2017年度公募プログラム

[システムデザイン・マネジメント研究科]

アジアンイノベーションの国際連携教育プログラム

活動代表者

システムデザイン・マネジメント研究科委員長 前野隆司

前野隆司地球規模の社会課題をイノベーティブに解決するための考え方や手法を段階的に体験できるプログラムです。実際にアジアの大学を訪問して、現地の学生や教員とのワークショップに参加することができます。

活動内容

当初の計画に基づき、3ステップの教育機会を提供した。まず第1 ステップで、シンギュラリティユニバーシティの講師による講義とワークショップを2017 年8 月26 日に日吉キャンパスで開催した。
Ms.Darlene Damm の講演による情報提供の後、その解決策を探るワークショップを実施した。30 名程の参加者はこの講座を通して、地球規模的な問題に対してどのように起業家精神を発揮するかについても学ぶことができた。
その後はワークショップに参加した学生達とともにタイ王国のバンコクを訪問して、チュラロンコーン大学大学院のアントレプレナーコース(TIP: Techno-entrepreneurship and Innovation management Program)の協力のもとで、第2、3 ステップを丸3 日間使って実施した。初日となる2017 年9 月2 日には、慶應SDM 教員が講師となって、課題に対してイノベーティブな解決案を創造する方法を学ぶワークショップを開催した。慶應義塾大学の学生(学部生・大学院生)が10 名、タイの大学生と教員等が20 名程参加し、混成チームを作って活動した。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では2年前から同様の「システム×デザイン思考ワークショップ」を現地で開催しており、当地での認知度が向上してきた事を感じた。日本から参加した学生にとっては、タイの人達との密度の高い国際体験になったものと思われる。
さらに2 日目にはタイ政府機関および産業界からの協力を得て、「Thailand-Japan Innovation Networking Forum」を開催し、イノベーションの推進・実現に関わる産官学の関係者が一堂に会して、講演やパネルディスカッションを実施した(詳細プログラムはWeb サイトを参照のこと)。政府の方針、大学院教育の現状、産業界の具体的な活動等のリアルなトピックが次々と紹介されるともに、持続的な成長を遂げるために関係者が有機的に連携している事が明らかになり、タイがイノベーション推進の先進国である事を強く印象づけた。
最終日にはイノベーション推進の最前線ともいうべき企業や活動拠点6 カ所(Thailand Science Park 内の企業・研究機関)をチュラロンコーン大学の教員・学生とともに訪問した。オープンイノベーションというキーワードが掛け声倒れに終わらず、確実に実行されている現実を目の当たりにした。
日本人の一般的な印象では、イノベーションと言えば米国や欧州がリードしているという見方が主流である。しかしこうして現地で最前線にいる人々と会い、現地の活動を直接見ることで、アジアで現実に起こりつつある(というより、むしろ既に起こっている)変化の大きさを実感する事が出来た。また3 日間の滞在を通して現地の産官学の関係者と広く知り合う事も出来た。今回現地を訪問した10 名の慶應義塾大学の学生達も、この直接体験を通して自分自身の認識を大きく変えるとともに、今後日本が取るべき方策に付いても考え始めており、この意味でも今回の「アジアンイノベーションの国際連携促進と日本におけるイノベーションの実現へのスタート」という目的は達成されたものと考えられる。

参加者の声

公募プログラム

経済学部3年

Innovative Thinking のワークショップ、タイのイノベーションのプレイヤーやステークホルダーによるプレゼンテーション、Thailand Science Park への訪問を通して、エコシステムが作られる過程を見学した。
この経験を通して、それぞれがイノベーションの持続的循環を生み出し、アジアを始め世界の先駆者となろうとしている「動き」を体感した。タイが急速な発展を遂げる中、日本も現状に対し甘んじず、タイのように「動き」を発信していくことが大切だと感じた。


システムデザイン・マネジメント研究科修士1年

今回のタイ研修では、産学官が連携し、イノベーションが進むエコシステム作りに尽力していくタイの姿を現場で見られたことが貴重な経験となった。特に3 日目に訪れた、国が主導するR&D のハブ施設では、参加している80 社以上の企業のうち、50%が協働を行なっており、箱モノだけでなく、中身も伴っている存在に衝撃を受けた。タイでは、産学官の各セクターがそれぞれ国の発展という共通目標に対し、自分たちができることを定義し、実行している印象を受けた。その結果、アイデアの種から、それを大きく育て、イノベーションに繋げていくまでの流れが設計されている印象を受け、日本で同じことをするにはどうすればいいか考えさせられた。この経験から各セクターが繋がり、一つの目標に向かっていく共通目的はどのように設計できるのかということに興味を持ち、現在研究に取り組んでいる。

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