2009年度公募プログラム

高等部生を対象とした異文化交流プログラムの継続実施

担当

湘南藤沢中・高等部教諭 北城 大樹

北城 大樹本校既存の交換留学プログラムに加え、昨年度より開始したシンガポールと韓国の高校との交流を継続することで、本校の特色の一つである異文化交流を更に充実させ、広い国際的視野を持った学生を育成していきたいです。

活動内容

目的、背景

本校では広い国際的視野を持った学生を育成することを目的として、4カ国7校との交換留学プログラムを運営していたが、2008年度の未来先導基金の支援により新たに英国・韓国・シンガポールの4高校(Eton College, Perse Girls, Hwa Chon Institution, Daewon)との交流を開始することができた。これまでは交流相手の学校が英語圏に限られていたが、アジア圏の学校との交流も始まり、また長い歴史を持つ英国の名門高校との交流も開始できた。これら4高校との交流プログラムを安定したプログラムへと発展させていくことは未来を担う本校生徒にとって極めて有益なことだと考え、2009年度も4高校との交流プログラムの継続実施した。

内容、成果

Keio – Perse Girls(英国)(引率教員:土岐)
来日時は、ホームステイをしながら本校の授業に参加したり、日本の文化を体験できる鎌倉や浅草などを訪問したりした。訪問時は、ホームステイをしながらPerse校の生徒と同様の学校生活を送り、少人数制の授業に積極的に参加した。
  訪問 2010年1月28日~2月10日(参加者 生徒4名 教員1名)
 受け入れ 2010年2月13日~2月22日(参加者 生徒4名 教員1名)

Keio – Eton College(英国)(引率教員:北城)
来日時は、留学生による学校生活のプレゼンテーション、本校生徒とのディベート等を実施し交流を深めることができた。訪問時は、前半は寮生活をしながらEton College の教諭によるシェイクスピアに関する特別授業やイギリスの歴史に関する授業を受けることができた。後半はホームステイを行いEton Collegeの生徒との交友関係を深めることができた。
訪問 2010年3月25日~4月4日(参加者 生徒3名 教員1名)
受け入れ 2009年6月27日~7月11日(参加者 生徒3名 教員1名)

Keio – Daewon(韓国)(引率教員:絵野澤)
訪問時は、ホームステイをしながら高校1年生の授業に参加し、同校生徒と同様に夜の10時に下校するという生活を送り、韓国屈指のエリート進学校の学校生活を身をもって体験した。来日時はホームステイをしながら、本校の国語の授業を中心に様々な授業に積極的に参加した。
訪問 2009年8月17日~8月22日(参加者 生徒4名 教員1名)
受け入れ 2010年1月18日~1月23日(参加者 生徒4名+教員1名)

Keio – Hwa Chong Institution(シンガポール)(引率教員:杉山)
訪問時は、前半は寮生活をしながら全て英語で行われている中学生の授業に参加し、週末にあたるプログラム後半はホームステイを行い、様々な異文化交流体験をした。来日は、以下の通り2010年5月下旬を予定している。
訪問 2010年3月7日~3月16日(参加者 生徒6名+教員1名)
受け入れ 2010年5月予定

Eton College とPerse Girls の2つの英国プログラムではオックスフォード・ケンブリッジ大学への進学を視野に入れた極めて優秀な生徒達と充実した交流を持つことができた。Eton や Perseの生徒達は英国の未来のリーダとしての誇りを持っており、知性に加えて品位があり、堂々とプレゼンテーションを行う姿などに本校生徒は大いに刺激を受けていた。本来は帰国子女向けのプログラムであったが、今年度は一般の生徒も数名参加することができ、プログラムを通じて英語の有用性や異文化を体験することの面白さも学ぶことができた。2つのプログラムを継続実施できたことで、相手校の担当教員と本校教員もますます関係を深めることができ、プログラムを今後さらに充実させていく上で意義深い交流となった。シンガポール・韓国のプログラムでは、同じアジア圏であるということもあり、言葉の壁を越えて生徒同士が比較的早く打ち解けることができ、深い交友関係を築けたようである。様々な文化的背景(インド・マレー・中国・韓国)を持つ生徒達と交流を持つことができたことは、異文化理解という観点から効果的であったと思われる。特に韓国のプログラムでは英語を得意としない生徒でも積極的に参加することができ、より多くの本校生徒に異文化体験と国際理解を深める機会を提供することができた。本プロジェクトは、4つの交流プログラムによって構成されているが、何れも将来国社会の先導者として活躍するために必要不可欠な、国際的視野と豊かな教養を身につける上で、非常に有効なものであったと思われる。

参加者の声

公募プログラム

湘南藤沢高等部1年

僕は3月25日から4月4日までイギリスのEton校に留学してきました。僕は英語とイギリスの文化について深く学びたくて、今回の留学プログラムに参加しました。今回の留学では前半の4日間をEton校の寮で過ごし、後半の4日間をホストファミリーの家で、最後の晩をロンドンKensingtonのホテルで過ごしました。前半の4日間はStratford-upon-AvonやSalisburyなどのロンドン近郊をまわったのですが、特に印象に残っているのは、やはりEtonとWindsor城です。Etonは一つの町全体が学
校のようになっていて、一軒一軒の建物を見るだけでも長い歴史が感じられます。中でもCollege Chapelという巨大なチャペルには圧倒されました。また、Etonの生徒たちの様子を紹介するビデオを見たのですが、まるでハリーポッターのホグワーツ校のような光景でした。制服は僕たちのブレザーとは違って燕尾服のようになっていて、まさにkingの息子たちが通う学校だなという印象を受けました。どの生徒も勉強にスポーツに一生懸命打ち込んでいて、僕も慶應で頑張ろうという気持ちになりました!Windsor城は豪華絢爛で、特に裏門に通じる真っ直ぐな道は素晴らしかったです。そこは女王陛下がお城に入るための道で、本当に圧巻でした。
 後半の4日間はホストのDavidの家にステイさせてもらいました。ステイの間はとにかく生きた英語を身に付けたくて、ひたすらDavidや家族の方々と話していました。また、ロンドン塔やビッグベンなどの有名な場所にたくさん連れて行ってもらい、イギリスの歴史、文化にも触れることができました。中でも印象に残っているのが、ステイ最終日にThompson家の人々を招いて開いてもらったホームパーティーです。夜のパーティーまでの間に、僕とホストファミリー全員で準備をしたのですが、これが日本では体験することのできない得難い経験でした。Davidの家の農場からハーブを摘み、みんなでローストポークやイギリス伝統のネトルスープ(イラクサのスープ)を作ったことは一生忘れない思い出です!夜のパーティーでは様々な人々と楽しい会話をすることができました。イギリスの人々は日本に興味があるみたいで、日本の伝統文化(浮世絵や桜)を紹介したら、とても喜んでくれました。
 今回の留学は僕の人生にとって大きくプラスになったと思います。この体験を忘れずに、これからも英語の学習に力を注いで頑張っていきたいです。


湘南藤沢中等部3年

今回のHwa Chong Institution 交換留学プログラムに参加してとても多くのことを学ぶことができたと思います。期末試験最終日の翌日に出発し、合唱コンクール当日に帰国するというとてもハードな日程でしたが、体調を崩すこともなく楽しんで全日程を終えることができました。
シンガポールに到着してすぐは、蒸し暑い気候や早口で発音も特徴的なシンガポールの英語に適応するのに苦労しました。しかし、留学の後半になると気候にも慣れて、向こうのhost buddy の生徒とも友情を深めることができ、英語も少しずつ聞き取り、理解できるようになりました。英語以外にもシンガポールの歴史や文化に触れ、様々な場所をおとずれることができたのは自分にとってとても貴重な経験になったと思います。特にNational Museum は印象的でした。第二次世界大戦時に日本軍がシンガポールを占領していた際の資料も多く展示されていて、とても多くのことを考えさせられました。また、Little India とよばれるインド人街やChina Town という中華街のようなところにいったのですが、そこにはインドや中国のそれぞれの国の食べ物や文化がありました。そこを少し離れると世界各国の企業や銀行のビルが立ち並ぶ場所もあり、日本にいると錯覚してしまう時も数多くありました。シンガポールの特徴はとても小さい国土の中に様々な国の人々や様々な国の文化がうまく共存し、シンガポールの文化という新たなものを作っているということを感じました。ここまで多様性のある文化を持った国は世界を見渡しても少ないと思います。しかもシンガポールは小さい国なので、約10日間という短い期間の中で、その大部分に触れることができたのだと思います。
シンガポールはゴミに対してとても厳しい規則を持っている国なので、とても街がきれいだったことが印象的でした。日本に似ている面もいくつもあるので、とても過ごしやすかったと思います。最後の日には、自分の考えていることを英語で伝えることができたと思います。
このようにシンガポールでは他ではすることができない貴重な経験をすることができたと思います。こんな経験をすることができたのは様々な人のサポートがあったからだと思います。準備などで迷惑をかけた家族や、引率してくださった杉山先生、シンガポールで僕たちの面倒を見てくださったHwa Chong の先生方、ホームステイをさせていただいた Host Buddy の家族の方々、全ての人に感謝したいです。


湘南藤沢高等部1年

12時間の空の旅の後、雲の下に表したロンドンの街を、私は嬉しさいっぱいで飛行の窓から覗き込んだ。ずっと憧れていたイギリス留学、私は不安や興奮など沢山の気持ちが入り混じっていたけれど、すべて「好奇心」という1つの気持ちでくるまれていて、ただただわくわくしていた。
この度はこのような素晴らしいプログラムに参加させてくださり、ありがとうございました。とても嬉しかったです。そして沢山のことを学ぶことができました。私はこの報告書を書くお話を、担任の北城先生に頂いたときに、嬉しかったのと同時に、未来先導の企画でこの留学を支援してくださったこと、そして、もちろん色々してくれた両親に感謝の気持ちを込めて、私の感じたことや、学んだことを書こうと思いました。この2週間(受け入れもいれると1カ月間)大変なことも多かったですが、自分でもどこか成長できたような気がしました。
長い空旅の後に、Abrey家に温かく受け入れられ、家に向かいました。ただ、私を待ち受けていたのは、穏やかな生活というよりは、ドキドキな毎日でした。食事を済ませたあとに、もう夜遅かったので、お風呂に入りました。ところが、シャワーが壊れてしまっていたので、ジャグジーからみお湯をくんで使うことになりました。ところが、お湯の出る量が決まっていたようで、又温めるのにとても時間がかかるということを私は知らなくて、私のパートナーのレベッカも伝え忘れていました。バスタブにためてくれた少しのお湯では足りなかったので、ジャグジーのところひねったのですが、水しか一向に出てこなくて・・・結局その日は水を使いました。とても寒かったです。その後もいきなり、水しか出なかったりしました。その時はとても大変だったけれど、今思い出すとちょっと笑ってしまいます。食事は、周りの人にイギリスの食事は美味しくないからと日本食を持って行った方がいいと沢山脅かされましたが、毎日美味しい食事で、困ることはありませんでした。お風呂という思いがけないハプニングに不安はあったものの、何より心配だったのが、帰国子女でない、つまり海外生活の経験のない私が英語だけの生活の中で、コミュニケーションをちゃんととれるかでした。小さいころから英語を勉強してきましたが、こんなに長い間英語を話したり、聞いたりすることはありませんでした。SFCの帰国クラスの英語の授業はもちろん理解できますが、実生活は全く違います。そして、かっこいいと憧れを抱いていてはいましたが、慣れていないイギリス英語をしかも早口で話されるのを聞くのはとても大変でした。自分の未熟な英語を使うのは恥ずかしかったけれど、とにかく英語を使って、どんどんスムーズなコミュニケーションをできるようになりたいと思っていたので、頑張りました。1週間くらいすると、頭の中が、日本語モードにも、英語モードにもなりきれない、頭の中がぐちゃぐちゃになる時期がありました。英語も日本語もすらすら出てこなくて、とても困りました。でも、観光中にPankhurts先生に英語が上達したと褒めて頂いたときは、本当に嬉しかったです。私の今回の留学の目的の中には、SpeakingとListeningの能力をあげることがありました。2週間と短い期間でしたので、慣れてきたころの帰るかんじにはなってしまいましたが、それでも私は勉強になりましたし、又英語の生活に少しでもなれることができた喜びも味わえましたし、最初のステップを上がることができたと感じています。
初めて受けた外国の学校の授業はとても新鮮でした。内容は私の1つ上の学年の内容が多く、専門的な部分も多くて難しかったです。でも、いるだけも、授業の内容だけでなく、生徒の授業への参加の仕方や、勉強の仕方などを学ぶことができました。パースの授業の1クラスの人数は、全校生徒が110人ということもあり、とても少なくて、多くても20人弱で、普通は5~10人くらいでびっくりしました。みんなとても意欲的で、発言も沢山していて、授業を受けるのではなく、参加しているのでした。少人数制は、分からないところや詳しいことを沢山聞くことができ、沢山見てもらうことができるなど、良い所が沢山ありました。私は勉強に熱心で、将来夢や生き方をしっかり見据えている姿を見て、自分に焦りを感じるとともに、自分の勉強姿勢や、やり方も改善しないといけないなと思いました。又、彼らの考え方や主張の仕方には驚きました。主張がとてもはっきりしていて強くて、またそれをちゃんとみんなに伝えていました。フレンドリーなのですが、自己主張はしっかりしていて、日本人のコツコツ努力をしたり、耐えたりする芯の強さとは違う、迫力的な強さを感じました。
最後に観光で感じたことについて書こうと思います。半日学校、半日観光と、1日に沢山のことを学べる、充実した毎日でした。日曜日も、ロンドンやオックスフォードの観光、又普段は行くことのできないゴスペルチャーチでゴスペルを聞くなどできました。沢山の場所に行くので、あまり1つ1つをゆっくり見れなかったのが残念です。特に大英博物館に10分ほどしか入れなかったのは、心残りです。私の観光嫌いは、中学3年生の時にフランスに行って大きく変わって、大好きになりました。歴史の詰まった全てに感動しました。イギリスでは、歴史もさることながら何だか神聖な感じもしました。最初のロンドン観光では、初めてのイギリスでの観光で、とてもわくわくしました。ロンドンは近代的なファッションや流行も取り入れながらも、建物や歴史的で古典的なものを保っていて、2つの相容れなさそうなものが、共存していておしゃれな街でした。又ゆっくりいって、1つ1つをじっくり見たいなと思える、魅力的な街でした。私は特にケンブリッジの観光と、Elyの観光が好きでした。ケンブリッジの自然と歴史と勉学が共に響きあうがごとく存在していました。輝く緑と、重厚な歴史と、学ぶ意欲が満ち溢れた空間に私は魅了されました。あのような場所で勉強できることに憧れます。校舎もお城のような建物で素敵でした。又、King’s Collegeで聞いたイーブンソングという夕方に歌われる聖歌を聴きに行くことがありました。それは、とても素晴らしくて、私は鳥肌がたつほどでした。チャペルの中も何とも言えない空気が漂い、歴史や人々の様々な思いが詰まったとても深い場所でした。私はピアノを13年間やってきて、特にクラシックだったので、このような場所で聖歌を聴くと、今までは想像することしかできなかった世界が、目の前に広がっていて感動しました。博物館では、その建物はもちろん、展示品も興味深いものがたくさんありました。どこもかしこも凄いものばかりで、時間がない中で何を見ていいのか分からなくらいでした。Elyという所では、大きなお城のような教会に行って、その塔の一番上まで特別に行かせて頂きました。その中はまるで、別世界のようで、厳粛かつ神聖な空気が流れていました。美しい絵やステンドグラスや彫刻が沢山ありました。宗教革命により頭がなかったり、消されてしまった絵なども沢山ありましたが、それもまた歴史を目の当たりにしている気がして、複雑な気持ちにもなりました。塔を上がって行くときに、下からではあまりよく見えないドーム部分の壁画を見せてもらいました。びっくりしたのは、それは窓のように開けることができて、また触ることができたことです。何百年も前に書かれたものを、こうして間近で見て、触ることはなかなかできないことなので、その絵に触れた時は、長い間温められた歴史を直に感じた気がしました。イギリスの空気は、フランスの時とはやはり違って、同じ長い歴史を誇る国でも、イギリスは厳粛で神聖な感じで、フランスは華やかさを感じました。歴史というのは人々が積み上げてきたものであり、また逆に人々が影響されるものでもある。今回は期間も短かったので、それが実際にどこがどのようにイギリス人の考え方や生き方に影響しているかまでは分かりませんでした。でも、もし日本の気候などが違って自然災害がなくて、もっと昔のものが保存されていたら私たちの生き方や考え方も今とは違うものになっていたのだろうなとも思いました。私は、イギリスなどのように歴史が詰まっていて、今もなおしっかりと残って刻まれていく歴史があることも素晴らしいことだと思いましたが、日本の進んだ文明や開発は凄いな、どこにも負けないなと改めて実感しました。海外で生活することで、自国の良さを本当に理解しました。
受け入れも、両親はあまり英語が得意ではないし、テストの前で大変だったけれど、この留学プログラムのすべてを通して、得たものは予想以上に大きかったと思います。英語の能力という意味では、少し短かったけれど、とてもよい経験になったし、行った分の成果は少し出たと思います。又もちろん、生活様式や人々の考え方、文化や歴史などもまだほんの一部とはいえ、沢山のもの見たり聞いたりできました。そして、又他国に行って、外国人と関わることで、日本の見方も変わりましたし、自分についても色々気付けましたし、日本人としての自分についても考えるようになれました。憧れの国に行って大学などを見て、優秀な学校で授業を受けさせてもらって、こんなところで勉強したいなともおもった反面、やはり日本に誇りが持てるな、SFCって良い学校だなと相反する感情が湧きました。他国での刺激が、自国や自分に対する反省や誇り、また新たな一歩を踏み出すきっかけになったこともよかったなと思いました。これからもここで学んでことを活かし、未来の先導者になるべく、日々精進していこうと思います。いつか私は日本と世界の風を持ち合わせて、自分の学んだこと、これから習得していくことを、あのイギリスで聞いた教会の大きな鐘の音のように響かせたいです。

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