2017年度公募プログラム

[教養研究センター]

過去から未来を紡ぐ「日吉学」---キャンパスの古層を探求・縄文を体感する

活動代表者

教養研究センター所長 小菅隼人

小菅隼人「日吉学」は、一貫校から大学院までの塾生・教員が共同で、自然や歴史遺産の宝庫日吉キャンパスを素材に、講義と観察・体験と討論を組み合わせて、思考を鍛える文理融合型の教育プログラム作成をめざしています。2017年度は縄文が共通テーマです。
日吉学Webサイト: http://lib-arts.hc.keio.ac.jp/hiyoshi/about

活動内容

本年度の活動は、2015 年に好評を博した「縄文」のプログラムを発展させ、共通テーマに縄文をすえ、「キャンパスの古層を探求・縄文を体感する」と題したプログラムを、自然・地理・地形・考古学の切り口から、4 日間合計連続2 コマ180 分6 回相当の実験授業として実施した。また、担当講師は、教材検討およびアクティブ・ラーニングの教授法、および学生の評価方法を検討する研究会を定期的に開催した。
第1回・第2回 9 月30 日(土)
実験授業日吉学の趣旨について、不破から「身体知/アクティブ・ラーニングによる体験型学習を通して日吉という身近な場の古層への理解を深め、最終的には日吉をテーマとした論文執筆と発表を行うこと」を説明し、その後、安藤から「なぜ縄文を学ぶのか」の概説と、西別館への移動途中で日吉台地の地形と貝塚の位置を確認し、西別館では縄文の遺物を実際に手に取りながら講義「日吉一帯の縄文時代遺跡」を行って、質疑およびグループ討論を実施した。
第3回・第4回 10 月7 日(土)
「地形と環境の変遷」について太田と藤森が日吉の地理について講義を担当し、学生はグループで縄文海進時の日吉一帯の海岸線を想像し地図に記入した。その上で、芝原曉彦氏(地球技研)の講義と3Dマッピングを実演によって理解を深め、当時の気候変動と地形について活発な質疑が交わされた。
第5回・第6回 10 月14 日(土)
福山が日吉一帯の地形・地質と植生について講義を担当した。縄文時代の食料を再現すべく日吉キャンパスで学生はスダジイを採取し、縄文人が行ったと推測される調理方法の実習指導を長沖と持田から受け、グループで調理・試食した。その後、縄文人の摂取カロリー予想に基づき、グループごとに1 日食糧確保に何時間の労働が必要か計算し発表した。縄文人の食べ物を採取・再現することで、自然と繋がり生活をする縄文人の生き方を体感し、一連の授業を通して、縄文時代を総合的に考える場を提供した。纏めとして大出がテーマの絞り方講義をおこなった。学生は各人作成したマインドマップをもとに話し合い、グループ発表のテーマを決定した。
第7回 11 月 3 日(金)
午前中、学生は3 班に分かれ、プレゼンテーション準備とリハーサルを行い、安藤、阿久沢、太田、大出、福山、長沖、不破がその指導にあたった。午後にグループごとに発表、教員全員と参加者による合評会を行った。受講生の反響を確認するため、不破がアンケートを実施した。
その後、グループ発表をTA 学生が報告書として文書とスライドでまとめ提出した。発表タイトルは以下の通り:1 班「縄文時代~環境変化による進歩~」、2 班「働き方改革in 縄文」、3 班「縄文人の生活様式から学べること」こうした実験授業を踏まえ、講師の研究会では、教養研究センターの「アカデミック・スキルズ」のフィールドワーク編として展開できるようなシラバス案を作成した。

プロジェクトの成果としては、アクティブ・ラーニングの実践による「主体的に考える力」をもつ学生の育成、一貫教育校生との教育による人的交流と学習効果の向上、慶應義塾の知的資源の教育的活用とキャンパスへの多角的な視座の体得が挙げられる。

参加者の声

公募プログラム

法学部3年

縄文人は単純な人間とイメージしていたが、縄文土器に触れたり縄文人の労働時間を計算したりして、そのイメージがとても変わった


文学部1年

実際に見て、感じて考える、そして仲間と議論するという過程はとてもおもしろく、意義深いものでした。… 高校生の素朴な疑問や意見には、気づきも多く、高大連携の意義は大いにあると思います。

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