2011年度公募プログラム

アジア・プライマリヘルスケア保健医療チーム活動プログラム

活動代表者

看護医療学部准教授 小池 智子

小池 智子医学部・看護医療学部・薬学部合同の海外研修プログラムです。ラオス国をフィールドに医療保健チームとしてプライマリヘルスケア活動に参加して、国際保健を舞台としたチーム・アプローチを体験的に学びます。

活動内容

1)プログラム参加学生
医学部(5名)・看護医療学部(6名)・薬学部(5名)の1~5年生16名が参加した。

2)「アジアプライマリヘルスケア保健医療チーム活動講座」開催(2011年12月~2012年2月)
ラオスの保健状況や感染症対策、プロジェクトマネジメント等の講義をうけ、ラオスの問題・課題(ニーズ)と活用資源(アセッツ)等についてグループワークを行った。

3)ラオス・プライマリヘルスケア保健医療チーム研修
(1)現地研修期間:2012年3月12日(月)~3月22日(11日間)
(2)現地研修内容
ラオスの国際保健セクターにおける医療チーム活動に焦点を置き、WHO等の国際機関、ODA、NGO、企業のCSR(Corporate Social Responsibility)などの活動現場を訪問し、プライマリヘルスケアを基盤とした開発援助活動を総合的に学んだ。特に、村でのフィールドワークでは、三家族を訪問して生活習慣や健康に関するインタビューを行い、保健指導を実施した。さらに、プライマリケア、二次医療、三次医療の各領域で、医師・看護師・薬剤師個別の役割のみならず保健医療チームとしての活動を体験的に学んでいる。主な訪問機関と内容は以下のとおりである。
1)JICA(独立行政法人国際協力機構)
a. ラオスにおける海外青年協力隊(JOCV) の活動の見学と職員とのディスカッション

  • 首都ビエンチャン:母子保健病院訪問(三次医療)、サイタニー郡病院訪問 (二次医療)、サイタニー郡のヘルスセンター訪問(一次医療)
  • チャンパサック県:保健科学短期大学、チャンパサック県病院訪問(三次医療)

b. JICAプロジェクト

  • 「保健セクター事業調整能力強化フェーズ2」、「母子保健統合サービス強化プロジェクト」

2)国際機関WHOラオス事務所:ワクチンと予防接種プログラム等の講義とディスカッション
3)NGO「日本地雷処理を支援する会」ラオス事務所、Jhai Cafe Farmer's Cooperative訪問
4)ラオ・ツムラ:生薬栽培の見学の他、不発弾処理、中学校建設等のCSR活動について聞いた。
5)ラオス保健科学大学との交流カンファレンス:それぞれの大学の医学・看護学・薬学教育について紹介をし合い、活発なディスカッションを行った。
6)チャンパサック県パクソン郡バンノン村でのフィールドワーク
(3)研修成果報告会:帰国後3月27日に開催。三学部の各部長、教員、学生等約40名が参加した。

4.成果
医療系学部のInter-professional Education としての海外研修プログラムは、国内においてはほとんど例がない。一学部で開催した過去2回の研修プログラムの成果と比較しても、医学・看護学・薬学の各視点に立って交わされるディスカッションを通し、開発援助をより広くとらえ持続可能な援助活動について理解が深くなってきている。発展途上国では、高度先進医療の提供は限られるため、保健衛生教育や基礎的な医療へのアクセスがより重要な課題となる。保健セクターに関わるあらゆる職種が協働してこの活動に従事しており、これらの姿にチーム医療の本質を見いだした学生も多い。また、村でのフィールドワークの体験は、健康や豊かさと幸福について考える機会となった。参加者全員が三学部での研修の効果を高く評価し、プログラムの継続を希望している。

参加者の声

公募プログラム

医学部4年

ASEAN加盟国中、最低のGDPであるラオスだが、そんなラオスの保健を含む生活の実情、また、支援している方々の活動の様子や思いを、自身の目で見、耳で聞き、肌で感じることが出来た体験はかけがえのないものであったと実感している。これからの国際保健の担い手となる慶應の医療系学生が、より幅広い視野を持ち、多面的に物事を捉える能力を習得する為にも、このプログラムがこれからも続行し発展していくことを心から願っている。


看護医療学部2年

違いを超えた共通を忘れてはならない。人間としての喜びや悲しみは、民族や宗教を超える。保健医療分野は、人間としての共通の幸せに貢献できる分野だと思った。違いを超えた共通は今回の3学部合同のチーム構成にも当てはまる。研修中に出た質問や会話の視点から、改めてそれぞれの専門性を感じることができたと同時に、人々の生命や健康を守りたいという気持ちは共通するということを実感した。共通の目的に向かって、様々な考え方やアプローチをしていくからこそチームなのだと思った。

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