2020年度公募プログラム

[文学部]

台湾の大学生と共に学ぶ植民地教育史:戦前・戦後地歴教育の変遷

活動代表者

文学部准教授 前田廉孝

前田廉孝複雑化と緊密化が併進する東アジアで近隣諸国・地域と共生を図る際に旧植民地領有国の日本に求められる歴史認識を,日台の大学生,さらには一貫教育校の高校生も交えながら,共同で模索します。

活動内容

本プログラムは塾生が訪台し,現地で台湾の大学生と交流することを活動の中心としている。しかし,周知の通りに,2020年度に外務省は台湾を渡航禁止地域として指定し,義塾も塾生の海外渡航を禁止している。それゆえに,2020年度に訪台は実現できなかった。但し,本プログラムの中核を担う文学部日本史学専攻前田廉孝ゼミでは2020年7月に国立台北大学蔡龍保ゼミとオンラインでカンファレンスを開催した。台北大学の学生はChanges of History Interpretations in Taiwanese Textbooksと題したプレゼンテーションで戦後台湾における歴史教科書の記述内容を解説した。1971年の国連脱退と1987年の戒厳令解除で台湾の歴史教科書は記述内容が大きく変化し,台湾の「自国史」は「中国史」から「台湾史」へ変化しつつある。日本でも「自国史」は敗戦で「皇国史観」から転換を迫られたが,「過去」の出来事を記した歴史教科書の内容が「現在」の政治情勢で大きく変わることを塾生は日台双方の事例から理解した。そして,塾生・台北大学の学生間で英語を使用し,ディスカッションを実施した。上記の活動で塾生の国際学術交流に対する意欲はさらに向上した。現時点で2021年度は訪台を含む当初計画通りの活動が可能になると想定し,鋭意来年度の交流へ向けた準備を進めている。

参加者の声

公募プログラム

文学部日本史学専攻4年生

2019年夏より私たちは国立台北大学の学生たちと“歴史教科書問題”についての学術交流を行ってきた。交流に先立つ準備として,テーマに関する様々な問題についてプレゼンを毎週作成し,英語で発表,討論まで行うというハードワークをこなしてきた。しかし,実際に現地の学生と顔を合わせると,彼らの気合の入りように我々一同驚かされた。中途半端なプレゼンをするわけにはいかない,と私たちも連日連夜準備を行った。そして当日,悔いの残る部分もあったが,各メンバーがベストを尽くし無事に今回のプロジェクトを終えることができた。私たちのプレゼンの後に行った質疑応答では,“歴史認識問題”や“台湾の歴史教育”などについて非常に熱い議論が交わされ,お互いの学生にとって有意義な時間になった。“歴史教科書問題”をめぐるディスカッションは日台関係など東アジアの将来に関する議論へ発展し,台湾の将来について学生たちからその想いを聞くことができたのは,とても印象的な出来事だった。香港の問題を念頭に「今日の香港,明日の台湾」というセリフを何度も口にしている同世代と話して,未来志向の日台関係を築く重要性を改めて認識した。

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