2008年度公募プログラム

学部横断環境プロジェクト-瀋陽・成都における環境活動

活動課題(テーマ)

慶應義塾大学9学部を含めた日中の研究者による共同研究の推進と日中の大学の学生が混成チームを作り,共同研究への深い理解とチーム別地球環境問題への取り組みをテーマにした討論等を通じて「実学の精神」の体験と国際交流を図る。
具体的には、(1)日中共同研究でなされた瀋陽市康平県(内モンゴルとの境、瀋陽北西200km)での植林地の実地見学、(2)瀋陽遼寧大学と瀋陽東北大学(研究発表・討論会)との交流、(3)可能であれば、塾長による瀋陽市政府公式訪問と、OGI・国際センター・学生総合センターの協力のもとに正式な瀋陽東北大学との研究・教育の交流枠組の提携検討、(4)専門書で学んだ知識を実際に目で確かめる「実学」教育である。

担当

商学部教授 桜本 光

桜本 光日中の共同研究への深い理解とチーム別地球環境問題への取り組みをテーマにした討論等を通じて「実学の精神」の体験と国際交流を図るのが、このプロジェクトの主な目的です。長い人生を有意義に過ごすために、親友との出会いや自分の生きがいを義塾における学生生活のなかで見出せればと考えています。その中で地球環境問題を少しいっしょに考えませんか。

主な活動メンバー

商学部教授 桜本光
産業研究所教授 吉岡完治
商学部教授 和気洋子
商学部教授 早見 均
環境情報学部准教授 厳網林
商学部准教授 孟若燕
法学部専任講師 加茂具樹
管財部(防災・育林会担当)課長 亀田正純
学生総合センター課長代理 佐藤吾郎
産業研究所研究員 王雪萍
産業研究所研究員 吉武惇二
産業研究所研究員 関根嘉香
塾生 萩原里江 他19 名

事務担当部門

学生総合センター

実施状況

慶應義塾大学10 学部を含めた日中の研究者による共同研究の推進と日中の大学の学生が混成チームを作り、共同研究への深い理解とチーム別地球環境問題への取り組みをテーマにした討論等を通じて「実学の精神」の体験と国際交流を図ることを、本プログラムの主な目的とする。教育・研究の取り組みや塾生たちの自発的な活動など、地球環境問題から、社会環境や生活環境に関する諸問題まで塾内における「環境問題」へのアプローチの実例をもとにその広がりを推進した。従来、春休みに3 泊4 日程度で、我々が北京・瀋陽・成都を訪問し、中国中央政府・瀋陽・成都地方政府および日本(慶應義塾大学・東京大学・東京女子医科大学等)、中国(精華大学・北京大学・社会科学院・東北大学等)と共同研究を進め、また逆に、1 月中旬、慶應義塾大学で、日中環境シンポジュウムを開催し、環境問題に関する国際会議で討論を重ねた。2008 年夏、創立150 年記念未来先導基金プログラムの一環として、「学部横断環境プロジェクト」による塾生の中国瀋陽市訪問(8 月31 日から9 月4 日)が行われ、坂本達也常任理事に同行を願い、瀋陽市を正式訪問し、東北大学と慶應義塾大学との研究・教育の包括協定をし、5 学部・2 研究科の23 名の塾生と東北大学の学生との公式交流をいたし、当初の目的を果たしました。
また、この日中友好林を、国連CDM 理事会の小規模植林CDM の事業として認められる努力もいたしました。ここ数年かけて、PDD(プロジェクト設計書)を作成し、2008 年2 月に、中国国家発展改革委員会と国家林業局および関連部署にたいして説明会を開催しました。6 月には、DOE(CDM 指定運営組織、(財)日本品質保証機構(JQA))による有効化審査と現地調査のため瀋陽に行きました。PDD の多少の修正後、投資国(中国政府、DNA)による承認が得られそうである連絡を9 月初めに受けました。これをうけて、ホスト国(日本政府、農水大臣・林野庁)には、昨年4 月にすでに、説明済みですが、今年3 月末に、国家発展改革委員会の正式な許可が得られたので、修正後のPDD を再提出して、あらためて許可を求めると同時に、DOE を通じて国連CDM 理事会(EB)の正式許可を得る努力を引き続きしていきます。
また、その後、国連CDM 理事会(EB)へのプロジェクト登録、プロジェクト実施者(PP)によるモニタリング・レポート提出、DOE によるモニタリング報告の検証・認証、レポートの審査・確認、EB によるCDM クレジット(排出量認証CERs)の発行認可となれば、我が国初の京都議定書が定めた、小規模植林CDM 事業となります。

成果・目標達成度

日中共同研究者による地球環境問題に関する講義とチーム別地球環境問題への取り組みを、テーマ別討論会を開催することによって当初の目標である、実学の精神に対する理解の深まりが達成できた。また同時に、日中の共同研究者および今回塾と正式に東北大学との研究・教育の包括協定ができたことで、塾生と東北大学の同世代の若者との交流を通じて、越境による様々な両国の環境問題、歴史問題、文化交流を通じた国際的な見識を深めることができた。
将来、(1)国内植林中心の福澤育林会と有機的つながりをもった海外植林への発展と、(2)学生総合センター・国際センターとの連携・協力により、多くの学部生・大学院生への広がりと、塾生・塾員を含めた塾の環境研究・教育の実践へと更に高め、広げることも可能であると考えています。

今後の展望

現在、2002 年から、慶應義塾が進めてきた、瀋陽市康平県(内モンゴル自治区との境)での植林を、京都議定書に定める京都メカニズム(CDM)での国連CDM 理事会による小規模植林に認定されるように、日本国農水省、中国発展改革委員会・国家林業局、および瀋陽市の許可を得て進めている。これが成功すれば、慶應義塾の研究・教育の事業としても、また日本企業に与える効果も、大きなもの(標準的なモデルになる)と期待される。

参加者の声

公募プログラム

法学部法律学科 德光まり

まず東北大学の学生に、とても刺激を受けました。勉強・運動・遊び・恋愛、全てに全力投球をするその姿勢に、若者ならではの気概を感じ、鼓舞されました。また、全ての関係者の方々の、環境問題に対する真剣な取り組み方や活気をみて、「交流こそが活動の基礎」と桜本先生が仰った意味がわかりました。一言でいえば、「人との出会い」が、今回の研修で得られた最大のことだと思います。私は丁度将来の進路に悩んでいましたが、大学院に進んで新聞記者になり、将来特にこのような環境問題への取り組みなど、社会政策を伝えたり疑問を投掛けたりする人間になりたいという気持を強くしました。


法学部政治学科 川本裕美

特に、中国の学生さんとルームシェアをすることで、短い期間に深い深い絆を築くことができました。そして、日本は中国とこれから、ともに仲良く歩んでいくべきだと感じました。私は、以前は、中国というよりも、欧米を意識することが強かったのですが、実際に中国の人から、生きる姿勢をたくさん学ばされました。日本は、今まで欧米に追いつき追い越せという勢いで成長をしてきたと思います。しかし、今回の研修を通して、日本人が忘れかけていたものを中国はしっかりと認識をして成長をしていると思いました。だからこそ、日本は中国から学ぶべきこと、思い出すべきことがたくさんあるということを今の日本人に伝えていきたいです。そして、中国は、日本から得られる技術やグローバルスタンダードを学ぶというwinwin の関係を築いていければと思いました。


文学部人文社会学科 萩原里江

私は来年春から監査法人に就職します。法人から内定を頂いた際に、環境監査の分野へも力を入れるつもりだという話を聞いていたこともあり、今回の体験で環境監査により興味を持ち、ぜひ将来環境監査に携わりたいと思いました。

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