2019年度公募プログラム

[理工学部]

空間デザイン海外研修

活動代表者

理工学部教授 岸本達也

岸本達也海外の古代、中世、近代、現代の様々な建築を探訪し、そのデザインを学びます。事前に勉強し、実際に現地で体験をして、さらにディスカッションを通して理解を深め、自分の言葉で批評できるようになることが目標です。

活動内容

本プログラムは、研修前の1.事前調査、 2.現地の空間デザイン研修、さらに3.研修後のレポート作成の3部からなる。2019年度の研修は、オランダからベルギー、フランス北部を経由してパリまで移動しながら複数の都市を訪問して、現地の空間デザインを学ぶ内容とした。11月から日吉キャンパスおよび矢上キャンパスにポスターを掲示して参加者を募集し、31名の学生の申し込みがあり、理工学部1年1名、理工学部2年7名、理工学部3年17名、理工学研究科修士2年4名、引率教員2名、TA2名を含む35名で研修を行った。

参加予定31名は5つの班に分から、事前調査では、現地の空間デザイン事例について分担して文献調査し、デザイン事例の資料作成を行った。オランダ編(92頁)、ベルギー・フランス編(104頁)、建築家編(56頁)の3つの冊子を作成し、それを持参して現地で確認しながら見学した。

現地の研修期間は2月20日から3月2日までの10泊12日間である。訪問都市は、アムスルダム、ユトレヒト、オッテルロ、ニューウェイゲイン、シンデル、ティルブルグ、ロッテルダム、デルフト、スパイケニッセ(以上オランダ)、アントワープ、ブリュッセル、ゲント(以上ベルギー)、トゥールコワン、リール、ランス、アミアン、ピエールフォン、パリ(以上フランス)である。都市間の移動や地方都市は専用バスで移動しながら参加全員で行動をし、大都市の中心部は公共交通で移動して、班毎に分かれて行動して、出発前に文献調査を通して学習をした建築や都市デザインの見学をした。見学対象は、港湾部などの再開発地区、中世の伝統的な街並み、住宅、集合住宅、図書館、大学、ミュージアム、マーケット、パビリオン建築、記念碑など様々な対象を含んでいる。現地では、スケッチや、写真撮影を行い、各自が空間デザインについて考えるとともに、デザインの特徴や意味について批判的に議論した。特に、シュレーダー邸(リートフェルト設計)、Silodam(MVRDV設計)、デルフト工科大学、ファンネレ工場(ブリンクマン設計)、ルイ・ビトン・ファウンデーション(フランク・ゲーリー設計)、ラ・ロッシュ邸(ル・コルビュジェ設計)、コルビュジェのスタジオ(ル・コルビュジェ設計)、フランス国立図書館ミッテラン館(ドミニク・ペロー設計)では、2または3グループに分かれて少人数で、現地の専門家によるデザインの解説を受けながら見学をした。各建築の設計された歴史的背景、デザイン上の新しさとその意義、完成後現在に至るまで、どのように使用され、どのようにデザインが変更されているかなどの利用の実態など、さまざまな角度からの解説があり、さらに疑問点についての質疑応答を通して、深くデザインについて理解することができた。

最後に、参加者は、帰国後に訪問して見学した空間デザインの事例について、現地で行ったスケッチや写真を用いて記録をレポートとしてまとめて提出をし、空間デザイン海外研修のまとめとした。

参加者の声

公募プログラム

理工学部2年

私は今回の海外研修が初めてのヨーロッパだった。今まで海外の有名な建築を見たことがなかったので、日本では見たことがないほどのスケールの大きさと、独創的なデザインに終始驚いてばかりだった。今までは単なる知識であったものを実際に見ることができ、ヨーロッパ建築の歴史に関する理解を深めることができた。建築を学ぶ際は写真などでみるだけでなく、実際に見に行ってみることがいかに大切さを実感した。今回の貴重な経験を今後の学習に活かせるように努力していきたい。


理工学部3年

海外研修を通じて、最も印象に残ったことは建築は文化と深いかかわりがあるということです。例えば、アムステルダムの住宅は、とても窓が大きいですが、これは何でも隠さずオープンな国民性、または、宗教の理由から来ているそうです。日本では家の中を見られたくないという考え方は、もはや当たり前のような前提となっており、その前提に基づいて建築や家も発展してきました。しかし、日本から遠く離れたアムステルダムでは、当たり前のようにその前提を覆す建築がたくさんあります。また、パリでは都市にも歴史的な建築物が連なっています。都市といえばガラス張りの高層ビルがあって、たくさんの車が行きかっているという私の都市像がいっきに崩れたような感覚になりました。
今まで当たり前だと思って疑ってこなかったことが、実は当たり前じゃなくて、別の答えもあるのだと気づかされた研修になりました。誰にとってもいいと思われる建築の理想形がどこかにあるのではなくて、人や時代の変化に寄り添うように建築も変わっていくものなのだと思いました。

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