2017年度公募プログラム

[文学部]

震災を見届ける―石巻祈念プロジェクト

活動代表者

文学部教授 安藤寿康

安藤寿康いま、できること。それはボランティアよりも、現地を見届け耳を傾けて、自分の心で感じ自分の頭で考えること。二泊三日の旅を通して、未来に花開くあなたの内なる種に気づいてほしい。高校生・留学生も大歓迎。

活動内容

1 現地訪問 
1) 震災を見届ける旅(石巻訪問)
第1期 2017年8月7日(月)~9日(水) 参加者 学生10名(高校生1人、大学生9人) 教員4人
 第1日 震災の爪あとを見る(大川小学校・女川地域医療センターの見学)
 第2日 被災地を肌で知る(漁師さんとの交流)
 第3日 復興の取り組みを知る(石巻専修大学 復興ボランティア学)
第2期 2017年8月26日(日)~ 8月28日(火) 
参加者 学生12名 (大学生10人、 大学院生2人、うち留学生3人) 教員3人
 第1日 復興の取り組みを知る(仙台から石巻までの海岸線見学)
 第2日 被災地を肌で知る(漁師さんとの交流、海と触れ合う)
 第3日 震災の爪あとを見る(大川小学校・女川地域医療センターの見学) 
2) 石巻再訪   参加者 学生2名、教員4名
 2018年1月13日(土) 三田-福島県三春町「コミュタン福島」-飯館村-石巻市内 
    1月14日(日)  石巻-女川駅前・女川地域医療センター-せんだいメディアテーク-三田
2 公開シンポジウム    「種を播き濤を掀こす」 参加者 学生・一般含め約30名
 2018年 2月2日(金) 13:00~16:00  慶應義塾大学日吉キャンパス  614番教室 (第6校舎)
 第Ⅰ部 講演  「『復興』は進んでいますか」と聞かれたくない心持ち  坂田隆 (石巻専修大学元学長)
 第Ⅱ部 ラウンドテーブル   石巻の漁師さんから命の尊さを学ぶ
 第Ⅲ部 シンポジウム    慶應義塾は震災にどう取り組んできたか
  長沖暁子 (経済学部准教授)    南三陸プロジェクト 
  姉川知史 (経営管理研究科教授)  Grand Design 東日本大震災危機対応フォーラム
  関根 謙 (元文学部長)     石巻復興祈念プロジェクト   
3 記録集の発刊

 

参加者の声

公募プログラム

文学部2年

「物理的なボランティアだけではない、復興を考え続けてみませんか」そんなポスターの一文を見て、このプログラムに参加しようと思った。2011年に東日本大震災がおこり、被災した石巻というのは、わたしにとって遠く離れた存在であった。あまりにも現実味のない出来事に実感が湧かない自分が当時にはいた。ボランティアをしに行く勇気もない。そんな自分を変える時ではないかと思ったのだ。(中略)私が追い求めた「なにか」は、「無関心への恐怖。無関心の払拭」だと感じた。私は今まで、震災に対して自分自身は何もできないのではないかと考えていたことに加え、世間の震災の記憶が確実に風化しているということへ危機感を覚えていた。風化を止めるにはなにができるか、そう思ってこのプロジェクトに参加した。そしてその答えが出たのだった。「なにもできない」と思って「なにもしない」うちに、記憶は薄れていくことへの恐怖だった。「なにもできない」と卑下する必要は全く無いのだ。「なにかする」いや、「意識する」だけでも良いと。その意識が、風化をふせぐ一つの方法だと。


文学研究科博士2年

石巻の海で、すばらしく澄み切った空と、生命の濃密な息づかいを包み込んだ海のあいだで、両者と融けあうような感覚に浸ったり、あるいは命そのものをいただいているという実感を与えてくれる海の幸を味わったりすることができた。このような体験をすると、〈生きていることの尊さ〉という一見キッチュな言葉が、圧倒的なリアリティをもって迫ってくるのだ。しかし、復興をめざしポジティブな姿勢をとろうとする際にも、捨象されてはならない暗黒面の存在を、今回地元の漁師さんは私たちに臆することなく示してくださった。光だけの世界も、闇だけの世界も存在しない。光があれば闇がある。震災、そして復興にまつわる光と闇。その両者を、五感で受けとめ、想像力をはたらかせて見据えていくことの大切さを、私は痛感した。そしてこのように光と闇を見据えていくなかで、「安易に手を差し伸べるやさしさを持った人ではなく、芯にあるやさしさが指先からにじみ出るような人」が生まれるのではないだろうか。

未来先導基金の取り組みにご賛同していただける方はこちらをご覧ください。

ご賛同いただける方はこちら

ページの先頭に戻る