2010年度公募プログラム

高大連携による国際協力プログラム ―カンボジアでの体験学習を中心に―

活動代表者

高等学校教諭 原田 亜紀子

原田亜紀子高大一貫のメリットを生かし、大学生と高校生が共に途上国での社会問題について考え、行動するプログラムです。大学生、生徒、教員、NPOが一体となって行う国内での事前学習を経た上でカンボジアに行き、都市部のスラムの子どもたちとの交流や、農村部での工場で働く人達との共同作業を行います。自分の住む世界とは全く違う世界に飛び出し、自分とは全く異なる人々と出会い、体験を共有することで、プログラム参加者が他者との豊かな共生を考える一歩を踏み出すことを期待しています。

活動内容

活動内容は大きく、1.事前学習 2.スタディツアー 3.事後のふりかえり の3つにわけられる。

【2010年度の活動】
5月   初回ガイダンス
6月   歴史・文化・自然・社会など各分野の調べ学習についての打ち合わせ
カンボジアの児童買春問題に取り組むNPO「かものはしプロジェクト」の総会に参加
7月   高等学校教員によるカンボジア入門講座     s.a.l学生によるプレゼンテーション
8月   カンボジア・バサックスラムの子供達の伝統舞踊日本公演を鑑賞
(スラムの子どもたちの支援活動を行う「Make the heaven Cambodia」主催)
9月   クメール語講座実施(東京外語大学:上田広美氏による)
子供の教育と女性の就労問題に取り組むNPO「幼い難民を考える会」のスタッフによる講演会
10月  日吉祭に向けたミーティング
日吉祭:学習成果の展示・テーマごとにグループでのプレゼンテーション
「幼い難民を考える会」の参加型ボランティア「みんなで布チョッキン」の実施とカンボジアシルク製品販売
11月  「かものはしプロジェクト」スタッフによる講演会

【スタディツアー】
2011年2月26日(土)~2011年3月4日(金) 7日間       
スタディツアーでの訪問地はプノンペンとシェム・リアップで、以下のプログラムを実施した
1.プノンペン
・Make The Heaven Cambodiaの支援するバサックスラムの子供たちとの交流 
・「幼い難民を考える会」がサポートする小学校の訪問と児童の家庭訪問
・トゥールスレン刑務所やキリンフィールド見学
バサックスラムの子供たちとの交流では、音楽交流とスポーツ交流を行った。音楽交流ではリコーダー奏者吉澤実氏のテキストや指導法を用い、生徒によるワークショップを行った。ワークショップではソプラノ・アルト・テノール・リコーダーでのアンサンブルによる模範演奏、リコーダーの吹き方の指導をした。子どもたちには鈴木楽器より寄贈していただいたソプラノリコーダーと生徒が学校で回収したアルトリコーダー、生徒が編集したテキストを寄付した。子供たちはカンボジアの踊りや歌、ソーラン節などを披露した。
スポーツ交流では持参した縄跳びやボールなどの遊具を使い、多様な年齢の子供たちに合わせながら共に遊び親睦を深めた。スラムの中を散策し、幼稚園では簡単なクメール語を教わった。
小学校訪問では校長や給食担当者の話を聞き、各教室を訪問して我々は「若き血」やバサックスラムでも行ったリコーダーアンサンブルの演奏、カンボジアの子供たちは歌で交流した。その後グループに分かれ児童の家庭を訪問した。
トゥールスレンとキリングフィールドではポルポト時代を体験したカンボジア人ガイドが、自身の体験など語りながら説明してくださった。
2.シェム・リアップ
・「かものはしプロジェクト」が運営するコミュニティファクトリー訪問  ・アンコール遺跡群見学
コミュニティファクトリーではスタッフから事業内容やソーシャル・ビジネスについての説明を受け、工房を見学し、ワーカーの家庭を訪問した。ワーカーとの交流プログラムとしては、「1対1での交流」をコンセプトに、生徒とワーカーが2人組になって、日本からもってきたTシャツにお互いに絵を描き交換する、ということを行った。
アンコール遺跡群はアンコール・トムとアンコール・ワットを見学した。
スタディツアー中は夜にふりかえりのミーティングを行い、気付き、疑問、感想など自由に述べ合った。

事前学習での知識と現場での体験、他者の視点を共有することで立体的な問題意識が形成されたことが伺えた。

参加者の声

公募プログラム

慶應義塾高校3年生

大学生の皆さんを見て感じることができたのは、アグレッシブさが人生で一番大事だということである。他人から「うわあ」と思われても、そのときその瞬間に思った行動をして、その後に後悔はすればいいと思った。ボランティアや人を「助ける」という観点から社会を見たことは無かった。しかし今回は自分の中でできるだけその切り口で日常からも見てみるということを試みた。支援や戦争、文化という様々な切り口で沢山のことを学べた時間だった。ただ、この記憶というのをいつまで新鮮に保つことができるのか、というのが人間の伸びしろだと思う。みんなで喚起しあいながら経験した時間をより有意義なものに昇華し、還元していきたいと思う。


慶應義塾大学3年生

ぼく自身も3度目のカンボジア訪問で、いろいろなことを新たに感じることができました。ひとつには、1度見たモノが絶対ではないということ。最初のスタディツアーで見たモノだけがすべてじゃないんだな、ということ。同じ場所でも同じ人でも、一面性しかないものなんてない。すべては多面性を孕んでいて、なんどもなんども繰り返して視野を広げて行くことに、大きな意味があるのかもしれません。現地で感じたことと思ったことを、「遠い国の悲しい現実」に留めるのはもったいないし、意味のないことだと考えています。自分が実際その立場だったらどうするんだろうだとか、日本では貧困はないのかなだとか、日本における平和の意義とか、いろいろ自分に関係させながら得たモノを消化して行くこと。スタディツアーからほんとうに学ぶために、必要不可欠な要素なのかもしれません。

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