2009年度公募プログラム

宇宙授業の継続とサンプルリターンミッション(JAXA)の実施-Ⅱ

担当

女子高等学校教諭 小林 秀明

小林 秀明未来先導基金に採択されて3年目になりました。今年度は日本を飛び出して、アジア諸国の人々とネットを通して宇宙授業を展開してみたいと思っています。

活動内容

目的、背景

本校では2004年度より定期的に講師を招いて『宇宙』をテーマとしたユニークな授業(以下「宇宙授業」)を行っている。2007,2008年と未来先導基金の援助を受け,新企画の「宇宙授業」を展開してきた。また,2008年3月には,土井宇宙飛行士によってサンプルリターンミッション(JAXA)用の試料が,国際宇宙ステーション(ISS)の日本のモジュール「きぼう」の船内格納庫に運び込まれ,2009年度は本格的なサンプルリターンミッションの準備が整った。

【第12回】「はじめて裸で宇宙空間に出た動物,クマムシとは?」(平成21年6月29日)

演者:鈴木 忠氏(慶應義塾大学医学部)
場所:慶應義塾大学三田キャンパス「北館ホール」
内容:医学部生物学教室の鈴木 忠さんは,クマムシ(緩歩動物門)研究の第一人者。実はこのクマムシ,2007年の欧州宇宙機関(ESA)の実験では真空の宇宙空間にさらされても何匹かが生き残ったという超タフな動物。普段はコケの中に生息し慶應のキャンパス内でも普通に見られ,さらに乾燥に非常に強いという特徴を持っている。このようなクマムシの生態を多くの映像で紹介してくださった。授業の最後には,コペンハーゲンに留学中のお話などをお聞きした。

【第13回】「地球生命は宇宙から来た!? ~「しんかい6500」で見た生物世界と火星探査機フェニックス~」 (平成21年11月18日)

演者:山根一眞氏(ノンフィクション作家・獨協大学特任教授)
場所:慶應義塾大学三田キャンパス「北館ホール」
内容:冒頭,山根さんはステージを右に左に歩きながら,特に科学技術の重要性について高校生たちに話してくださった。引き続いてアマゾンでの調査から宇宙開発(火星探査)・宇宙産業・小型衛星の製作まで,静止画や動画を交えながらぐんぐん聴衆をひきつけた。映像はしんかい6500の1000回目の潜航に同乗されたシーンに移り,山根さんの鼓動が聞こえてくるような臨場感にホールが包まれた。

【第14回】「心の宇宙」 (平成22年2月25日)

演者:藤木太郎氏(シンセサイザー奏者,作曲家)
場所:慶應義塾大学三田キャンパス「北館ホール」
内容:授業前日の夕方,藤木さんはご自宅の大阪より大切なシンセサイザーを積んで車で来られた。シンセサイザーは,業者に任せずご自分で運ぶという信念からだ。授業当日,ご同行いただいた映像担当の岡田綱一さん,宇宙講和読み手の安井有里さんらと午前中から念入りなリハーサルが続く。開演と同時に北館ホールには美しい映像とともに音楽が流れる。超満員の聴衆はヒーリング音楽に癒されていった。藤木氏のメッセージとともにアンコールを入れて全10曲があっという間に流れていった。

【月探査ナショナルミーティングへの参加】(平成22年4月3日)

場所:有楽町朝日ホール
内容:宇宙飛行士若田光一氏,前原宇宙開発担当大臣を迎え,月探査への意見やアイデアを,学生を中心に討論した。本校生徒は,壇上で討論参加メンバーの一員として意見を述べた。東洋でも西洋でも人間は夜空を眺めてきたが,特に日本文化の中で月の占める意味は深い。日本の先端技術と日本らしさをどのように融合するのかがメインテーマとなった。司会をつとめられた山根一眞氏が,マイクをもって壇上を移動しながら多くの学生達から意見を引き出した。

参加者の声

公募プログラム

女子高等学校2年

クマムシという名前だけ聞いたときはどんな生物か全く想像がつかなくて,他の昆虫と同じような見た目かと思っていましたが,映像を見てすごく愛着がわきました。かわいらしい熊といった感じで,とてもかわいらしかったです。乾燥しても縮んで耐えてまた水を加えたら元に戻るというのは普通の動物にはできないことで,それが簡単にできてしまうクマムシはすごいと思いました。クマムシとは関係ないのですが,見せていただいたデンマークの写真がすごくきれいでいつか行ってみたいと思いました。


女子高等学校2年

今日,山根さんがお話してくださった内容はすべて興味深くて楽しいもので、私のイメージとは全くちがっていました。一番印象的だったのは、宇宙と深海という全く別の場所にあるものが、実は何十億年前からつながっていたのだ、というお話です。しかも,もしかするとわたしたちの祖先は火星から来たかも知れない。そう考えると体の中から今まで眠っていた微生物が生まれるような不思議な気持ちになりました。宇宙と海と私たちは遠い昔からつながっている。いつか胸を張って紹介できるような、地球環境を守っていきたいと思います。


女子高等学校2年

今回の演奏は、シンセサイザーの奏でる音色はもちろん、一緒に映し出される映像もとても幻想的で印象に残りました。誰かを想うこと、誰かに想われることは、たしかに簡単で当たり前のようにすることであるけれど、本当に素晴らしいことなんだと今回の演奏を拝聴して改めて感じられました。音楽というかたちのないものを通して、人の心という、もうひとつのかたちないものをきれいにできる、藤木さんのような方が本当に素晴らしく思います。

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