2011年度公募プログラム

アフリカで学校をつくる-コンゴ民主共和国キンシャサでの実践-

活動代表者

総合政策学部准教授 松原 弘典

松原 弘典アフリカのコンゴ民主共和国において、小学校校舎の設計と建設、カリキュラムの立案と適用を実践することで、真剣なものづくり・ひとづくりの機会を提供します。内戦が終わって急速に発展しつつあるアフリカの大国で、プリミティブな教育環境をゼロから作る活動です。SFCの私の建築設計の研究会と長谷部葉子教授の教育系の研究会が中心に動いていますが、現地では衛生、看護、環境方面の交流教育の実践的なチャンスがあり、より多くのご専門の方(教員・学生とも)に参加を拡大するべく本公募に応募しました。 現地で真剣に学校を作ることで、我々は与えるだけでなく、与えられることもあります。そうした「双方向の先導」を積み重ねてゆきたいと思っています。

活動内容

2011年度は大きく分けて3回の現地渡航を行い、活動の成果を上げた。

2011年5月28日から6月6日の第一回渡航では、長谷部教員と大学院生数名で渡航し、ゴンベ教員大学との事前協議を行った。また当該校に日本語クラスが立ちあがり、そのキックオフに参加した。同時にSFCの卒業生が現地に長期滞在を開始しその後の連絡役を受け持つようになった。8月20日から9月6日の第二回渡航では、松原教員と長谷部教員が、大学院生と学部生を15名引率して渡航し、アカデックス小学校のそばに滞在して、ゴンベ教員大学の学生・現地ヴォランティアとともに第三教室棟を施工、完成させ、また現地児童・教員・地元住民へのワークショップを実施した。2012年2月27日から3月15日の第三回渡航では、長谷部教員と大学院生数名で渡航し、ゴンベ教員大学の来年度のクラス立ち上げに参加した。

なお、本プロジェクトは従来の活動の積み上げが高く評価され、2012年5月に松原と長谷部らは日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞することになった。建築学会教育賞は日本の建築界において最も権威のある賞の一つであり、このアフリカでの学校建設は、「開発途上国協力における設計・建設・運営を一体化した実践的建築教育プログラム」という業績名で高く評価された。

参加者の声

公募プログラム

環境情報学部2年

僕は大学で建築設計を主に学んでいて、今回の渡航では設計した小学校の第三棟目を実際に現地の人とともに建設しました。今回自分自身は物心ついてから初めての発展途上国であり、様々なことに驚かされました。中でも街中のほとんどの家屋が平屋であること、毎年雨季の豪雨で流されるためインフラが仮設的、部分的にしか作られないことは、記憶に強く焼きついています。実際の施工は想像以上に困難でした。言語での意思疎通は大変でしたが、何より図面通りの正確に建てようとする日本人と、物理的に成り立てばいいというコンゴ人の考え方の違いには悩まされました。一方でコンゴ人の資源を再利用する精神には感心しました。例えば屋根に使う傘釘の防水ゴムは廃タイヤを使っています。結果的に質・量にはばらつきが出ますが、物理的には成立するわけです。一般的にコンゴが日本から学ぶと考えがちですが、日本もコンゴから学べる部分は意外と多い、そう感じた二週間でした。


政策・メディア研究科修士1年

今回運営するアカデックス小学校にて、初めて日本とコンゴの学生が共同生活を行うサマーキャンプを実施することができました。キャンプ開始当初は、文化や生活習慣の違いからお互い戸惑う部分もありましたが、毎日の共同生活を通して、更に双方の文化や言語紹介、ディスカッション、小学生に対してワークショップを行うなど、協力し合いながらプログラムを構成したことで、交流が活性化し、双方の理解を深める事ができたと実感しています。また、今回のフィールドワークを通じて、協働プロジェクトとして大きな一歩を踏み出す事が出来たと共に、自身の研究も更に深化でき、実りあるフィールドワークであったと感じています。

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