2010年度公募プログラム

アジア・プライマリヘルスケア体験型学習支援プログラム

活動代表者

看護医療学部准教授 小池 智子

小池 智子ラオス国を拠点に、ラオス保健科学大学・現地医療機関と連携して、都市や農村部の保健医療施設等を訪問して住民や医療従事者と交流しながら、コミュニティを基盤としたプライマリヘルスケア活動を体験的に学習する研修プログラムを行っています。

活動内容

1.プログラム参加者:看護医療学部学生10名(1年4名:2年3名:3年:1名:4年2名)、教員3名。研修前に参加者はA型肝炎・破傷風・狂犬病の予防接種を受けている。

2.「アジア・プライマリヘルスケア活動講座」の開講(全10回)
(1)講義内容(講師:国立国際医療センター・国際医療協力局):ラオスの保健医療 、『プロジェクトマネジメント』の実際、感染症予防対策、ラオスの母子保健の現状等
(2)グループワーク:ラオスの保健セクターの現状と課題を調べ、プロジェクト・デザイン・マトリックス、プロジェクト・サイクル・マネジメントを用いて達成目標と問題解決策を考えた。

3.ラオス・スタディツアー(2011年3月2日~12日)
独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力を得、現地の医療機関・教育機関等と連携して、都市や農村部の保健医療施設等を訪問した。医療従事者や住民との交流をとおして生活習慣・文化に触れ、コミュニティを基盤としたプライマリヘルスケア活動を体験的に学習した。
(1)プロジェクト講義:「保健セクター事業調整能力強化(Capacity Development for Sector Wide Coordination in Health)第2フェーズ」(2010-2015)、「母子保健統合サービス強化プロジェクト」(2010-2015)。これらのプロジェクトは、ラオスの保健省のリーダーシップ強化および医療従事者の能力強化に力点を置いている。
(2)研修内容:首都ビエンチャンと南部チャンパサック県の医療機関・教育機関等で活動している海外青年協力隊(JOCV)と一緒に都市部と郡・農村部におけるプライマリケア、二次医療、三次医療の医療施設を訪問し、医療従事者・行政担当者、住民にインタビューをおこなった。

①プライマリケア:JOCVとビエンチャン市保健局および地域住民の共同プロジェクトである「地域母子保健改善ボランティアプロジェクト」に参加。サイタニー郡ナーカートゥン村のヘルスセンターで妊婦健診・乳幼児健診を見学し、ワクチン・ビタミンAの投与などを見学した。
②二次医療(郡病院):サイタニー郡病院、チャンパサック県ポントーン郡病院で、医療資源の不足の現状、保健医療サービス内容、医療従事者の技術などを見学した。
③三次医療(中央病院・県病院):病院、チャンパサック県病院では入院治療の実際を見学し、救急医療と郡病院との連携について学んだ。
④医療従事者の養成機関:チャンパサック保健学校を訪問し、看護師コースの講義に参加し交流を図った。また、チャンパサッセタテラート県病院での看護実習の様子を見学した。

4.成果
プロジェクトマネジメントを用いたグループワークを行いスタディツアーにのぞんだことで、スタディツアーの初日から保健セクターの課題に焦点を当てた観察とディスカッションが可能になった。医療施設の劣悪な設備や医療技術水準、妊産婦のフードタブーなどの慣習を目の当たりにする一方、家族やコミュニティの絆の強さに触れ、机上では決してわからない問題や、活かすべき住民の「強み」を認識することができた。実際に現地に足を運び住民に接し声を聞くことの重要性を改めて確認することができたようである。また、開発パートナー間の調整を行っているJICAプロジェクトの担当者とのディスカッションをとおし、被援助国の主体性強化と持続性のある援助について考察を深めることができた。

参加者の声

公募プログラム

看護医療学部1年

開発パートナーとして忘れてはならないことは、援助対象国の強みや価値観を活かすことである。ラオスでは、地域の繋がりの強さなど、日本が見習うべきこともたくさん発見した。穏やかでコミュニティを大切にする国民性を生かし、地域全体で協力し合う医療をつくりあげていくことが最善の方法だと思った。


看護医療学部2年

ラオスで行われているSector Wide Coordinationを学び、直接的な援助を行うだけでなく、その国の行政機能を強化する支援も必要だと思った。政府のマネジメントキャパシティを拡大することで、今後、その国が主体性を発揮して無理のない持続可能なシステムをつくりあげ、成果をあげていくことが可能になる。医療や教育の現場レベルでも、物資や技術支援はもちろんのこと、医療サービスの質のマネジメントについても一緒に伝えていくことで、継続性のある仕組みをつくることができるのではないだろうか。

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