2017年度公募プログラム

[文学部]

慶應SKC計画

活動代表者

文学部教授 岡原正幸

岡原正幸塾生が、長野県小諸市をはじめ、いろいろな地域の人々と関わりながら、その地域に根づく自主的な企画を実現します。アートプロジェクトに代表されるようなイベントを地域に提案、リサーチ・交渉・折衝・相談・協働の過程を経て、他者をいつも念頭に置きながら、学生が責任をもって諸々のプロジェクトを実現します。SKCは「セルフ協働」だったり、大学キャンパス内では培いにくい、生きられた知を習得するという意味で「Super Knowledge 知識を超える知」キャンパスの略称です。
慶應SKC webサイト: http://skckeio.jimdo.com/

活動内容

2016年冬、塾生からの企画を公募によって集め、下記の企画が採択され実現された。
1「牛久 きおくうた」(千葉県市原市)2017/4-2017/10(活動時期)参加学生6名  市原市にある上総牛久商店街でのオーラルストーリーを学生が数日にわたり取材し、現地の現況や歴史を調査し、サウンドパフォーマンスとして作品化、日本演劇学会(日吉)、カルチュラルスタディーズ学会(早稲田大)、Keio ABRフェスにて公演。
2「kotobuki action」(横浜市寿町)2017/5-2017/11(活動時期)参加学生16名 横浜市寿町にて夜のパトロール(食料品、衣料品などの配布ボランティア)に学生は隔週で参加し、夏のお盆時期には、日吉教養センターが寿町に立ち上げた「かどべや」にて、地域住民を集めての懇親会を開催した。
3「那珂湊キャンプ」(茨城県)2017/6(活動時期)参加学生21名 茨城県那珂湊市を学生は訪問し、市民への聞き取りなどを土台にポスターを作成し、那珂湊駅にて発表会。他に市民とのバーベキュー懇親会。映像やライブ配信のラジオ番組も制作している。
4「小諸映画祭」(長野県小諸市)2017/4-2017/10(活動時期) 参加学生55名(映画祭応募の他大学生も含め)。小諸市に学生が働きかけ、学生が小諸を舞台に映画を制作し応募するコンテストを主催。千葉大、早稲田大、東京工芸大、日大、慶応義塾大のチームが参加。小諸市民ホールにて市民の投票で優勝者を決定し、270名もの市民が参加した。企画学生は、小諸市、市民、協賛地元企業、地元三田会をまとめ上げた。
5「こもろ留学」(長野県小諸市)2017/7.2017/11(活動時期) 参加学生20名(参加留学生も含め)。7月の小諸祭事にて4名の留学生に神輿を担がせ、11月には小諸での農業や企業体験、小諸商業高校への訪問などの行事を8名の留学生に提供するツアーを行った。港区のギャラリーでの留学生による写真展も開催した。
6「H/F」(ドイツ、福島県相馬市)2017/9,2018/3(活動時期) 参加学生9名 広島や福島をテーマにしたパフォーマンスを学生が制作し、ドイツで開催された美術展会場他で上演。記憶の継承や表現という困難な問題に学生が取り組んだ。
7「暮らしのクロニクル」(大阪市)2018/1(活動時期) 参加学生4名 大阪の寺院にて檀家や市民を対象にして演劇のワークショップを開催。
8「Keio ABR Festival」(三田キャンパス)2017/10-2017/11 参加学生80名 今回の先導基金の助成により行われた学生プロジェクトの上演、これらに関わる、アートやコミュニティをテーマにして活動するアーティストや研究者による講演、ワークショップなど総数15本のイベントを約一ヶ月間、三田で随時行った。またその成果の一部は学生によって、日本社会学会(東京大)、アートミーツケア学会(京都市立芸大)にて報告された。

参加者の声

公募プログラム

環境情報学部4年

「暮らしのクロニクル」に参加。今回の活動を通して最も強く学んだことは、「演劇」とは必ずしも「観る側の視点に寄り添うこと」のみで完成するものではなく、「演じる側の内面(記憶)の認知」によって自在に変化し得るものであり、それが演じる側の感情的な理解度と近しいものであればあるほど、本人にとっても観客側にとってもその事象に対する知見の深化につながりやすいと感じたことだ。自分の記憶をもとに演劇を創ることは、自分の記憶を客観的な行動として表出させるということである。そしてそれは他人と共同で行われることにより、記憶を更に客観的に捉え直すことにつながるため、「あえなかった、ひと」のような未練に近しい記憶を(良い意味で)過去として頭のなかで整理し直すことにつながるのではないか。これは個人の中に眠るトラウマ的なネガティブな記憶の負担を軽減する際などにおいて特に効果的な手法の1つではないかと感じ、演劇の新たな可能性を垣間見る大きなきっかけとなった。私は現在認知科学を扱う研究室で、とりわけ人のネガティブな体験や記憶にまつわる認知などに興味を持っているため、今回の発見は非常に大きな成果となった。

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