2009年度公募プログラム

ヨーロッパ諸大学短期留学型研修プログラム

担当

総合政策学部教授 平高史也

平高史也本プロジェクトはドイツ語、フランス語を駆使し、ヨーロッパをフィールドとした問題発見と解決に取り組める学生の育成を目的とします。全塾一体となって、日本ではまだ少ないヨーロッパに対する的確な視点を持った人材の輩出を目指します。

活動内容

目的、背景

国際舞台で活躍するためには、母語と英語だけではなく、第3の言語の能力が求められる。本プログラムでは、日本ではまだ専門家が不足しているといわれるヨーロッパをフィールドとして、ドイツ語、フランス語の高度な能力を駆使して、現代ヨーロッパの諸問題と取り組むことのできる人材の育成を目的とする。
そのため、ドイツ、フランスの大学を拠点として、一人一人の学生が各自のテーマに関連するフィールドワークを行うという短期留学型のプログラムを実施する。本プログラムは、約1年の滞在を前提とした交換留学とも、外国語能力の向上を目的とした語学研修とも異なり、外国語能力を活かした海外のフィールドワークを通じて専門研究を進める能力の養成を目指す。いいかえれば、従来行われている語学研修を超えた、より高く、より深い、未来先導型の研修である。
近未来の日本に求められるヨーロッパに強い人材の育成を全塾レベルで推進すれば、創立150年を迎え、より高い段階への飛躍が期待される本塾としても、社会的要請に十分に応えるものとなろう。

内容、成果

 前年度に引き続き、2年目の今年度は、対象学生を湘南藤沢キャンパス(SFC)から、慶應義塾全体へと拡大した。その結果、昨年度はSFC所属の学部生8 名(フランス語4名、ドイツ語4名)を派遣したが、今年度は17名(フランス語8名、ドイツ語9名8組)を選抜、派遣した。所属は文学研究科2名、社会学研究科1名、法学研究科1名、文学部1名、法学部2名、経済学部2名1組、総合政策学部3名、環境情報学部5名となり、研究テーマも、外交、社会問題、移民政策、環境、都市問題、経済、現代アート、ファッション、サブカルチャー、言語教育、音声、ドイツ語学習、地方文化、音楽、若者文化、ユニバーサルデザインと多岐にわたるものとなった。
 選抜の主たる基準は、前年度に引き続き、フィールドワークを行うに足るフランス語・ドイツ語運用能力を備えているか、具体的な研究テーマをもっているか、その研究を充実させるために、現地での調査、インタビューが必要かどうかという3点である。
 以上の基準によって選抜された学生は、渡航前に、まず事前発表会で研究計画を発表した。ここで複数の教員からアドバイスを受け、調査対象や、インタビュー項目を具体的に絞り込んだ上で、夏季休暇および春季休暇を利用して現地での調査を開始した。現地では、パリ第7大学やハレ大学の日本語学科の学生がTA(ティーチング・アシスタント)としてサポートし、それによってフィールドワークだけではなく、現地の学生とも交流を深める機会を作った。
 帰国後は、成果発表会を行い(春季休暇にフィールドワークを行った学生は新学期に発表会を予定)、研究成果を発表するとともに、今後の研究の進展について、複数の教員からアドバイスを受けた。各人のテーマと詳しい研究成果については本年5月に発行する予定の報告書を参照されたい。

参加者の声

公募プログラム

環境情報学部4年

自然環境保護を軸に、生物多様性および管理面からのアプローチを試みている。管理の必要性が問われながらも担い手の問題は絶えない。生息地の確保を目的とした実践的な管理手法を検討するために、一度失われた河川の再生を手掛ける「河川の里親制度」をルール地方にて調査した。現場を見て、実質を問うことができたのは貴重な経験である。この経験を踏まえて、大学院での研究や言語の壁を越えた活動につなげてゆきたいと考える。


社会学研究科社会学専攻後期博士課程

私は、本プログラムで、「フランス人カテゴリーの構築と使用」というテーマでフランスでの現地調査の機会を与えていただき、個人インタビュー及び関係機関への聞き取りを行いました。海外での調査には費用がかかりますし、調査の成功には綿密な計画と実行の意志も必要です。同プログラムは、資金面での援助はもちろん、事前・事後の報告会、調査成果報告書執筆など、充実した調査を行うためのサポートが整っている点でも、非常にすばらしいプログラムであると感じました。ぜひ今後も多くの方が同プログラムで海外調査を行い、成果を挙げられることを期待いたします。

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