2008年度公募プログラム

高等部生を対象とした異文化交流プログラムの新規開発

活動課題(テーマ)

SFC中高における国際理解教育の拡充を図るための異文化交流プログラムを開発し、実践する。

 

 

担当

湘南藤沢中高等部教諭 杉山 諭

杉山 諭多種多様な交換留学プログラムに、多数の生徒が積極的に参加することにより、本校の特色の一つである「異文化交流」を更に充実させ、21世紀に国際社会で活躍できる人材を一人でも多く育成していきたいと考えています。

主な活動メンバー

湘南藤沢中高等部教諭 杉山 諭
湘南藤沢中高等部教諭 北城大樹
湘南藤沢中高等部教諭 久松宏二
湘南藤沢中高等部教諭 窪井素子
湘南藤沢中高等部教諭 主事 尾上義和

事務担当部門

湘南藤沢中高等部事務室

実施状況

2008 年度は、以下4 つの異文化交流プログラムを実施した。

(1) 英国(Eton College)交換留学プログラム(引率教員:杉山)

来日時は、留学生による学校生活のプレゼンテーション、本校生徒とのディベート等を実施し交流を深めることができた。訪問時は、寮生活をしながらEtonian 同様の学校生活を送った後、スコットランドでホームステイを行い、有意義なパブリック・スクール生活を体験した。
来日:2008 年6 月28 日~7 月12 日(参加者:生徒3 名 教員1 名)
訪問:2008 年7 月21 日~7 月31 日(参加者:生徒3 名 教員1 名)

(2) 英国(Perse Girls)交換留学プログラム(引率教員:窪井)

訪問時は、ホームステイをしながらPerse 校の生徒と同様の学校生活を送り、少人数制の授業に積極的に参加した。
来日時は、日本文化の体験を中心に、留学生と在校生の交流を図った。
訪問:2009 年1 月29 日~2 月11 日(参加者:生徒2 名 教員1 名)
来日:2009 年2 月13 日~2 月23 日(参加者:生徒2 名 教員2 名)

(3) 韓国(大元外国語高等学校)交換留学プログラム(引率教員:久松)

訪問時は、ホームステイをしながら大元高校の生徒と同様の生活を送り、実際の学校生活を身をもって体験した。来日は、2009 年7月中旬を予定している。
訪問:2009 年3 月9 日 ~3 月15 日(参加者:生徒4 名 教員1 名)

(4) シンガポール(Hwa Chong Institution)交換留学プログラム(引率教員:杉山)

訪問時は、寮生活をしながらIndependent School の学校生活や様々な異文化交流体験をした。来日は、以下の通り2009 年5 月下旬を予定している。
訪問:2009 年3 月7 日 ~3 月15 日(参加者:生徒6 名 教員1 名)
来日:2009 年5 月26 日~ 6 月1 日(参加者:生徒6 名 教員1 名)
当初はロシアとの交流を予定していたが、相手校との交渉が難航し、急遽シンガポールに交流先を変更した。

成果・目標達成度

本校の帰国子女を対象に実施した2つの英国プログラムでは、オックスフォード・ケンブリッジ大学への進学を視野に入れた生徒達と少人数制のハイレベルな授業に参加し、非常に充実した留学生活を体験することができた。また両校から留学生を受け入れた際には、留学生の授業参加を通じてプレゼンテーションやディベート能力の高さに驚かされ、多くの在校生が刺激を受けた。両校からは留学生の引率時だけでなく、創立150 年記念式典への出席や本校での授業実践のために、2度にわたって教員が来日する等、留学プログラム立ち上げ初年度としては、十分な成果が得られたものと考える。 一方、アジア圏における高校と交流を図ったことにより、様々な言語(欧米以外の英語、中国語、マレー語、ハングル語)を用い、多様な文化(インド・マレー・中国・韓国)に触れ、同世代の仲間と議論を交わし、様々な価値観を共有することができた。特に相互の歴史についてディスカッションをした際には、国際平和や協力の重要性を痛感させられたようである。本プロジェクトは、4つの交流プログラムによって構成されているが、何れも将来国際社会の先導者として活躍するために必要不可欠な、広い視野と豊かな教養を身につける上で、非常に有効なものであったと思われる。

今後の展望

2009 年度は、昨年実施した4 つのプログラムを継続して実施する。2 つの英国プログラムについては、何れも約2週間の訪問であったが、数年後には2~3 か月の長期訪問が実現するように、相手校との交流を進めていく。アジアのプログラムについては、留学生受け入れの際に総合学習(韓国講座)の受講者や第二外国語(中国語)の履修者との交流も積極的に進めていきたい。将来的には、現在本校が交流プログラムを実施している6 か国11 高校から同時に生徒を受け入れ、「高校生サミット」を開催し、国際社会が抱える問題等について議論し合う場を提供していきたい。また生徒間だけでなく、教員間の交流も活発化させるため、相手校での授業の実践も相互に実施していく予定である。

参加者の声

公募プログラム

湘南藤沢高等部 神永祐希

『Perse-Keio Exchange Programme』
『イギリスへの留学プログラムがあるから、興味のある人は目を通しておくように…』。そうHR で聞いた時から、これには絶対に参加したいと思っていました。私は10 歳までイギリスで暮らしていたので、私の幼い頃の記憶といえばイギリスでの思い出しかありません。自分の故郷のように感じている国にまた行けるのは、どんな形であっても私にはこの上ない喜びでした。更に今回のプログラムは積極的に授業に参加することが求められる上に、他のプログラムと違ってあまり観光はしないと言われました。これを聞いて、もちろん多少の不安は感じました。何しろ授業は全て英語で行われる上に、留学先のPerse School for Girls はイギリスでも上位に入る優秀な学校だからです。しかも今回が第一回目の交換留学だったのでプレッシャーもあり、何が起こるのか予想も付かない状態でした。しかし、私は不安よりも先に嬉しさが込み上げてきました。帰国してからずっとSenior School に行けなかったことを残念に思っていたので、現地の学校に通えるのは本当に夢が叶うようでした。このように、とにかくイギリスに行きたい!という単純な思いから留学に応募した私ですが、いざ行ってみると、慶應では絶対に感じることや学ぶことのなかった多くのことを体験することが出来ました。
今回のプログラムを通して私が一番強く感じたことは、授業のスタイルがあまりにも違っているということです。Perse では16 歳の時点で自分が受ける科目を選択していて、多くても一人5 教科しか勉強していませんでした。私は近頃学習する意義が見出せない科目に苦戦していたので、自分が習いたい科目だけを習っていた同い年の子たちを少し羨ましく思いました。更に全ての授業が少人数制で、多くても1 クラスに8 人くらいしかいません。つまり、先生との距離もわずか30cm で、いつでも質問することが出来、分からないところは理解するまでとことん付き合ってくれます。歴史などの授業では、生徒と先生が互いに意見を言い合っている場面も多く見られました。これは、一クラス40 人弱の教室では決して見受けられない光景だったので、とても新鮮で興味深かったと共に、自分の学校での授業もこうであったら良いのにと、強く思いました。
このように感じていたのは私だけではなく、一緒に行った先輩と先生も、同じように少人数制のクラスには魅力を感じていたようです。また、留学生の人数も私を含めてたったの2人だったので、先生を交えて学校や授業について沢山意見を交わすことが出来ました。将来に自分が何をやりたいのか、今何をするべきなのか、どうしたらより良い授業環境を作ることが出来るのか、などと沢山のこと話し合い、考えさせられました。留学を終えてみると、心に沢山の疑問が残っていて、これからちゃんと考えなければいけないなと、改めて実感することが出来ました。
もちろんこの他にも留学を通して得たものは沢山ありました。一番大きかったのは、とりあえず英語を使いまくったということです。2週間、ほとんど日本語を話さなかった自分には正直驚きました。先輩や先生と話すときでも、自然と英語が出てきた時はとても不思議な気分になりましたが、まだまだ英語も頑張れるなと自信になりました。また、ホストして下さった方や学校の人達や先生など、多くの知り合いが出来たこともとても嬉しかったです。そして何より、イギリスにいること自体が本当に楽しかったです。学校への道のりにある野原とそこでのんびりと草を食べている馬や羊が見られたり、イギリスにしては珍しく大雪になって積もったり、最後に少しだけロンドン見学をしてBig BenやLondon Eye が見られたりと、イギリスを堪能することが出来ました。
留学は、単に勉強するだけや友達を作れるだけではなく、沢山のことを学び、感じることができる、とても貴重な体験だと思います。Perse-Keio Exchange Programme に参加できたことを、本当に嬉しく思います。また是非他のプログラムにも参加したいです。


湘南藤沢高等部 細田咲彩

『My Treasure』 私は英語を学びたいと思ってこのシンガポール留学に参加しましたがこの留学では英語だけではなくたくさんのことを学ぶことができました。
まず世界には様々な人がいてそれぞれ文化や考え方が違って生活が違うということです。シンガポールには主に華人系とマレー系とインド系と欧米系の人々が住んでいます。その4つの文化は違いがたくさんあります。宗教や話している言葉も違うし食べているもの、食べ方も違います。でもみんなが過ごしやすいように工夫されていました。ほとんどの表示などに英語をはじめとする4ヵ国語が書いてありました。フードコートにはたくさんの種類のご飯がありました。このようにお互いのことを理解しあって生きているのだと思います。自分たちの個性を尊重し活かしつつ協調して生きているのを感じました。私も自分らしく生きていきたいと思わされました。
またナショナルミュージアムに行ったときに日本とシンガポールの第二次世界大戦のときの歴史を学びました。歴史の授業で私はアメリカと日本の戦いで日本が大変な犠牲を被ったことは習いましたが、そのとき同時にシンガポールにも被害を与えていたことは知りませんでした。アメリカと戦うために関係のないシンガポールを巻き添えにしていたと知って衝撃的でした。展示物の中に部屋の広さを示すドアがありました。そこはとても狭いスペースでしたがそこに20~30 人の人がトイレもなしに閉じ込められていたそうです。私はそれを聞いてとても悲しくなりました。あまりにも冷酷で呆然としました。同じ人間同士でそんな残酷なことをしては絶対にいけないと思います。もう絶対にこのようなことが繰り返し起きてはならないと思います。そして私のようにこの事実を知らない人が多いと思いますが日本人は知る必要があることだと思います。
私たちがお世話になったHwa Chong Institution は敷地がとても広くてたくさんの施設がありました。生徒達はとても真面目で勉強も部活も真剣に取り組んでいました。 私たちが寝泊まりしたBoarding School では自習の時間が毎日あってその時間帯は食堂に集まってみんな勉強していました。国が違っても同じように勉強するのだなと改めて思いました。でもたぶん私たちの勉強量とは格が違うのだろうと感じたので私たちももっと勉強しないと世界に置いて行かれてしまうなと思いました。私のホストの子は日本語がとても上手でした。英語と中国語が話せる上に日本語まで話せてすごいなと感心しました。私も英語をもっと話せるようになりたいです。今回の留学ではなるべく英語をたくさん使えるように努めました。はじめの方は聞き取れなかったり伝わらなかったりで笑ってごまかしたりしていましたがだんだんお互いに通じるようになりました。英語で会話ができるとうれしかったし楽しかったです。これを機会に自分の英語力をあげていきたいと思います。
本当にたくさんの経験ができました。英語を使うことだけでなく、人との交流の仕方、礼儀、積極的に自己主張すること、自立することなど普段できない経験もたくさんありました。自分にとって本当に良い糧になったと思います。引率してくださった杉山先生、向こうの学校の先生方、ホストの子たち、送り出してくれた家族、一緒に頑張った留学仲間たちなどたくさんの人に助けられました。みんなに感謝しています。素晴らしい経験のつまった充実した9日間でした。この留学で得たことは私の一生の宝物です。これらの経験を活かしてさらに中身の濃い高校生活にしていきたいと思います。ありがとうございました。


湘南藤沢高等部 山本真倫

『韓国留学へ行って』
私たち4人と先生が教室へ入ると、歓声と拍手が迎えてくれました。さらに、窓から他のクラスの生徒も覗いていて、その歓迎ぶりにとても驚きました。こんなに歓迎してもらえるなんて!大元の日本語科の生徒たちは想像以上に日本語が上手で、まだ1年しか日本語を勉強してないとはとても思えませんでした。みんな積極的で、私はすぐみんなに囲まれて、沢山の話をしました。1番された質問は「嵐好きですか?」「東方神起好きですか?」などのサブカルチャー的なものです。きっとこれが日本語を勉強するきっかけになったのでしょうが、そんなささいなきっかけでも、こんなに一生懸命日本語を勉強してくれているのに感動しました。逆に、自分がハングルを喋れないことが申し訳なくなりました。積極的なのは日本語科の生徒だけではありません。ほかのクラスの生徒も、日本語で「こんにちは」 と挨拶してくれたのです。そして、日本語は喋れなくても、英語でコミュニケーションをとりました。英語のための留学ではないとは言え、実際には英語はとても便利な道具なのであると気づくことができました。
授業は、英語・日本語・体育・ダンス・美術・音楽に参加しましたが、特に興味深かったのは日本語の授業です。外人が日本語を習っている様子を見るのはとても新鮮でした。わからないところを聞かれて教えるのも、意外と的確に説明できず、難しかったです。日本人だとなんとなくで分かってしまうものも、外人からしたら難しいことなのでしょう。また、音楽の授業はハングルだったものの、何を言っているのかだいたいわかりました。「音楽に国境はない」ということを、身をもって理解することができました。このように、授業は朝から晩まででとても長かったですが、貴重な体験が出来たのでとても良かったです。それから、チャングという韓国の伝統的な楽器も教えていただきました。私は6月の長野旅行で小谷太鼓の体験もしたのですが、リズムや音が似ていたように思います。チャングは難しかったですが、たたいたときに心がすっきりとして、楽しかったです。また、チャングを教えてくれたのは大元の生徒だったのですが、日本語科ではなかったので、すべて英語で説明してくれたのです!英語を道具として完璧に使っているのを見て、感動しました。
ソウル市内観光は、日本語の先生の娘さんとそのお友達に案内してもらうのと、ガイドさんのツアーに行くのと、2つがありましたが、どちらも違う楽しみがあって楽しかったです。先生の娘さんのお友達は、日本の大学に留学しているということで、色々な話を聞けて面白かったのですが、ツアーはガイドさんに案内してもらうことで勉強になりました。
ホームステイ家庭では、両親は日本語が全く通じず、妹は聞き取れるが喋れない、という状況でした。挨拶は韓国語を使い、あとは英語を使ったり、ホストの子に通訳をしてもらいながらコミュニケーションをとりましたが、ご家族のみなさんにはとても親切にしていただきました。たとえば、妹さんには、ホストの子が塾へ行っている間に、話し相手になってもらいました。作っていただいたご飯は韓国の伝統的な料理が多く、韓国の食文化を知ることができました。私は辛いものが苦手なのですが、それほど辛くないものも多かったです。ただ、キムチはとても辛いです!とてもおいしくて、ゆっくりと味わって食べたかったのですが、朝は時間があまりなくて急ぎ気味になってしまったことが少し心残りです。本当に、それくらいおいしかったのです!
韓国で過ごした1週間は1日1日が濃く、有意義に過ごすことができました。最初は長く感じていたものの、だんだんと時間が短く感じられるようになっていきました。学校へ行く最後の日は、みんなと抱き合って別れを惜しみました。1週間しかいなかったとは思えないくらいみんなと仲良くなれたのは、みんなの明るい人柄のおかげであると思います。空港でホストファミリーと別れるときは、急に寂しくなって泣いてしまいました。
韓国と日本は国同士で色々な問題を抱えていて、それによって韓国が嫌いだという人もたくさんいると思います。けれど今回韓国へ留学してみて、ひとりひとりはとても親切で、逆に「日本に行ったらみんな親切だった」と言ってくれた人もたくさんいました。国同士の問題があるのは確かですが、ひとりひとりとは友好な関係を築いていきたいです。インターネットでは特に韓国を非難する意見が多いように思えますが、私は自分の経験をもとに、偏見を持たずに生きていきたいです。この韓国留学プログラムも、ぜひ続けて欲しいと思います。

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