2018年度公募プログラム

[横浜初等部]

児童の感性を育てる-日本の伝統芸能「能」と「常磐津」の舞台制作を通して-

活動代表者

横浜初等部教諭 井谷佳代

本プログラムは初等部生を対象に、日本の代表的伝統芸能「能」「常磐津」を通して、日本文化への理解を深めることを目的としています。導入期4年生は舞台鑑賞、講義、日本古来の楽器演奏、発声法、礼儀・作法を体験します。5年生希望者はコース別稽古を行い、翌年6年生は、英国交換留学生への舞台発表を行います。

活動内容

 本プログラムは【導入(4年生対象)】【実践(5年生対象)】【発表(6年生対象)】の三つの柱で行い、いずれも学外から日頃第一線で活躍している伝統芸能の専門家を講師としてお願いした。
講師:「能」 講演者・演者 佐野玄宜(宝生流能楽師)
   「常磐津」 講演者・演者 常岡亮(常磐津節十七代目家元後嗣十二代目常磐津小文字太夫)
*講義内容によって、鑑賞会や楽器体験の際に必要な演者や奏者は、公益社団法人宝生会および常磐津協会から必要人数を派遣していただいた。

【導入(4年生対象)】
 「能」「常磐津」を演じる際に必要となる「謡」「仕舞」「三味線」「唄」の歴史と役割、楽器の構造などを含めた講義・実演を行い、初等部生に舞台や伝統芸能を身近に肌で感じてもらった。
 音楽の授業5回の中で、以下の内容を扱った。
1)2019年2月19日(火)能と常磐津の歴史についての講義(於:第2音楽室)
2)2月21日(木)能の概要と鑑賞(於:初等部講堂)
3)2月26日(火)楽器の構造理解と演奏体験(2コマ、能、常磐津、於:初等部講堂、第1音楽室)
4)2月28日(木)常磐津の概要と鑑賞(於:初等部講堂)
5)3月7日(木)日本の伝統芸能における所作についての講義と実演(於:和室「望雲第」、第2音楽室)
 全5回の【導入】のプログラムを通して、能と常磐津についての歴史や所作について、講義・実演を通して知識を得ることができた。また、能の型や常磐津の台詞の言い回し、5種類の楽器(笛、小鼓、大鼓、太鼓、三味線)体験によって、伝統芸能を肌で感じることができた。
 第2回、第4回では、それぞれ、能「経政」と常磐津「松廻羽衣」を解説付きで鑑賞した。
 能の舞台では、横浜初等部講堂が能楽堂のような緊張感あふれる静謐な空間となった。色彩豊かな装束に身を包み、能面を付けた演者の、わずかな顔の角度が大きな表情の変化につながることを実感した、すばらしい舞台を鑑賞した。
 常磐津の舞台では、日本舞踊に合わせて息の合った浄瑠璃と三味線を聴き、日本特有の間合いや掛け合いを感じ取ることができた。鑑賞前に浄瑠璃と三味線の役割「立語り」「脇語り」「三枚目」「立三味線」「脇三味線」「上調子」についてデモンストレーションを含めて解説を聞き、鑑賞を深める手助けとなった。

【実践(5年生対象)】
 初年度の講義・実演を踏まえ、特に興味を持った5年生有志の課外活動として、能クラスと常磐津クラスを開設し、講師を招いて能24回、常磐津25回の稽古を行った。
 能クラスでは、能の基本であるカマエ・ハコビを繰り返し稽古し、仕舞の稽古を通して基本的な型・所作を学んだ。
 常磐津クラスでは、浄瑠璃と三味線の担当にわかれて稽古を重ねて来年度の舞台発表の準備に備えた。

【発表(6年生対象)】
 2017年度より稽古したことの総まとめとして、初等部講堂にて、2018年10月23日(火)に舞台発表を行い、能クラス「羽衣」、常磐津クラス「釣女」を演じた。鑑賞者は初等部5、6年生、出演生徒の保護者、イギリスからの交換留学生16名と引率教員であった。1年半かけた稽古の成果を披露することができた。
 発表の後、イギリス交換留学生を対象に、発表の際に使用した楽器の体験、能面の紹介などを行い、日本伝統芸能への興味をいざなった。

 

参加者の声

公募プログラム

横浜初等部5年生

三味線は今まで弾いたことがなかったけれど、お稽古を重ねるうちに、だんだんといい音が出るようになって、毎回お稽古の時間が楽しみです。来年度の発表に向け、がんばります。


横浜初等部6年生

能の発表では、仕舞を担当しました。発表直前の講堂でのリハーサルでは、衣装をつけ、照明を浴びる中、緊張で今までの稽古で習った動きが思うようにできませんでした。本番までの限られた時間で、先生のお手本映像を見ながら、動きとタイミングの確認をし、自分の頭の中でイメージして舞台に臨みました。本番では力を発揮でき、無事に舞うことができうれしかったです。

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