2023年度公募プログラム

[総合政策学部]

「政策決定を学ぶスクール」としての総合政策学

活動代表者

総合政策学部長 加茂具樹

加茂具樹「実践知」の涵養を教育理念としているSFCにおいて、総合政策学部は自らを「政策決定を学ぶスクール」と再定義し、政策決定にかかわる様々な課題領域、政策決定の主体の知見を集積し、これを「集合知」として広く共有するためのプラットフォームの構築に取り組みます。

活動内容

 自らを「政策決定を学ぶスクール」と定義する総合政策学部において、本プログラムは、複雑な社会現象のなかから課題を発見し、その解決に向けた政策を立案するだけでなく、その実践をつうじて社会を先導する力を備えた人材(「問題発見と問題解決プロフェッショナル」)を育成する教育を補完する試みである。本プログラムは、政策決定に関わる様々な課題領域、政策決定の主体の知見を蓄積し、これを「集合知」として広く共有するためのプラットフォームの構築を目指す。
   本プログラムの第一年目である2023年度は、その秋学期に開講した学部講義科目「総合政策学1」において、本プログラムを実施した。政策ケースを収集し、蓄積したデジタル・アーカイブを構築するための活動に着手した。政策ケースを作成するために本プログラムは、経済産業省、外務省、警察庁、環境省、防衛省の官僚(あるいは官僚OB)を「総合政策学1」のゲスト講師として招聘し、(ゲスト講師)自らが担当してきた政策領域にかかる政策決定について講演を依頼し、聴取した。
 具体的には、外交政策(1990年の第三次対中円借款にかかる意思決定)、経済産業政策(1999年の労働者派遣改正法にかかる意思決定)、警察政策(2020年の国境離島警備隊の創設にかかる意思決定)にかかる政策ケースの作成をおこなった。それぞれ60分の講演を実施し、講演録の文字起こしとともに、講演内容を踏まえた事実関係の整理と関連情報の収集をおこない、政策ケースを3つ作成した。また、政策ケースの作成には到らなかったものの防衛政策(2019年に発表された「研究開発ビジョン」の策定にかかる意思決定)、環境政策(日本の国際資源循環戦略(特に金属リサイクル)にかかる意思決定)についてのヒヤリングを実施し、講演録の文字起こしをおこなった。
 2023年度は、①政策ケースの話し手の確保と、講演の実施、②実際の政策ケースの執筆にかかる作業の実施に注力し、また政策ケースの作成に必要なノウハウの蓄積に努めた。
 また、2023年度は、本プログラムと各官庁との連携体制の構築に務めた。総合政策学部と環境情報学部は、警察庁、総務省、環境省、厚生労働省、防衛省とのあいだで交流人事を実施している。各省庁の関係者との懇談を実施し、本プログラムとの連携の可能性について協議した。その成果を2024年度秋学期の講義で展開してゆく。

参加者の声

公募プログラム

総合政策学部2年生

2023年度秋学期に開講した「日本研究概論1」を履修し、政策ケースを執筆した。執筆をつうじて、当該の政策において中心人物(政策決定者)が誰であるのかを明確にし、その主人公を中心にステークホルダーが政策決定するためにどのように行動したのかを明確にした。この作業をつうじて、政策決定を追体験することができた。また、政策決定に実際に携わった官僚(本講義で招聘した講演者)へのインタビューを実施できたことは、私にとって非常に貴重な体験となった。2024年度春学期に開講される「日本研究概論2」では、「日本研究概論1」で執筆した政策ケースの精度を高めてゆきたい。

未来先導基金の取り組みにご賛同していただける方はこちらをご覧ください。

ご賛同いただける方はこちら

ページの先頭に戻る