2020年度公募プログラム

[福澤研究センター]

福澤諭吉と「人間交際」を深めるワークショップ ―歴史を考え、体感する―

活動代表者

福澤研究センター所長 井奥成彦

井奥成彦このプログラムは、高校生から大学院生までを対象に、大阪から九州に至る福澤諭吉の足跡を当センターの教員や所員とともに辿り、慶應義塾の歴史や福澤諭吉について学んでもらうものです。

活動内容

本プログラムでは、参加者は一貫校や大学の学生・生徒、教員の混合で班分けし、①読書会、②フィールドワーク、③実習体験を行う。
①読書会では、福澤諭吉の代表的な著作であり、一貫校の高校生でも理解が可能であると思われ、なおかつ英語版も出ている『福翁自伝』と『学問のすすめ』を取り上げる。班ごとに福澤の思想と重要な関わりを持つキーワードを選択し、そのキーワードの観点から福澤著作を読み、福澤諭吉のオリジナリティーや時代による制約、現代に生きる点などを議論しあい、②③の体験を踏まえて、班ごとの共同報告をまとめる。
②フィールドワーク、③実習体験は、2泊3日の研究旅行として実施する。
②フィールドワークは、福澤諭吉と関係が深い大阪と中津を訪問する。具体的には、『福翁自伝』に登場する場所を中心として関連史跡や博物館等を見学し、福澤の足跡を追体験しつつ、福澤の思想形成や著作に現れた考え方との関係性を検討する。特に地図を手に、班ごとにキーワードの視点を持ちながら、自由な感性で史跡の意味や地理関係などを考えつつ歩く時間を設け、それぞれの視点を写真や地図への書き込みなどで共有しながら、歴史を身体化する工夫を図りたい。
③実習体験は、大分県中津市において、福澤記念館、歴史博物館、新中津市学校、小幡記念図書館、中津市文化財課の協力のもと、福澤や福澤の親族、門下生、知友などの書簡をはじめ、歴史資料の実物を閲覧する。また古文書調査・整理作業に参加し、ふすまの下張り剥がしなど、普段は体験できない、歴史の探究の現場を自ら体験する時間を持つ。この体験によって、福澤の生きていた時代と現代との連続性を、実体験によって身体知化し、単に歴史教科書や文献上の存在から、福澤の存在を実在のものとして再評価する視座を獲得して貰う。
以上の①~③のプログラムを通して、各班ごとに議論し合ったことや感じたことなどを写真や地図などを用いながら視覚的にまとめ、かつ自らがそれをどのように今後に活かすか、また慶應義塾や社会へのあるべき姿の構想としてまとめ、発表し合う。プログラム全体を通して、福澤がsocietyを人と人の間の交際という意味で「人間交際」と翻訳したことの意味を意識することを重視したい。なお、多様な視点・価値観から議論するために、留学生、NY学院生の参加も積極的に促し、中津市では現地の高校生との共同実習や作業の実施も行う。

当プログラムは、一貫教育校生や学生が実際に中津市や大阪市を訪れて、義塾が普段から理念として掲げる「社中」や「半学半教」といったキーワードを実体験として理解し、その意義を深め、義塾の歴史的な存在意義である社会における先導者たるリーダーシップを考える機会を与えるものであるが、新型コロナウイルスの関係で、実際に歴史的な場所を訪れて、フィールドワークや実習体験をすることができないため、すべてのプログラムを2021年度に延期することとした。

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