2018年度公募プログラム

[教養研究センター]

慶應義塾大学コレギウム・ムジクム カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学生との交流コンサート「ドイツ・バロックの音風景」 の開催

活動代表者

教養研究センター所長 小菅隼人

小菅隼人カナダ、ブリティッシュコロンビア大学の古楽アンサンブルと、日吉で音楽教養教育を受ける学生による声楽アンサンブルと共同で、ドイツ古楽のコンサートを行います。日加の文化交流の新しい形を目指していきます。

活動内容

 演奏に向けて、UBC側では、BOMP のメンバーの学生を中心としたオーケストラが編成された。ソリストには現地の若手を中心とするプロの音楽家が選ばれた。BOMP は2018年9 月の新学期開始より準備を開始しリハーサルを重ねていった。慶應側参加学生の合唱団は、学部1年生から博士課程学生までの24名で編成され、2018年4月より毎週土曜日の授業に加え、春、秋2回の合宿練習も実施した。
 慶應側の合唱団は、3月2日に現地に向け、エアカナダ便で出発し、同日到着。直後に、翌日の演奏に備えてリハーサルを行った。3月3日では、クライスト・チャーチ大聖堂のオルガニスト、ルペルト・ラング氏とともに、日曜礼拝での演奏を行った。ハインリッヒ・シュッツのモテット2曲に加え、後奏曲では佐藤望が編曲した『ふるさと』を合唱した。この曲は東日本大震災のあと、コレギウム・ムジクムが岩手県大槌町を訪れたときにリクエストされて歌ったもの。このときのメンバーのひとり(博士課程、政治学専攻)が、『バンクーバー新報』へのインタビューで「被災者の皆さんの気持ちが伝わってきて、音楽を通した人と人との結びつきを感じました」と当時の様子を語った。当日は、聖アンドリュー・アンド・ウェスレ−教会の夕礼拝でも演奏を行った。
 3月4日よりUBCで、ヴァイマン氏の指導によるリハーサルが始まった。初日は合唱のみで、5日にはソリストとオーケストラの一部、6日にはバンクーバーで活躍する珍しいサグバット(トロンボーンの前身楽器)のアンサンブル、カペラ・ボレアリスが加わった。7日には全員が揃ってのリハーサルが行われた。
 リハーサルの合間にもいくつかの交流と学びの時が持たれた。5日には、バンクーバー三田会主催の歓迎レセプションが開かれ、三田会メンバーに加え、現地の支援者、演奏者、学生、ホームスティのホストが参加した。6日は、日系社会奉仕 NPO の「隣組」を訪れ、ゴードン門田氏より日本人移民の歴史とご自身の体験を学んだ。慶應からUBCへの交換留学生第一号で、カナダの外交官夫人として世界で活躍したコピソン矢飼珠子氏からは、音楽を学び演奏することは、歴史文化を知り、またそれを同時代の人々に伝え、人々と繋がることができる、すなわち人生の縦軸と横軸の両方を自らの中に保つすばらしいことだということを学んだ。7日には、EMV の代表のマシュー・ホワイト氏の講演の時を持ち、古楽の普及とカナダにおけるマネージメントのあり方についての話をしていただいた。慶應の学生はEMV のサポーターの家にホームスティもさせていただき、現地での交流を深めた。
 3月8日、クライスト・チャーチ大聖堂での演奏会は、18:15よりヴァイマン氏、フィッシャー氏、佐藤望とホワイト氏の対談で始まった。19:30からの本番開始までには、約450席の会場をほぼ埋め尽くす人々が集まった。曲目は、ドイツでバロック時代に活躍したディートリッヒ・ブクステフーデの不朽の名作《メンブラ・イェーズ・ノストリ》など。羊の腸から作ったガット弦を用いた弦楽器、温かに奏でるオルガン2台、ハープシコード2台、サクバットアンサンブルに、アメリカからこのためにやってきたコルネット奏者が加わり、いにしえのヨーロッパの響きを聖堂に鳴り響かせた。
 翌3月9日、熱い思いを胸にカナダを出発、翌10日、学生全員無事に成田空港に降り立ったのは、多くの方々の支援があってのことと感謝している。(文責 佐藤望)

参加者の声

公募プログラム

文学部2年

カナダの演奏家と共に音楽を作り、共演したことは大変貴重な経験になりましたが、それ以上に、バンクーバーの社会の中の音楽文化の在り方を見て体験できたことが印象的でした。地元の方が大切にしている礼拝や、ホストファミリーの方の生活の中には常に音楽があると感じました。また、レクチャーやEMVディレクターの方の対談を通して、将来の日本社会における音楽文化の普及についての関心がより一層高まりました。練習やリハーサルの合間に街を出歩いた時なども含め、滞在中の全ての時間から得られるものがあり、かけがえのない9日間となりました。


商学部1年

カナダでの練習は実に刺激的なものでした。特に指揮者からの指示は英語とは思えないほど分かりやすく、言葉での指示・指揮での指示全てに影響を受けました。世界レベルの演奏者に囲まれた本番は純粋に楽しいものでした。練習以外でも、様々な語り継ぐべき経験をお持ちの方のお話を聴いたことは良い経験となりました。カナダ遠征を支援してくださった皆様、共に音楽を作り上げてくださった皆様、そして佐藤先生にこの場を借りて感謝申し上げます。

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