2010年度 未来先導チェアシップ講座

歴史のなかの人口・経済・環境(野村證券チェアシップ講座)
(Population, Economy, and Environment in Historical Perspective)

講義の趣旨

本講座は、国際比較およびグローバルな分析枠組みのもとで、人口と経済・環境との多面的関係を歴史的視点から理解することを目的とした。ここで言う「歴史的視点」とは、過去に遡るのみならず、現在および将来までをも考察対象とする長期的な視点を意味する。そのためこの講座では、内外の著名な学者を招聘して、人口と経済・環境をめぐる多様なテーマで講演が行われた。塾内外の研究者および大学院生を中心として、ジャーナリストを含め毎回平均約20名の出席者があった。今後、本講座開催に向けて、各方面へのさらなる広報活動が望まれる。

場所: 慶應義塾大学三田キャンパス
対象: 大学教員、研究者、大学院生(経済学研究科大学院生は単位取得可能)
主催: 経済学研究科

コーディネーター

中村 慎助(経済学研究科委員長)
小室 正紀(経済学部長・経済学研究科委員)
津谷 典子(経済学研究科委員)
速水 融(慶應義塾大学名誉教授)

講義日時・担当者・演題

▪2010年9月30日(木)2時限 速水 融:「歴史人口学との出会い」
▪2010年10月7日(木)2時限 速水 融:「歴史人口学の知見」
▪201010月14日(木)2時限James Z. Lee:“Silent Revolution: Social Origins and Pathways to Elite Education in Peking, Suzhou and Hong Kong, 1949-2008”
▪2010年10月21日(木)2時限 斎藤 修:「森林の経済史(1)」
▪2010年10月28日(木)2時限 斎藤 修:「森林の経済史(2)」
▪2010年11月4日(木)2時限 阿藤 誠:「人口転換と少子化」
▪2010年11月11日(木)2時限 津谷典子:「東アジアの出生力転換」
▪2010年12月2日(木)2時限 Emmanuel Todd:“The World Divided”
▪2010年12月9日(木)2時限 Emmanuel Todd:“The World United”
▪2010年12月16日(木)2時限 河野河稠果:「経済発展、少子・高齢化、そして人口減少:世界と日本」
▪2011年1月6日(木)2時限 Massimo Livi-Bacci:“Momentous Encounter: Europe and America, 1500-1900 (Part 1)”
▪2011年1月13日(木)2時限 Massimo Livi-Bacci:“Momentous Encounter: Europe and America, 1500-1900 (Part 2)”

招聘者ならびに講義担当者略歴

James Z. Lee (ジェームス・リー)<香港科学技術大学人文社会科学部長>

主領域:中国社会経済史、中国人口史。
中国人口史の権威であり、One-Quarter of Humanity: Malthusian Mythology and Chinese Realities 1700-2000(1999年刊行)など米国社会科学史学会賞を受賞した著書をもつ。中国のみならず国際比較の視点からも歴史人口と社会経済の関わりを研究している。

Massimo Livi-Bacci (マッシモ・リヴィバッチ)<フィレンツェ大学教授>

主領域:歴史人口学、人口経済学。
欧州および世界の人口史の権威であり、世界人口史を簡潔かつ統計的に説明したA Concise History of World Population(1997年刊)は、欧米の大学・大学院における人口学の教科書よび参考書として広く読まれている。現イタリア共和国上院議員、イタリア学士院会員。

Emmanuel Todd(エマニュエル・トッド)<フランス国立人口学研究所資料部長>

主領域:歴史人口学、家族人類学。
フランスを代表する歴史学者であり、人口統計と家族構造に基づく斬新な研究で知られる。「最後の転落(La Chute Finale)」(1976年刊)においてソビエト連邦崩壊を予測し世界的に注目された。その後も、「新ヨーロッパ大全(L’Invention de l’Europe)」(1990年)や「世界の多様性(La Diversité du Monde)」(1999年)など数多くの著書がある。

阿藤 誠(あとう・まこと)<早稲田大学人間科学学術院特任教授>

主領域:社会人口学、家族社会学。
わが国を代表する社会人口学者であり、「現代人口学」(2000年刊行)などの著書がある。また、前国立社会保障・人口問題研究所所長でもあり、人口政策および家族政策についての造詣が深い。

河野 稠果(こうの・しげみ)<麗澤大学名誉教授>

主領域: 人口学
日本人口学界黎明期より活躍し現在も牽引する存在であり、わが国を代表する人口学者のひとりである。また前厚生省人口問題研究所所長として、国際的な知名度も高い。「世界と人口」(2000年に第2版刊)および「人口学への招待-少子高齢化はどこまで解明されたか」(中公新書、2007年刊)など、人口学を広め啓蒙するための著作も数多い。

斎藤 修(さいとう・おさむ)<一橋大学名誉教授>

主領域:比較経済史、歴史人口学。
わが国を代表する比較経済史学者であり、近世および近代日本の経済と人口の関係を、欧米およびアジアとの比較史的視点から広く研究している。「比較経済発展論-歴史的アプローチ」(2008年刊行)を始めとして数多くの著書がある。

津谷典子(つや・のりこ)<慶應義塾大学経済学部教授>

主領域:人口学、人口・社会統計学。
少子化および未婚化を中心としてわが国のみならず欧米先進国や他のアジア諸国における人口変動と社会経済変動との関係を研究している。著書にPrudence and Pressure: Reproduction and Human Agency in Europe and Asia, 1700-1900(2010年刊行)、 Work and Family Life in Comparative Perspective(2004年刊行)、「人口減少と日本経済」(2009年刊行)などがある。

速水 融(はやみ・あきら)<慶應義塾大学名誉教授>

主領域:歴史人口学、近世日本社会経済史。
日本学士院会員であり、2009年度の文化勲章受章者である。わが国を代表する歴史人口学者であり、歴史人口学および社会経済史分野で数多くの著作があるが、なかでも「近世農村の歴史人口学的研究」(1973年刊行)および「近世濃尾地方の人口・経済・社会」(1992年刊行)は広く読まれている。

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