大いに得た。しかし、「外国人と話す」という行為そのものに持っていた抵抗感のようなものは取り払うことができたと思う。
「何かしてくれるのを待つ」のではなく、全て自分から動いて積極的にならないと、このプログラムでは何も得られません。常に自分を律する必要がありますが、やる気のある人にはうってつけのプログラムだと思います。個人的には、是非また行きたいです。


理工学部 R.T.

アーヘンという世界遺産を有する街を歩くだけでも楽しいのに、そのうえ面白いアーヘン工科大、慶應の学生とドイツ語、日本語、英語でコミュニケーションをとる機会を与えられ、全部ドイツ語なのにわかりやすいドイツ語の授業、偉い教授がなんとか僕らが理解できるように話そうとしてくれるエンジニアリングの授業、週末や夕方には近郊のオランダやドイツの街や遊園地、サッカーをしたり、見たり。夕方からプログラムのない日にもドイツ人と誕生会が開かれたり、温泉行ったり、BBQしたり・・・楽しいことばかりでした。


理工学部 T.C.

少しだけドイツ語が話せるようになった。勉強のモチベーションがあがった。Buddy とどんどん積極的に絡んでいくと面白いと思う。下手なドイツ語でも良いから話そうとする姿勢が大事。丁寧に教えてもらえる。お金さえあれば絶対に行くべき。現地の学生と交流できる良い機会です。

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