2008年度公募プログラム

SFC海外フィールドワーク助成制度Ⅱ

活動課題(テーマ)

海外での一定期間のフィールドワークを通じて世界に貢献しうる思考力と行動力を併せ持った有為な人材の養成を目的とした学生プログラムを積極的に推奨し経済的な支援を行う。海外での一定期間のフィールドワークを通じて世界に貢献しうる思考力と行動力を併せ持った有為な人材の養成を目的とした学生プログラムを積極的に推奨し経済的な支援を行う。

担当

環境情報学部教授 ティースマイヤ、リン

ティースマイヤ、リン「未来を先導」することは、国内外の現代問題を経験する人々と共に問題発見・解決の実践をすることです。当助成制度は、現実世界、海外の人々の日常への参加を通じ、グローバルな「未来」がどうあるべきかを考察する機会を与えるものです。

活動内容

SFCでは個人の研究テーマに関連した国内外での実地調査や研究活動を積極的に行なうことができるように、活動を正規科目として認定(フィールド研究A,フィールド研究Bあるいは研究プロジェクト、プロジェクトⅠ、プロジェクトⅡ(看護医療学部設置))し、また成果を最終的に卒業制作として纏め上げることも可能としている。前回(2007年度)の海外での研究活動に限定したプログラムとして開始した「SFC海外フィールドワーク助成制度」の応募、採択状況、活動場所は次の通りであった。

2007年度 応募学生(グループ・個人)数 17グループ、25名
採択学生(グループ数)数 7グループ、11名

(冬期での活動を予定している学生を対象に2次募集を行なう予定。)

海外での研究拠点を全世界対象として公募した結果、応募のあった活動場所は、米国・中近東・欧州・アフリカ・東南アジアであり、学生の研究活動拠点が広範囲に亘っていることを改めて認識した。今後も様々な計画書が提出されてくることが予想される。
具体的な活動内容は以下の通りである。

募集人数:
年間14名まで。(事前に応募のあった研究計画書により選考)
対象者:
国外での研究活動を予定し、フィールド研究(研究会、卒業制作、プロジェクトⅠ、Ⅱを含む)科目を履修する学生。
国外での
研究期間:
原則的に長期休暇期間中の1ヶ月程度。
研究場所:
全世界対象(特に定めず。但し危険地域での活動については、許可できないこともある)。 

<目的>

このプログラムの大きな目的は、SFCの特徴であるフィールドワークを活用し、実際の海外での研究活動により研究成果の向上を図ることを目的としている。

今回の応募プログラムの対象を、「原則個人(内容によってグループ活動も可)且つ研究活動期間限定」とすることで、これまで海外活動に意欲をもちながら、様々な制約の下で実現不可能であった学生層の積極的な研究意欲を喚起し、自らの足を使った研究活動を通じて多くの学生に世界の現状を体験させ、グローバルな視点で地域が直面している現在の問題やその解決策を実践的に観察し、そのプロセスに参加する機会を与えることを目的としている。このことが、学部から大学院に進学し更なる研究活動の継続を望んでいる学生に必要となる、学術的な基盤となることを期待している。また、就職活動を行う学生にとって、このプログラムは単なる海外観光ではなく、海外での深い経験を通してグローバルな問題意識が芽生える機会となり、その後の社会や職場で活かすことも期待している。尚、政府や国際機関(国連など)に就職する学生も少なくないため、こうした経験が非常に貴重なものになると考えている。

現在SFCには学部生を対象に、「長期間、アジアを中心とした地域においてグループでの研究活動を行うこと」を目的とした長期海外フィールドワークプログラムをスタートさせており、今回の応募プログラムは海外研究活動を軸に時間的には対峙的な位置関係にあるが、研究内容によってはそれらプログラムとコラボレイトすることでさらに相互補完的、相乗的な成果をあげることも可能だと考えている。

活動における効果

主に2つのグループが応募してくることが想定される。一つのグループ(a)は国外での現地での研究材料を入手し、その研究に関連する現地の活動を通して研究テーマや研究への視野を深め、実証するために応募してくる学生達で、この学生群は主にフィールド研究を履修科目として申請してくると思われる。この学生群はこのフィールドワークを通じて幅広い視点を養い今後の研究活動にも繋げる効果を期待する。もう一つのグループ(b)は研究会に所属している4年生レベルの学生群で、事実関係の背景や理論をある程度完成させており、その裏づけ、実証のために国外での活動を必要としている。学生達はこうした研究活動の成果を卒業制作、国や塾内外の学会や会議等で発表することが期待される。

上記のいずれも活動終了後に大学側が実施する公開報告会に参加し報告することを義務付ける。既に2007年度の第一回目の報告会を実施したが、すべての学生が貴重な体験を行なった成果が報告されており、今年中に実施する第二次募集の報告会とあわせた報告書を出版する予定でいる。

参加者の声

公募プログラム

環境情報学部 土肥麻緒

私たちは二年の秋学期から中国における格差社会に興味を抱き、財政制度に焦点を当て研究を行っている。しかし、中国においては公表資料が少ないこと、法制度と実態が必ずしも一致しないこと、制度改革が進行中であること等から、日本では中国の最新情報を得ることは難しいと考えた。そこで、このフィールドワーク制度を用いて実際に中国の最先端の研究を行っている研究者の方々にヒアリング調査を実施する必要性を感じ、このプログラムに参加した。
このフィールドワークに参加することで、六人の中国財政制度専門の研究者のお話を伺うことができ、財政制度における問題を再認識することができた。加えて、新たな視点から問題を捉えるきっかけとなった。また、実際に農村に足を運び、同じ市内の格差を視察し農村住民の話を直接伺うことができた。このような経験から研究を継続し、今後の中国の財政制度改革の方向性について考察する


看護医療学部 鈴木詩織

フィンランドは日本より少し小さい国土で、人口500 万人、国土の北半分は北極圏という厳しい気候と大自然の国である。気候と自然と人口等の条件により、情報技術の開発を活発に実施し、情報技術の最先端国となっている。
「高齢者のより良い暮らしのために必要な環境の追求~フィンランドにおける高齢者福祉の現場を通して」と題して、情報技術を用いた遠隔医療と北欧高齢者福祉の研究のため、本プログラムにて、約1ヶ月のフィールドワークを実施した。フィールドワークにて多くの経験と学びを得え、高齢者と交流し現地の高齢者は陽気で元気であると感じた。高齢者は病気や加齢で生活に支障がでてくるが、80代を過ぎでも独居生活を当然とし、自分の意見を持ち続けていた。机上で学ぶだけでなくフィールドワークを行うことにより、多くの人々に出会い、助けられて研究できていることを再認識し今後も研究を深めようと再確認できた。


環境情報学部 山田貴子

今回、このプログラムに参加した目的は2 つあった。
1つ目は、フィリピンのストリートチルドレンを研究対象とし、スポーツが国際協力の現場でどのような可能性を持っているのかを研究することであった。2 つ目としては、体育活動の盛んな聾学校においてスポーツが子どもに与える影響力を測定すると共に斬新な体育のあり方を学び、日本の聾学校との比較、提案を行う事であった。得られた成果としては、すでに2 年間フィリピンにて活動をしてきたため、今回のフィールドワークを通してより現地の人々との絆が強くなったこと、そして今後進む大学院生活での目標がより詳細になったことである。フィールドワークは、1 回限りで何かを見つけたり、問題を解決することは難しいため、このようなプログラムを通して何度も現地へ足を運び、自分の研究、自分の足場、現地の人々との信頼関係の構築をできたことは今後の研究への大きな一歩となったと感じている。

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