2009年度公募プログラム

SFC海外フィールドワーク助成制度Ⅲ

担当

環境情報学部教授 ティースマイヤ、リン

ティースマイヤ、リン「未来を先導」することは、国内外の現代問題を経験する人々と共に問題発見・解決の実践をすることです。当助成制度は、現実世界、海外の人々の日常への参加を通じ、グローバルな「未来」がどうあるべきかを考察する機会を与えるものです。

活動内容

海外での1ヶ月程度のフィールドワーク(以下FW)を通じて世界に貢献しうる思考力と行動力を併せ持った有為な人材の養成を目的とした学生プログラムを積極的に推奨し経済的な支援を行う。

目的、背景

(1)自らの足を使った研究活動を通じて世界の現状を体験させ、グローバルな視点で地域が直面している現在の問題やその解決策を実践的に観察し、そのプロセスに参加する機会を与える。
(2)事前調査、訪問先の確保、アポイントメントを取るための電話・メールなど、与えられたプログラムではなく学生自らFW内容を組み立て、手配を行うことを通し、思考力と行動力を養う。
(3)経済的に支援することで、海外活動に意欲をもちながら様々な制約の下で実現不可能であった学生層の積極的な研究意欲を喚起させる。

内容・成果

夏季・春季の長期休暇中のフィールドワークを行う学部生に研究助成を支給している。
今年度はアメリカ、コンゴ共和国、ペルー、カメルーン、エチオピアなど7カ国に18名の学生を派遣した。

当助成制度では長期休暇前に公募・選考を行う。学生に「海外フィールドワーク計画書」を自身の指導教員の指導の下作成し、提出させる。それを元に当助成制度運営委員会のメンバーが選考し、採用者を決定する。
採用された塾生はフィールドワークを行い、帰国後に報告会での報告および報告書の提出を行う。報告会では採用された学生が一堂に会し、報告を行う。報告会の中で運営委員、参加学生からの質疑の時間を設け、ここで得られた指摘を踏まえ、報告書を作成する。報告書は卒論レベル程度を要求し、必ず指導教員の指導を受けてから提出する。提出された報告書は論文集にまとめ、プログラム報告会にて参加者に配布する。

以下に本年度で採用されたテーマの一部を挙げる。
「コンゴ民主共和国キンシャサ郊外における小学校の建設・設計に関する提案事業」
「世界遺産都市の負荷  ―エチオピア北部の都市ゴンダールにおける観光開発と住民意識」
「コンゴ民主共和国におけるローカルな労働力と材料を用いた学校建設」
「都市貧困層における相互扶助のための条件―カメルーン・ヤウンデ市におけるストリート・ホームレスを事例として―」

【成果】
三年目ということもあり応募件数が増え、昨年に比べ研究内容の明らかなレベル向上を実感できた。認知度向上に伴い倍率も上がり、採用を見送らねばならないケースも増えてしまった。熱意ある塾生の期待に応えられない部分があり大変残念ではあるが、当助成採用学生の研究水準が、研究を行う学生の先導となることを期待する。
当助成制度の目標の一つに、SFCの特徴であるフィールドワークを奨励し、研究成果向上を図ることがあげられる。当助成によってより充実したフィールドワークへの支援が実現でき、研究水準の向上に貢献できた。それらが顕著に見られるのが最終学年の研究で、卒論や大学院での研究を視野に入れた学生に長期に亘る調査や遠方地域でのフィールド

ワークを支援できる点では大変重要な制度として注目された。実際に大学院での研究を視野に入れてフィールドワークを行うケースも多く見受けられ、学生にも注目された制度になりつつある。また、最終学年以外での採用者にとっても大変意義がある。SFCでは希望者は研究会に1年次から参加できるため、低学年時から研究を進めている塾生も存在する。彼らにより高度な研究のチャンスを与えると同時に、最終学年の塾生と同じ場で報告、質疑に参加させることで、他キャンパスにはない刺激的な学びの環境を提供できたのではないかと考えられる。

参加者の声

公募プログラム

総合政策学部4年

学部生で使えるフィールドワーク助成金がない中で、この制度は非常に助かりました。この資金があったからこそカメルーンという土地で研究することができ、それまで研究の道に進むとは思わなかった自分が大学院に進むきっかけとなった未来先導基金に大変感謝しています。同じ研究室の中で未来先導基金にお世話になった学部生もおりますが、学部生のうちから研究活動を応援してくださる助成は他に殆どありません。貴重なご支援を有難うございました。

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