2018年度公募プログラム

[システムデザイン・マネジメント研究科]

アジアンイノベーションの国際連携教育プログラム

活動代表者

システムデザイン・マネジメント研究科委員長 前野隆司

いまアジアで実際に起こっているイノベーションをリアルに感じてもらうことが一番の目的です。アジアの大学を訪問して、現地の学生や教員とのワークショップに参加するという、またとないチャンスをぜひ活かして下さい。

活動内容

 当初の計画に基づき、3ステップの教育機会を提供した。まず第1ステップで、2018年8月25日に日吉キャンパスで、米国Singularity UniversityのDirector of Global Grand Challenges であるDr.Nicholas Haan 氏に「アフリカの開発におけるエクスポネンシャルテクノロジーの役目」の講義をしていただき、次に、Singularity University 東京チャプターのDr. Jovan David Rebolledo-Mendez氏に、「アジアや世界の人々の生活を改善するアイデアを提案するためのワークショップ」をしていただいた。30名程の参加者はこのワークショップを通して、世界的なイノベーションの動向に関する概要を知った上で、テクノロジーがどのように社会課題解決に関与するかを自ら考える良い機会となった。最終的にはグループワークを通して、新しいアイデアの創出を体験した。

 次に第2、3ステップとして、台湾の台北市にある国立台湾大学(NTU)を訪問した。初日となる2018年9月8日には、NTUの教員と学生と日本からの参加者の交流会を開催し、翌日のワークショップの導入を行なった。またNTUに設置されたd.schoolの各設備を見学し、デザイン思考に関する活動の最前線に触れることができた。2日目には、慶應SDM教員が講師となって、課題に対してイノベーティブな解決案を創造する方法を学ぶワークショップを開催した。慶應義塾の学生が15名、台湾側の学生と教員等が20名程参加し、混成チームを作って活動した。デザイン思考についての予備知識のある参加者に対して、慶應SDMの全く新しいアプローチを紹介する良い機会となった。また日本からの参加者はNTUの学生の積極的な姿勢に学ぶものが多かったものと思われる。
 最終日にはイノベーション推進の最前線ともいうべき企業や活動拠点3カ所を訪問した。台湾を代表する大手ハイテク企業であるAdvantechの本社を訪問し、CTOから直接、会社紹介と戦略についての説明を受けた。小さなベンチャー企業だったAdvantech社が世界的な大企業になるまでのプロセスを丁寧に説明してもらった。次にXueXue, Unipapaという台湾の中小企業(スタートアップ)を訪問し、創業者らから説明を受けた。台湾におけるイノベーションの最前線を感じることができた。
 今回現地を訪問した15名の義塾の学生達も、この直接体験を通して自分自身の認識を大きく変えるとともに、今後日本が取るべき方策に付いても考え始めており、この意味でも今回の「アジアンイノベーションの国際連携促進と日本におけるイノベーションの実現へのスタート」という目的は達成されたものと考えられる。

参加者の声

公募プログラム

システムデザイン・マネジメント研究科修士2年

今回の研修を通じて台湾のイノベーション最前線の考え方や表現に触れることができ、大変刺激的な体験となった。ワークショップでは、SDMの考え方を学びとろうという強い姿勢と、学生たちの温かいもてなしに感銘を受けた。Advantech Office訪問では、イノベーティブな取組や企業の思想を、どのように分かりやすく伝えるかということに腐心している様がうかがえた。XueXue Instituteでは学校の枠組みを超えた冒険的な試みをいくつも目の当たりにし、イノベーティブな人材をどのように育むかについて考えさせられた。私自身は日本企業の中でイノベーションを起こすための支援活動をしているが、一足飛びに何か新しいものが生まれるのではなく、絶え間ない試みの積み上げが必要なのだということを実感するに至った。このような機会を与えてくださったことに感謝したい。


メディアデザイン研究科修士1年

国立台湾大学見学、NTU d.schoolの学生による活動紹介、システムデザインワークショップ、AdvantechやXueXue、 Unipapaなどの台湾企業への訪問を通して、台湾の最新の動向を学ぶだけでなく体感することができ貴重な経験となった。特に3日目に訪れた、Advantechではエレベータや部屋の空調や電気、鯉の餌やりに至る全てがシステム化され、先進的なオフィスに衝撃を受けた。アイディアや技術を創造するだけでなく、実行に移して生活に取り入れる流れがうまくできている印象を受けたと同時に、日本社会での実装の遅さに問題意識を抱いた。今後日本が世界に遅れをとらないためにどうするべきかを考えていきたいと思う。

未来先導基金の取り組みにご賛同していただける方はこちらをご覧ください。

ご賛同いただける方はこちら

ページの先頭に戻る