2009年度公募プログラム

アジア・ヘルスケア体験型学習支援プログラム

担当

看護医療学部准教授 小池 智子

活動内容

目的、背景

2000年に国連ミレニアム宣言が採択され、最も国際社会の支援を必要とする喫緊の課題に対して8つのミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs)が示された。保健セクターの目標は、子どもの死亡率削減、妊産婦の健康の改善、HIV/AIDS、マラリアなどの疾病の蔓延防止の3つであるが、東南アジア諸国では自国の力だけではその達成が容易ではなく、国際社会の援助や協力がますます重要になっている。

このような開発援助の潮流を背景に、国際保健に関心が強く、将来、援助活動に従事することを目標にしている学生が増えているが、サークルや個人の活動では東南アジアでプライマリヘルスケア(PHC)を学ぶ拠点となる医療機関等の確保が難しい上、安全面の問題も大きい。そこで、アジア諸国における学部生の学習活動の充実をはかることを目的に、ラオス人民民主共和国を活動拠点としたPHCの体験型学習支援プログラムを開発した。

内容、成果

1.ラオス国の保健セクター開発課題

ラオスは、ASEAN諸国の中で最も開発が遅れている国のひとつであり、貧困や教育、医療保健セクターでの多くの開発課題を抱えている。5歳未満の小児死亡率や、妊産婦死亡率はとりわけ高く、主な病気・死亡原因は依然としてマラリア、急性呼吸器感染症、下痢などの感染症である。MDGsの達成に向けて、母子保健と感染症対策、医師や看護師等の医療専門職者の教育・養成や医療技術支援が求められている。

2.プログラム参加者

10名(1年6名:2年生1名:3年2名:4年1名。参加希望者が多かったため書類選考を実施)。A型肝炎・破傷風・狂犬病の予防接種を受け研修に臨んでいる。

3.プログラム内容

  • 1)「アジア・プライマリヘルスケア活動講座(9回)」(2009年12月5日~2010年2月6日)
  • 2)ラオス・プライマリヘルスケア研修

(1)研修期間:2010年3月2日~3月11日(10日間)
(2)研修機関:<ビエンチャン市>:JICAラオス事務所、ラオス保健省(保健セクター事業調整機能強化)、看護助産人材育成強化プロジェクト、ナートーン村、ナーカー・ヘルスセンター、ナーサイトーン郡病院・郡保健局、母子保健病院、セタテラート病院、<サワナケット県>:サワナケット県病院、ウートンポン郡病院・郡保健局、サワナケット保健学校
(3)研修内容
JICAラオス事務所で、ラオスの保健政策と保健状況、現時点でのJICAの協力活動とボランティア事業概要の説明を受けた後、各プロジェクトおよび医療機関・教育機関等で活動している海外青年協力隊(JOCV)、シニアボランティアを訪問し、見学・インタビューを行った。

参加者の声

公募プログラム

看護医療学部1年

ラオス研修を通じて強く感じたことは、現場を知ることの大切さでした。発展途上国の保健医療については日本に入ってくる情報が決して多いとはいえず、実態がつかみにくいという現状があるように思います。実際にラオスに出かけてみて初めて知ることもとても多く、驚きや発見の連続でした。現場に出かけてゆき、保健医療についてはもちろんのこと、そこにある生活や文化といった背景まであわせて知ることが、国際保健や援助を考える上でいかに重要であるか、身をもって知ることができました。また他の参加メンバーと意見を交換しあうことができたのもこの研修の大きな収穫でした。


看護医療学部1年

途上国には感染症や高い乳児死亡率など多くの医療に関する問題がある。ラオスの病院や保健学校を見学し、日本では助けられるはずの命がラオスでは医療技術や金銭面の理由から救えないという現実を知った。技術や資源がない中で命を救うためには、先進国からの技術や資金などの援助が必要である。現地の人々のニーズを確かめ、その国の特徴や強みを活かし、住民が主体となって活動できるよう援助することが大切であると学んだ。一方、村では言語や文化、生活スタイルの違いが大きく、途上国で継続的に活動することの難しさも感じたが、今、私達にできる援助をしなければ、途上国の問題は解決できない。様々な困難があると思うが、私は将来看護師として国際協力活動に従事できるように勉強していきたい。

未来先導基金の取り組みにご賛同していただける方はこちらをご覧ください。

ご賛同いただける方はこちら

ページの先頭に戻る