2008年度公募プログラム

世界の先導者SFC招聘プログラム

活動課題(テーマ)

海外での一定期間のフィールドワークを通じて世界に貢献しうる思考力と行動力を併せ持った有為な人材の養成を目的とした学生プログラムを積極的に推奨し経済的な支援を行う。海外での一定期間のフィールドワークを通じて世界に貢献しうる思考力と行動力を併せ持った有為な人材の養成を目的とした学生プログラムを積極的に推奨し経済的な支援を行う。

担当

環境情報学部教授 ティースマイヤ、リン

ティースマイヤ、リン「未来を先導」することは、国内外の現代問題を経験する人々と共に問題発見・解決の実践をすることです。当助成制度は、現実世界、海外の人々の日常への参加を通じ、グローバルな「未来」がどうあるべきかを考察する機会を与えるものです。

主な活動メンバー

総合政策学部教授 野村 亨
総合政策学部教授 平高史也
総合政策学部准教授 藁谷郁美
環境情報学部准教授 内藤泰宏
総合政策学部教授 奥田 敦

事務担当部門

湘南藤沢キャンパス事務室 学事(学生支援グループ)

実施状況

夏季・春季の長期休暇中のフィールドワークを行う学部生に研究助成を支給している。
今年度はアメリカ、ドイツをはじめ、イスラエル、コンゴ共和国、チリ共和国など10 カ国に17 名の学生を派遣した。当助成制度では長期休暇前に公募・選考を行う。学生に「海外フィールドワーク計画書」を自身の指導教員の指導の下作成し、提出させる。それを元に当助成制度運営委員会のメンバーが選考し、採用者を決定する。
採用された塾生はフィールドワークを行い、帰国後に報告会での報告および報告書の提出を行う。報告会では採用された学生が一同に会し、報告を行う。報告会の中で運営委員、参加学生からの質疑の時間を設け、ここで得られた指摘を踏まえ、報告書を作成する。報告書は卒論レベル程度を要求し、必ず指導教員の指導を受けてから提出する。提出された報告書は論文集にまとめ、プログラム報告会にて参加者に配布する。
以下に本年度で採用されたテーマを一部挙げる。
「チリにおけるクリーン開発メカニズムプロジェクトの実態と課題」
京都議定書に定められる国際環境協力プログラム、クリーン開発メカニズムをリードするチリ(登録クリーン開発メカニズムプロジェクト件数世界2 位)では、早期から国家指定機関(DNA)を設置し、経済と環境の両立を位置づける政府の積極的な推進により承認体制や開発支援体制が整えられてきた。クリーン開発メカニズム先進国チリの実施プロジェクトや現状の調査を行い、経済的要素だけでなく環境及び開発政策の相互連関や社会的側面からも考察を行うことで、新たな視座を提供したい。
「アメリカのスポーツの社会貢献活動における、マーケティング活用の事例」
米国プロスポーツ組織が社会貢献活動を行う目的を、マーケティングの観点から調査・分析する。今回はニューヨークに拠点をおくスポーツマーケティングに特化したコンサルティング会社であるトランスインサイト株式会社でのインターンを通じ、地域貢献活動をマーケティング対象として活用していたNew Jersey Nets(NBA のクラブ)を対象に、プロ組織が社会貢献活動を行う目的を明確にし、その活動をマーケティングの視点から調査・分析する。

成果・目標達成度

二年目ということもあり応募件数が増え、昨年に比べ研究内容の明らかなレベル向上を実感できた。認知度向上に伴い倍率も上がり、採用を見送らねばならないケースも増えてしまった。熱意ある塾生の期待に応えられない部分があり大変残念ではあるが、当助成採用学生の研究水準が、研究を行う学生の先導となることを期待する。
当助成制度の目標の一つに、SFC の特徴であるフィールドワークを奨励し、研究成果向上を図ることがあげられる。当助成によってより充実したフィールドワークへの支援が実現でき、研究水準の向上に貢献できた。それらが顕著に見られるのが最終学年の研究で、卒論や大学院での研究を視野に入れた学生に長期に亘る調査や遠方地域でのフィールドワークを支援できる点では大変重要な制度として注目された。実際に大学院での研究を視野に入れてフィールドワークを行うケースも多く見受けられ、学生にも注目された制度になりつつある。また、最終学年以外での採用者にとっても大変意義がある。SFC では希望者は研究会に1 年次から参加できるため、低学年時から研究を進めている塾生も存在する。彼らにより高度な研究のチャンスを与えると同時に、最終学年の塾生と同じ場で報告、質疑に参加させることで、他キャンパスにはない刺激的な学びの環境を提供できたのではないかと考えられる。
目標達成に関して。昨年度に比べ、採用者のレベルはかなり上がった。昨年度はフィールドワーク内容が評価できる半面、報告内容や報告書への落とし込みが拙いケースが数件見られたが、今回は運営委員の先生方の協力の下指導を徹底した結果、特徴的で内容の濃い報告が相次いだ。最終学年の学生からは今回のフィールドワークを大学院での研究に繋げる者も増え、「フィールドワークの奨励と研究成果向上」が達成されているケースも見受けられた。中には表彰される学生もおり、先導を生み出すという目標にも一定の結果を出せたのではないか。

今後の展望

今後の展望として、フィールドワーク教育の充実と、慶應義塾全体からの認知度向上がある。
昨年度の課題として、フィールドワーク前後の指導の徹底があった。フィールドワーク自体は興味深いものの、アポイントメントの取り方や、事後の報告、報告書作成等が不十分なケースがあったからである。今年度は指導教員の指導を徹底した結果、採用者全体の研究水準の向上が実感できた。次年度は指導教員と当助成運営委員の連帯を強化し、更なる研究水準の向上を目指したい。今後は運営委員より指導教員に当助成で求められるレベルを伝え、研究内容及び報告書の論文の水準向上に協力してもらえるよう徹底し、当助成採用者の研究水準の底上げを実現させたい。
また、今年度は初めてSFC 以外からの採用者をだした。当助成の知名度はSFC では広がりつつある。事前事後指導の強化で採用者の研究水準の向上を実現し、SFC のみならず慶應義塾での知名度を上げていきたい。最終的にはフィールドワークを学びたい塾生をSFC に呼び込めるよう当助成制度を知らしめていきたい。

参加者の声

公募プログラム

環境情報学部 土肥麻緒

私たちは二年の秋学期から中国における格差社会に興味を抱き、財政制度に焦点を当て研究を行っている。しかし、中国においては公表資料が少ないこと、法制度と実態が必ずしも一致しないこと、制度改革が進行中であること等から、日本では中国の最新情報を得ることは難しいと考えた。そこで、このフィールドワーク制度を用いて実際に中国の最先端の研究を行っている研究者の方々にヒアリング調査を実施する必要性を感じ、このプログラムに参加した。
このフィールドワークに参加することで、六人の中国財政制度専門の研究者のお話を伺うことができ、財政制度における問題を再認識することができた。加えて、新たな視点から問題を捉えるきっかけとなった。また、実際に農村に足を運び、同じ市内の格差を視察し農村住民の話を直接伺うことができた。このような経験から研究を継続し、今後の中国の財政制度改革の方向性について考察する


看護医療学部 鈴木詩織

フィンランドは日本より少し小さい国土で、人口500 万人、国土の北半分は北極圏という厳しい気候と大自然の国である。気候と自然と人口等の条件により、情報技術の開発を活発に実施し、情報技術の最先端国となっている。
「高齢者のより良い暮らしのために必要な環境の追求~フィンランドにおける高齢者福祉の現場を通して」と題して、情報技術を用いた遠隔医療と北欧高齢者福祉の研究のため、本プログラムにて、約1ヶ月のフィールドワークを実施した。フィールドワークにて多くの経験と学びを得え、高齢者と交流し現地の高齢者は陽気で元気であると感じた。高齢者は病気や加齢で生活に支障がでてくるが、80代を過ぎでも独居生活を当然とし、自分の意見を持ち続けていた。机上で学ぶだけでなくフィールドワークを行うことにより、多くの人々に出会い、助けられて研究できていることを再認識し今後も研究を深めようと再確認できた。


環境情報学部 山田貴子

今回、このプログラムに参加した目的は2 つあった。
1つ目は、フィリピンのストリートチルドレンを研究対象とし、スポーツが国際協力の現場でどのような可能性を持っているのかを研究することであった。2 つ目としては、体育活動の盛んな聾学校においてスポーツが子どもに与える影響力を測定すると共に斬新な体育のあり方を学び、日本の聾学校との比較、提案を行う事であった。得られた成果としては、すでに2 年間フィリピンにて活動をしてきたため、今回のフィールドワークを通してより現地の人々との絆が強くなったこと、そして今後進む大学院生活での目標がより詳細になったことである。フィールドワークは、1 回限りで何かを見つけたり、問題を解決することは難しいため、このようなプログラムを通して何度も現地へ足を運び、自分の研究、自分の足場、現地の人々との信頼関係の構築をできたことは今後の研究への大きな一歩となったと感じている。

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