2013年度公募プログラム

慶應義塾コレギウム・ムジクム・オペラプロジェクト『コジ・ファン・トゥッテ』

活動代表者

経済学部教授 石井 明

石井 明慶應義塾コレギウム・ムジクム・オペラプロジェクト『コジ・ファン・トゥッテ』
日吉キャンパスでは近年、日吉音楽学研究室が中心となって、全学部の学生を対象に実践的な音楽の授業を幅広く展開しています。その中で今回のプロジェクトは新しい試みで、それは総合芸術であるオペラの上演です。入念に準備し高いレベルで実施するというプロセスを経る、そしてプロジェクトの一員としての責任を自覚するということは、学生たちのこれからの人生において、必ず多岐にわたって役立って行くであろうと確信しています。

活動内容

 今回のオペラプロジェクトでは、モーツァルト作曲《コジ・ファン・トゥッテ》(全幕・原語上演・日本語字幕付き)を取り上げた。慶應義塾大学教養研究センター設置科目である、「身体知:音楽I/II」を軸として活動を行った。公演は計4回行った(2013年12月21日・22日、および2014年1月4日・5日)。場所は、日吉キャンパス協生館藤原洋記念ホールであった。このプロジェクトは、横浜市によるクラシック・ヨコハマ2013、および横浜音祭り2013の連携事業として扱われ、スタートから地域に根付いた活動となった。
 本オペラプロジェクトは、塾で見られる学生によるサークル活動とは一線を画していた。まず、授業の一環として行うことにより、参加学生は塾の専任教員からきめ細かい指導を受けることができた。また参加学生にとっては、塾および横浜市のイベントとして、プロジェクトが持つ社会的な責任、もしくは社会貢献というものがどのようなことなのかということをも実践的に学ぶことができた。
 オペラ公演のような、スケールの大きいプロジェクトは、単年である一定以上のレベルに到達するのが困難なため、準備活動はすでに2012年度より開始した。つまり、参加学生にとっては、2年越しのプロジェクトとなった。学生が参加する領域は、オーケストラ、合唱、パントマイム、演出補助、舞台制作・設営、照明、衣装制作補助、字幕操作、マネージメント業務などと多岐にわたった。参加する学生は、複数のキャンパスに属する大学生・大学院生だけでなく、慶應義塾高等学校の学生も含んでいた。プロジェクトの実行に直接携わる学生数は、60名を超えた。
 メインキャスト(歌手)の配役は、100名を超えるプロの応募者の中から、2012年10月20日および21日にオーディションを行って決定した。歌手達は、招待される演奏家という立場ではなく、2013年度を通じてコンスタントにプロジェクトに参加した。結果参加学生たちは、専門家からさまざまなことを吸収し、通常では体験できないような芸術水準の高いプロジェクトを完結するという恩恵を受けた。
 なお、オペラ公演は有料公演の形態とした。チケット1枚の料金は2,000円と設定した。4公演中3公演は満員御礼となり、合計で1,600人以上の来場者を見た。この数字は、いかに本プロジェクトのインパクトが大きかったかということを裏付けるものだと思われる。

参加者の声

公募プログラム

文学部4年

総合芸術としてのオペラの舞台上でどうふるまうのかを考えさせられました。先生方の指導の下、歌唱からふるまいまでを理解し、再現する練習を繰り返しました。読書や鑑賞を通じて作品を知ることはできますが、作品を演奏する時、言語や歌唱など身体を使った訓練が要求されます。この点で、「身体知・音楽」の授業は、頭の中だけで完結しない、実践的な授業でした。今後も、学生に学びの場を提供し続けることを願ってやみません。

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