2009年度公募プログラム

海外提携大学との連携による未来先導型薬剤師の育成プログラム- 海外の薬学教員と共に構築する魅力ある大学院教育-

担当

薬学研究科教授 望月 眞弓

望月 眞弓

活動内容

目的、背景

現在、日本の薬剤師は外来調剤を中心に薬局部門の中での業務に終始する傾向が強いが、米国の薬剤師は、調剤などの従来業務はテクニシャンに任せ、主として病棟、手術室、ICUなどに出向き医療チームの一員として活動している状況にある。日本でも徐々にこのような薬剤師活動は増えてきているが、まだまだ浸透していない。大学の教員においても十分な支援が行われているとは言い難い。このような状況下、米国でなされている薬剤師業務ならびにそれを支える教育は、日本における新しい薬剤師業務構築に貢献でき、日本における6年制教育を推進する上においても大いに参考になる。本事業では、国際的視野にたち、新しい臨床業務を開拓することができる薬剤師教育をめざして、米国提携大学から教員を招聘するとともに、本学部の大学院学生を提携校に派遣し、研修を行うこととした。

活動内容、成果

2009年4月~5月 菅家甫子(コンケン大)による医療薬学英語(18コマ)、Barrow J(UNCH)による英語による症例解析と論文評価(16コマ)の演習実施    
2009年6月  海外病院研修への大学院2年生の派遣(1~1.5カ月)
University of IOWA(齊藤隆志、春原佳奈)
University of Washington, Seattle(相田茉莉、小熊美帆)
Texas Tech. University(下村悠佳、徳永葉子)
University of North Carolina(伊賀千夏、安藤菜甫子)
University of Maryland(飯田麻祐子、牧井詠美、梅村里美、
中込早苗、丸山文子)
2009年10月 McDanel D(UIOWA)、Brouse Sara(TTHUSC)による英語での症例研究(各10コマ)
2010年3月  Conference on Clinical Rotation Experience Program at Universities in the USAの開催(於:慶応義塾大学芝共立キャンパス)
2009年4~5月に海外教員により演習を行い医療薬学英語の文法、作文、会話能力の向上に努めたのち、6月から1~1.5カ月、米国の5か所の病院に計13名の大学院修士課程2年生を派遣した。さらに帰国後の10月には海外研修成果の補強および2010年度に派遣する学生の医療薬学英語の能力向上のために海外教員による演習を実施した。2010年3月には海外研修の成果発表および今後の米国研修先大学との連携強化を目的にカンファレンスを開催した。米国からはLetendre D (Pharm.D, Dean and Professor, UIOWA)、Brouse S (Pharm.D, Assocociate Professor, TTHUSC)、Lee S(Pharm.D, Clinical Associate Professor, UW)、Eckel S(Pharm.D, Assistant Director of Pharmacy, Residency Program Director,UNCH)の計4名、タイからKanke M (PhD, Professor Emeritus, Kyoritsu UOP/Visiting Professor, UKeio/ Visiting Professor of Khon Kaen University)を招き、講演をいただいた。
以上の活動を通じて、学生は米国の病院および薬局薬剤師の活動を学び、日米の医療環境の違いを理解するとともに、日本に導入すべき仕組みと、反対に日本の優れた点に気づくことができたと考える。併せて米国の文化に触れ、海外教員や米国人学生との交流を深めることができ、将来にわたって情報交換することが可能となったことも大きな収穫である。
2010年3月に開催したカンファレンスには4名の米国人教員が参加され、学生による米国研修成果の発表を聴いていただき、各大学間の研修の違い、日本人学生を受け入れる際の注意点などを共有化していただくことができた。さらに、各教員からはそれぞれの立場(学部長、臨床系准教授、講師など)から、日米交流の在り方に関する講演をいただき、今後のプログラムの立案に大きな示唆をいただいた。また、本学部教員と米国教員との直接の対話による親睦を深めることもでき、今後の展開につながる交流が行えた。

参加者の声

公募プログラム

薬学研究科修士課程2年

米国研修で保険制度の違いやテクニシャンの存在など日本との異なる面を実際に見られたことは、日本の薬剤師のあるべき姿を考えるよい機会となりました。カンファレンスでは、他の研修先の教員との交流や、研修内容に関する意見交換もでき有意義でした。今後、この経験を生かし、患者に薬剤師の存在意義を実感してもらえるような仕事をしたいと思います。


薬学研究科修士課程2年

海外研修を通して、日本と米国の薬剤師の役割の違いや保険制度の違いなどを学びました。米国の薬剤師の役割は幅広く、日本でも取り入れられることもあると感じました。また、カンファレンスでは研修とは異なる角度から教育について学ぶことができました。今後、この貴重な経験を生かし、幅広い視野を持つ臨床薬剤師を目指していきたいと思います。

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