2009年度公募プログラム

学部横断環境プロジェクト-瀋陽・成都における環境活動

担当

商学部教授 桜本 光

桜本 光地球環境問題を少しいっしょに考えませんか?「実学の精神」と国際交流の体験を、日中の共同研究に対する深い理解と地球環境問題への取り組みをテーマにした討論等を通じて会得していただくのが、このプロジェクトの主な目的です。
長い人生を有意義に過ごすために、親友との出会いや自分の生きがいを義塾における学生生活のなかで見出せればと考えています。

活動内容

目的

慶應義塾大学10学部を含めた日中の研究者による共同研究の推進と日中の大学の学生が混成チームを作り,共同研究への深い理解とチーム別地球環境問題への取り組みをテーマにした討論等を通じて「実学の精神」の体験と国際交流を図る。

背景

従来、春休みに3泊4日程度で、研究者が北京・瀋陽・成都を訪問し、中国中央政府・瀋陽・成都地方政府および日本(慶應義塾大学・東京大学・東京女子医科大学等)、中国(精華大学・北京大学・社会科学院・東北大学等)と共同研究を進め、また逆に、1月中旬、慶應義塾大学で、日中環境シンポジュウムを開催し、環境問題に関する国際会議で討論を重ねてまいりました。2002年度より,夏休みに5泊6日程度で、瀋陽市や成都市を訪問し、研究者、大学院生、日中大学生からなる混成チームをつくり,地球環境問題についての課題を日本語・中国語・英語で発表して,討論を重ねてまいりました。2007年度・2008年度未来先導基金に本プログラムが採用され、2007年8月28日~9月2日まで瀋陽訪問し、森征一常任理事に同行を願い、瀋陽市を正式訪問し、6学部・3研究科の塾生と瀋陽遼寧大学・東北大学の学生との交流をいたしました。また2008年度8月31日~9月4日まで瀋陽を訪問し、坂本達哉常任理事に同行を願い、瀋陽市を正式訪問し、東北大学と慶應義塾大学との研究・教育の包括協定をし、5学部・2研究科の塾生と東北大学の学生との公式交流をいたし、当初の目的を果たしてきました。

内容、成果

2009年夏、創立150年記念未来先導基金プログラムの一環として、「学部横断環境プロジェクト」による塾生の中国瀋陽市訪問(8月30日から9月3日)が行われ、瀋陽市を訪問し、東北大学と慶應義塾大学と公式交流によって地球環境問題を討議し、5学部・3研究科の15名の塾生と東北大学の学生(約30名)との公式交流をし、日中の研究者および同世代の若者との交流を通じて,越境による様々な両国の環境問題、歴史問題、文化交流を通じた国際的な見識を深めることができた。また、この日中友好林を、国連CDM理事会の小規模植林CDMの事業として認められる努力もいたしました。ここ数年かけて、PDD(プロジェクト設計書)を作成し、2008年2月に、中国国家発展改革委員会と国家林業局および関係部署に対して説明会を開催した。6月には、DOE(CDM指定運営組織,(財)日本品質保証機構(JQA))による有効化審査と現地調査のため瀋陽に行き、PDDの多少の修正後、2009年3月に投資国(中国政府,DNA)による承認が得られた。これを受けて、ホスト国(日本政府、農水大臣・林野庁)からも2009年12月に正式な許可が得られた。DOEを通じて国連CDM理事会(EB)の正式許可を得る努力を引き続きしていきます。EBによるCDMクレジット(排出量認証CERs)の発行認可となれば、我が国初の京都議定書が定めた、小規模植林CDM事業となります。

参加者の声

公募プログラム

法学部3年

今回の研修体験は、私にとって“現場主義”の大切さを学べたという意味で大きな意義があったと思います。日本でどれだけ中国のエネルギッシュさを聞いていても、実際に中国に行って、音・におい・人の喋る声を肌で感じてこないことには、その本当のエネルギーを感じることはできません。また、農村がどれだけ貧しいと聞いていても、康平県の土の乾燥具合・色・感触・時にはトイレの状況などを体験してこなければ、そこに何が本当に必要なのか見えてこないと思います。植林の大変さであっても、実際に日本からどれだけ遠くて、どれだけの悪路で、どれだけの風の強さで、ということを感じなければ理解できないのだと思います。 そういった意味で、現場を直接見てくることの重要さを感じることができた今回の体験は、非常に得難いものでありました。


理工学研究科1年

苗木の植わった砂地が立派な林へと育つ様子が、新しい植林地と過去の植林地とを見比べることで面白く実感できました。また、植林が周辺の砂漠に与える影響の大きさに驚かされました。水を蓄えるようになった植林地周辺の土地は、既にトウモロコシ等の耕作地となって砂漠とはまったく違う景色を作り出しており、その変化の様子には林そのものの成長以上に目覚ましいものを感じました。康平県はまだ貧しい地域という印象が強いですが、急激な開発ではなく植林によって土壌から少しずつ豊かになっていくことで、幸せな発展を遂げられると期待しています。

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