2009年度公募プログラム

野外に飛び出せフィールドワーク “慶應義塾 夏の学校 2009”

担当

法学部教授 秋山 豊子

秋山 豊子教室を飛び出して、野外で自分の目で生き物と環境を学ぶプログラムです。見る眼と環境への意識を発達させます。少しハードだけれど、楽しく学びたい生徒・学生のための「慶應義塾 夏の学校」です。学部生向けの西表島実習と一貫校連携の真鶴臨海実習があります。

活動内容

目的、背景

この活動は、慶應義塾の実学を重んじる「学塾」の精神にならい、一貫校の生徒と全学部の学生に、基金の支援によって野外でその環境の特色ある動植物に触れる機会を与えるものである。その体験を通して生物と地球環境への関心と理解を育むとともに、観察から問題発見、解決へ導く実施能力、説明発表能力など、問題解決への総合能力を開発し、未来を先導する人物を育成しようとする。内容的には2つの野外実習と1つの公開講義がある。

内容、成果

1.一貫校・大学生合同の臨海実習 (横浜国立大学教育人間科学部理科実習施設;真鶴)
2009年8月21-23日、普通部生9名、中等部生1名、志木高生4名、大学生5名、引率教員6名が参加した。4班に分かれて、引率教員も加わり、テーマの設定、採集、実験方法、まとめ方などを話し合いながら進めた。異年齢のグループが起居をともにし、ともに学び、教えあい、食事も自分達で分担して準備・片づけを行った。和気藹々とした義塾の本来の学塾たる雰囲気の中で実習が進められた。最終日に班毎にプレゼンと質疑応答を行った。実習後のアンケートでは、異年齢による団体行動が楽しかったとの感想が多数寄せられた。

2.西表島野外実習 (琉球大学熱帯生物圏研究センター西表研究施設;沖縄・西表島) 
7月30日より8月3日まで4泊5日の日程で、学生15名、引率教員4名で実施した。4班に分かれて、班毎にテーマの設定、現地での動植物の調査、毎日の観察結果や個別テーマのまとめなどを進めた。マングローブ林では腰まで水につかりながら歩き、カヌーでマングローブ林を観察し、亜熱帯林で覆われた山地を分け入って特徴的な植物や昆虫、地形を観察し、サンゴ礁の海で潜り、実験所周囲(昼間と夜間)や星の観察も行った。夜間の生物観察、鳩間島での豊年祭の見学も行うことが出来た。最終日にプレゼンをし、後日レポートとアンケート・感想文を記した。下記の紀要に参加者の長文の感想がある。

3.マングローブ林と環境問題に関する公開講座(琉球大、馬場繁幸教授による講演会) 
熱帯・亜熱帯地域にある世界各国の温暖化とマングローブ林の問題について講義された。学生は八重山諸島の黒糖を味見したり、多くのマングローブ林の木材や種子などの実物に触れたりしつつ、マングローブ林から環境問題を考える問題提起を聴講した。約130名の学生の参加があった。
2つの実習は、横浜国大と琉球大の両施設の関係者の多大な協力と連携により行われた。心より謝意を表します。詳細は2010年3月の日吉紀要自然科学編47号(下記)に報告した。

参加者の声

公募プログラム

普通部2年

僕にとってこの「夏の学校」は2回目でした。前回はニシキヒザラガイの色について考えました。とても楽しくて、今回はどのようなことを研究できるのだろうかとワクワクしていました。今回はカイヤドリヒラムシについて考察しました。前回よりさらに充実した2泊3日を過ごせたと思います。その理由として、高校生・大学生の先輩方がいろいろと気づかって下さったからだと思います。


文学部1年

西表島という巨大な生態系で包み込まれたフィールドの中で、実際に、見て、感じて得られる感動は言い尽くせないものでした。美しい自然の島という様相を呈する一方で、ゴミ問題、エネルギー問題という社会問題も凝縮されているので、問題意識さえ持てば、本当に何でも学べる環境が整っていました。大学を卒業して社会に出た後も、法律面、経済面など、どの分野からでも環境保護への携わり方があるという視野を得ることができたように思います。マングローブ林や虫や魚、植物などのエキスパートだった先生方、宿舎や操船、案内の人たちのサポートがあってこその実習だったと思います。本当にありがとうございました。初めての沖縄で素敵な思い出ができました。

未来先導基金の取り組みにご賛同していただける方はこちらをご覧ください。

ご賛同いただける方はこちら

ページの先頭に戻る