2024年度公募プログラム

[福澤研究センター]

福澤諭吉と近世の街を「体験」するワークショップ ― 城下町豊前中津の空間と学問、産業 ―

活動代表者

福澤研究センター所長 平野隆

平野隆このプログラムは、高校生から大学院生までを対象に、福澤諭吉の郷里中津を徹底的に深めます。中津は空襲が無かったため、近世の城下町の区画がよく保存されており、福澤諭吉の『福翁自伝』の世界をたどることが出来ます。福澤の若き日を追体験しながらその思索をたどることは、現在の慶應義塾を考え、皆さん自身の未来を考えることにつながるでしょう。

活動内容

本プログラムでは、2泊3日の研修旅行を行い、参加者は一貫教育校や大学、大学院の塾生、教員が混じりあって行動することを特徴とし、①街歩き、②施設の見学、③古文書実習、④読書会と発表を行う。

①街歩きは、福澤諭吉と慶應義塾草創期の重要な門下生を多数輩出した中津を徹底的に歩き回る時間を設ける。中津市においてまもなくリリースする街歩きのためのアプリや古地図と現代の重ね地図を活用し、『福翁自伝』に登場する場所や福澤、慶應義塾出身者ゆかりの場所、近世中津にとって重要な土地などを意識して、十分な時間をとって古地図と重ねながらその土地を体感する。それぞれの視点を写真や地図への書き込みなどで共有する工夫を設ける。

②施設見学は、福澤や慶應義塾出身者関連の史跡、近世中津の跡を残す史跡に設置された博物館等の施設を見学する。特に中津における蘭学、産業に関する歴史的な建築や展示施設を十分に時間を割いて見学したい。対象施設は、福澤記念館のほか、中津市歴史博物館、村上医家史料館、むろや醤油を想定する。その際、近世の産業史、近世の蘭学史の専門家を招き、解説していただく時間を設けたい。

③古文書実習は、中津市教育委員会の協力のもと、中津において積極的に行われている、ふすまの下張り剥がしを体験する。これは解体された古民家の襖の中に貼られた近世近代の古文書を救出する作業である。中津では非常に多くの実績があり、未解体の襖を保管している。普段は体験できない、歴史の探究の現場を自ら体験する時間を持つことは、福澤の生きていた時代と現代との連続性を、実体験によって身体知化する。

④読書会と発表は、福澤諭吉の代表的な著作であり、一貫教育校の高校生でも理解が可能で、なおかつ英語版も出ている『福翁自伝』を事前に読んでくることとし、①から③の体験からその読み方の変化を共有する時間である。また中津に関わりの深いテキストである「中津留別之書」『学問のすゝめ』「旧藩情」も活用する。ただ散漫にこれらのテキストを読むのではなく、地域社会や空間が人をどのように育てるか、という観点から①から③を総合し、班ごとに討論する。また写真の地図へのプロットなどの工夫をもって気づきを共有し発表し合う時間を設ける。最終的に、教育機関としての慶應義塾の特色を再確認すると共に、その特色を背景に現代社会にどのような問題意識を持つか、というところまで議論し合えれば成功といえよう。
なお、多様な視点・価値観から議論するために、留学生、ニューヨーク学院生の参加も積極的に促す。

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