2008年度公募プログラム

高等部生を対象とした異文化交流プログラムの新規開発

活動課題(テーマ)

SFC中高における国際理解教育の拡充を図るための異文化交流プログラムを開発し、実践する。

担当

湘南藤沢中高等部教諭 杉山 諭

杉山 諭多種多様な交換留学プログラムに、多数の生徒が積極的に参加することにより、本校の特色の一つである「異文化交流」を更に充実させ、21世紀に国際社会で活躍できる人材を一人でも多く育成していきたいと考えています。

活動内容

本校では、3か国7校との交換留学プログラムを実施しており、非常に高い教育的効果をあげている。しかしながら参加人数や留学先が英語圏(英・米・豪)に限られているため、異文化交流という視点においては、偏りが見られる。従って、今後は真の国際交流を目指すべく、以下プログラムの開発を行う。

なお本校では、帰国子女の割合が全校生徒の2/5を占めており、帰国生と一般生の間には英語運用能力に大きな格差が見られるため、プログラム開発は、英語の習熟度別に行う。また非英語圏との交流は初の試みとなるため、継続性を重視しながら、少人数ベースで進めて行く。

1.一般生向け短期留学プログラムの開発

非英語圏(韓国・ロシア等)における私立高校との交換留学プログラム立ち上げに向けた、教員・生徒の訪問交流を実施する。ロシアにおいては、ガスプロム社が経営する私立高校との交流を検討中。

2.帰国生向け英国名門私立高校との長期留学プログラムの開発

今年度は、名門パブリック・スクール(Eton College)と名門私立女子高(Perse Girls)との交換留学プログラムの実現に向け、教員・生徒の訪問交流を実施する。

【活動スケジュール】

英国留学プログラム

2008年
6月下旬 Eton校来日
7月下旬 Eton校訪問
2009年
1月下旬 Perse Girls校訪問
2月中旬 Perse Girls校来日

ロシア留学プログラム

2008年
8月中旬 事前打ち合わせのため、訪露(モスクワ)
12月上旬 ガスプロム教育センター訪問

韓国留学プログラム 交流校は、現在選定中

2008年
8月上旬 事前打ち合わせのため訪韓(ソウル)
12月中旬 私立高校訪問

活動における効果

グローバル化が激しく進んでいく中、国際社会に適応できる人材を育成していく取り組みは様々な教育現場において実践されているが、その大部分は英語運用能力の向上という点に絞られて実施されている。本プロジェクトを遂行することにより、英語運用能力の向上は勿論のこと、それに加えて以下の効果が期待できると考える。

(1) 世界共通語としての英語を異文化コミュニケーションのスキルとして習得するには、様々な英語や文化に触れる学習環境を整備することが重要である。非英語圏の高校生と「交換留学」という形で交流することにより、英米以外の様々な英語や文化と触れ合い、異文化コミュニケーション能力が育成・向上すると考える。

(2) アジア圏を中心とする生徒と交流を図ることにより、近隣諸国間における相互理解を深めることができ、これが国際平和・協力を含めた国際理解教育の実践に繋がると考える。

(3) 「慶應義塾」の命名および「社中」という考え方の由来にもなったパブリック・スクールと交流を図ることは、実体験を通して主体的に「慶應義塾の目的」や「福澤精神」を生徒に学ばせる絶好の機会であると考える。また、社会の先導者を多数輩出しているEton校と相互交流を図ることは、本校にとって将来に向けての大きな財産になると思われる。

(4) 海外におけるトップレベルの教育を同世代の仲間と受けることにより、本校生徒が大きな刺激を受けるだけでなく、引率教員の教材研究・授業の実践にも非常に大きな効果がもたらされるものと考える。

参加者の声

公募プログラム

湘南藤沢高等部 神永祐希

『Perse-Keio Exchange Programme』
『イギリスへの留学プログラムがあるから、興味のある人は目を通しておくように…』。そうHR で聞いた時から、これには絶対に参加したいと思っていました。私は10 歳までイギリスで暮らしていたので、私の幼い頃の記憶といえばイギリスでの思い出しかありません。自分の故郷のように感じている国にまた行けるのは、どんな形であっても私にはこの上ない喜びでした。更に今回のプログラムは積極的に授業に参加することが求められる上に、他のプログラムと違ってあまり観光はしないと言われました。これを聞いて、もちろん多少の不安は感じました。何しろ授業は全て英語で行われる上に、留学先のPerse School for Girls はイギリスでも上位に入る優秀な学校だからです。しかも今回が第一回目の交換留学だったのでプレッシャーもあり、何が起こるのか予想も付かない状態でした。しかし、私は不安よりも先に嬉しさが込み上げてきました。帰国してからずっとSenior School に行けなかったことを残念に思っていたので、現地の学校に通えるのは本当に夢が叶うようでした。このように、とにかくイギリスに行きたい!という単純な思いから留学に応募した私ですが、いざ行ってみると、慶應では絶対に感じることや学ぶことのなかった多くのことを体験することが出来ました。
今回のプログラムを通して私が一番強く感じたことは、授業のスタイルがあまりにも違っているということです。Perse では16 歳の時点で自分が受ける科目を選択していて、多くても一人5 教科しか勉強していませんでした。私は近頃学習する意義が見出せない科目に苦戦していたので、自分が習いたい科目だけを習っていた同い年の子たちを少し羨ましく思いました。更に全ての授業が少人数制で、多くても1 クラスに8 人くらいしかいません。つまり、先生との距離もわずか30cm で、いつでも質問することが出来、分からないところは理解するまでとことん付き合ってくれます。歴史などの授業では、生徒と先生が互いに意見を言い合っている場面も多く見られました。これは、一クラス40 人弱の教室では決して見受けられない光景だったので、とても新鮮で興味深かったと共に、自分の学校での授業もこうであったら良いのにと、強く思いました。
このように感じていたのは私だけではなく、一緒に行った先輩と先生も、同じように少人数制のクラスには魅力を感じていたようです。また、留学生の人数も私を含めてたったの2人だったので、先生を交えて学校や授業について沢山意見を交わすことが出来ました。将来に自分が何をやりたいのか、今何をするべきなのか、どうしたらより良い授業環境を作ることが出来るのか、などと沢山のこと話し合い、考えさせられました。留学を終えてみると、心に沢山の疑問が残っていて、これからちゃんと考えなければいけないなと、改めて実感することが出来ました。
もちろんこの他にも留学を通して得たものは沢山ありました。一番大きかったのは、とりあえず英語を使いまくったということです。2週間、ほとんど日本語を話さなかった自分には正直驚きました。先輩や先生と話すときでも、自然と英語が出てきた時はとても不思議な気分になりましたが、まだまだ英語も頑張れるなと自信になりました。また、ホストして下さった方や学校の人達や先生など、多くの知り合いが出来たこともとても嬉しかったです。そして何より、イギリスにいること自体が本当に楽しかったです。学校への道のりにある野原とそこでのんびりと草を食べている馬や羊が見られたり、イギリスにしては珍しく大雪になって積もったり、最後に少しだけロンドン見学をしてBig BenやLondon Eye が見られたりと、イギリスを堪能することが出来ました。
留学は、単に勉強するだけや友達を作れるだけではなく、沢山のことを学び、感じることができる、とても貴重な体験だと思います。Perse-Keio Exchange Programme に参加できたことを、本当に嬉しく思います。また是非他のプログラムにも参加したいです。


湘南藤沢高等部 細田咲彩

『My Treasure』 私は英語を学びたいと思ってこのシンガポール留学に参加しましたがこの留学では英語だけではなくたくさんのことを学ぶことができました。
まず世界には様々な人がいてそれぞれ文化や考え方が違って生活が違うということです。シンガポールには主に華人系とマレー系とインド系と欧米系の人々が住んでいます。その4つの文化は違いがたくさんあります。宗教や話している言葉も違うし食べているもの、食べ方も違います。でもみんなが過ごしやすいように工夫されていました。ほとんどの表示などに英語をはじめとする4ヵ国語が書いてありました。フードコートにはたくさんの種類のご飯がありました。このようにお互いのことを理解しあって生きているのだと思います。自分たちの個性を尊重し活かしつつ協調して生きているのを感じました。私も自分らしく生きていきたいと思わされました。
またナショナルミュージアムに行ったときに日本とシンガポールの第二次世界大戦のときの歴史を学びました。歴史の授業で私はアメリカと日本の戦いで日本が大変な犠牲を被ったことは習いましたが、そのとき同時にシンガポールにも被害を与えていたことは知りませんでした。アメリカと戦うために関係のないシンガポールを巻き添えにしていたと知って衝撃的でした。展示物の中に部屋の広さを示すドアがありました。そこはとても狭いスペースでしたがそこに20~30 人の人がトイレもなしに閉じ込められていたそうです。私はそれを聞いてとても悲しくなりました。あまりにも冷酷で呆然としました。同じ人間同士でそんな残酷なことをしては絶対にいけないと思います。もう絶対にこのようなことが繰り返し起きてはならないと思います。そして私のようにこの事実を知らない人が多いと思いますが日本人は知る必要があることだと思います。
私たちがお世話になったHwa Chong Institution は敷地がとても広くてたくさんの施設がありました。生徒達はとても真面目で勉強も部活も真剣に取り組んでいました。 私たちが寝泊まりしたBoarding School では自習の時間が毎日あってその時間帯は食堂に集まってみんな勉強していました。国が違っても同じように勉強するのだなと改めて思いました。でもたぶん私たちの勉強量とは格が違うのだろうと感じたので私たちももっと勉強しないと世界に置いて行かれてしまうなと思いました。私のホストの子は日本語がとても上手でした。英語と中国語が話せる上に日本語まで話せてすごいなと感心しました。私も英語をもっと話せるようになりたいです。今回の留学ではなるべく英語をたくさん使えるように努めました。はじめの方は聞き取れなかったり伝わらなかったりで笑ってごまかしたりしていましたがだんだんお互いに通じるようになりました。英語で会話ができるとうれしかったし楽しかったです。これを機会に自分の英語力をあげていきたいと思います。
本当にたくさんの経験ができました。英語を使うことだけでなく、人との交流の仕方、礼儀、積極的に自己主張すること、自立することなど普段できない経験もたくさんありました。自分にとって本当に良い糧になったと思います。引率してくださった杉山先生、向こうの学校の先生方、ホストの子たち、送り出してくれた家族、一緒に頑張った留学仲間たちなどたくさんの人に助けられました。みんなに感謝しています。素晴らしい経験のつまった充実した9日間でした。この留学で得たことは私の一生の宝物です。これらの経験を活かしてさらに中身の濃い高校生活にしていきたいと思います。ありがとうございました。


湘南藤沢高等部 山本真倫

『韓国留学へ行って』
私たち4人と先生が教室へ入ると、歓声と拍手が迎えてくれました。さらに、窓から他のクラスの生徒も覗いていて、その歓迎ぶりにとても驚きました。こんなに歓迎してもらえるなんて!大元の日本語科の生徒たちは想像以上に日本語が上手で、まだ1年しか日本語を勉強してないとはとても思えませんでした。みんな積極的で、私はすぐみんなに囲まれて、沢山の話をしました。1番された質問は「嵐好きですか?」「東方神起好きですか?」などのサブカルチャー的なものです。きっとこれが日本語を勉強するきっかけになったのでしょうが、そんなささいなきっかけでも、こんなに一生懸命日本語を勉強してくれているのに感動しました。逆に、自分がハングルを喋れないことが申し訳なくなりました。積極的なのは日本語科の生徒だけではありません。ほかのクラスの生徒も、日本語で「こんにちは」 と挨拶してくれたのです。そして、日本語は喋れなくても、英語でコミュニケーションをとりました。英語のための留学ではないとは言え、実際には英語はとても便利な道具なのであると気づくことができました。
授業は、英語・日本語・体育・ダンス・美術・音楽に参加しましたが、特に興味深かったのは日本語の授業です。外人が日本語を習っている様子を見るのはとても新鮮でした。わからないところを聞かれて教えるのも、意外と的確に説明できず、難しかったです。日本人だとなんとなくで分かってしまうものも、外人からしたら難しいことなのでしょう。また、音楽の授業はハングルだったものの、何を言っているのかだいたいわかりました。「音楽に国境はない」ということを、身をもって理解することができました。このように、授業は朝から晩まででとても長かったですが、貴重な体験が出来たのでとても良かったです。それから、チャングという韓国の伝統的な楽器も教えていただきました。私は6月の長野旅行で小谷太鼓の体験もしたのですが、リズムや音が似ていたように思います。チャングは難しかったですが、たたいたときに心がすっきりとして、楽しかったです。また、チャングを教えてくれたのは大元の生徒だったのですが、日本語科ではなかったので、すべて英語で説明してくれたのです!英語を道具として完璧に使っているのを見て、感動しました。
ソウル市内観光は、日本語の先生の娘さんとそのお友達に案内してもらうのと、ガイドさんのツアーに行くのと、2つがありましたが、どちらも違う楽しみがあって楽しかったです。先生の娘さんのお友達は、日本の大学に留学しているということで、色々な話を聞けて面白かったのですが、ツアーはガイドさんに案内してもらうことで勉強になりました。
ホームステイ家庭では、両親は日本語が全く通じず、妹は聞き取れるが喋れない、という状況でした。挨拶は韓国語を使い、あとは英語を使ったり、ホストの子に通訳をしてもらいながらコミュニケーションをとりましたが、ご家族のみなさんにはとても親切にしていただきました。たとえば、妹さんには、ホストの子が塾へ行っている間に、話し相手になってもらいました。作っていただいたご飯は韓国の伝統的な料理が多く、韓国の食文化を知ることができました。私は辛いものが苦手なのですが、それほど辛くないものも多かったです。ただ、キムチはとても辛いです!とてもおいしくて、ゆっくりと味わって食べたかったのですが、朝は時間があまりなくて急ぎ気味になってしまったことが少し心残りです。本当に、それくらいおいしかったのです!
韓国で過ごした1週間は1日1日が濃く、有意義に過ごすことができました。最初は長く感じていたものの、だんだんと時間が短く感じられるようになっていきました。学校へ行く最後の日は、みんなと抱き合って別れを惜しみました。1週間しかいなかったとは思えないくらいみんなと仲良くなれたのは、みんなの明るい人柄のおかげであると思います。空港でホストファミリーと別れるときは、急に寂しくなって泣いてしまいました。
韓国と日本は国同士で色々な問題を抱えていて、それによって韓国が嫌いだという人もたくさんいると思います。けれど今回韓国へ留学してみて、ひとりひとりはとても親切で、逆に「日本に行ったらみんな親切だった」と言ってくれた人もたくさんいました。国同士の問題があるのは確かですが、ひとりひとりとは友好な関係を築いていきたいです。インターネットでは特に韓国を非難する意見が多いように思えますが、私は自分の経験をもとに、偏見を持たずに生きていきたいです。この韓国留学プログラムも、ぜひ続けて欲しいと思います。

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