2017年度公募プログラム

[横浜初等部]

児童の感性を育てる -日本の伝統芸能「能」と「浄瑠璃」の舞台制作を通して-

活動代表者

横浜初等部教諭 井谷佳代

本プログラムは初等部生を対象に、日本の代表的伝統芸能「能」「浄瑠璃」を体験し、日本文化への理解を深めることを目的としています。導入期の4年生は舞台を鑑賞し、講義を通して知識を得ると共に、日本古来の楽器、発声法、礼儀・作法を体験します。前年度導入プログラムを経た5年生は、希望者を対象に「能」と「浄瑠璃」のコースに分け、それぞれ年間27回の稽古を行い、次年度の発表に備えます。

活動内容

本プログラムは【導入(4年生対象)】と【実践(5年生対象)】の二つの柱で行い、いずれも学外から日頃第一線で活躍している伝統芸能の専門家を講師としてお願いした。
講師 「能」   講演者・演者 佐野玄宜(宝生流能楽師)
   「浄瑠璃」 講演者・演者 常岡亮(常磐津節十七代目家元後嗣十二代目常磐津小文字太夫)
*講義内容によって、鑑賞会や楽器体験の際に必要な演者や奏者は、公益社団法人宝生会および常磐津協会から必要人数を派遣していただいた。

【導入(4年生対象)】
「能」「浄瑠璃」を演じる際に必要となる「謡」「仕舞」「三味線」「唄」の歴史と役割、楽器の構造などを含めた講義・実演を行い、初等部生に舞台や伝統芸能を身近に肌で感じてもらった。
音楽の授業5回の中で、以下の内容を扱った。
1  2018年2月13日(火)能と常磐津の歴史についての講義(於:第2音楽室)
2  2月20日(火)楽器の構造理解と演奏体験(2コマ、能、常磐津、於:初等部講堂、第1音楽室)
3  2月27日(火)能の概要と鑑賞(於:初等部講堂)
4  3月6日(火)常磐津の概要と鑑賞(於:初等部講堂)
5  3月13日(火)伝統芸能における所作についての講義と実演(於:和室「望雲第」、第2音楽室)
全5回の【導入】のプログラムを通して、能と常磐津についての歴史や所作について、講義・実演を通して知識を得ることができた。また、能の型や常磐津の台詞の言い回し、5種類の楽器(笛、小鼓、大鼓、太鼓、三味線)体験によって、伝統芸能を肌で感じることができた。
第3回、第4回では、能「殺生石」と常磐津「松廻羽衣」を解説付きで鑑賞した。
能の舞台では、簡潔ながらも本格的な大道具を準備し、横浜初等部講堂が能楽堂のような緊張感あふれる静謐な空間となった。色彩豊かな装束に身を包み、能面を付けた演者の、わずかな顔の角度が大きな表情の変化につながることを実感した、すばらしい舞台を鑑賞した。
常磐津の舞台では、日本舞踊に合わせて息の合った浄瑠璃と三味線を聴き、日本特有の間合いや掛け合いを感じ取ることができた。鑑賞前に浄瑠璃と三味線の役割「立語り」「脇語り」「三枚目」「立三味線」「脇三味線」「上調子」についてデモンストレーションを含めて解説を聞き、鑑賞を深める手助けとなった。
【実践(5年生対象)】
初年度の講義・実演を踏まえ、特に興味を持った5年生有志の課外活動として、能クラスと常磐津クラスを開設し、講師を招いて能27回、常磐津28回の稽古を行った。
能クラスでは、能の基本であるカマエ・ハコビを繰り返し稽古し、仕舞「紅葉狩」「嵐山」の稽古を通して基本的な型・所作を学んだ。
常磐津クラスでは、浄瑠璃と三味線の担当にわかれて稽古を重ねて来年度の舞台発表の準備に備えた。

 

参加者の声

公募プログラム

横浜初等部4年生

能「殺生石」を見ている間、ちがう世界にいるような気がしました。今まで能にはあまり興味がなかったのですが、初めて見て興味を持ちました。子守唄のようなしずかなところもありました。石がわれたところや〈たまものまえ〉のはやがわり、みかどやお供のせりふの長さにおどろきました。1人1人の声にかんじょうがこもっていて、とても声が大きくて、びっくりしました。能の舞台が始まる前に、解説の方が「岩がわれてもびっくりしないように」とおっしゃっていましたが、本当にわれた時はそれでもびっくりしてしまいました。また「殺生石」を見たいです。


横浜初等部4年生

常磐津の舞台では衣装が素敵でした。三味線の音色がとてもきれいでひきこまれそうでした。おどりがとてもゆうがでしなやかでした。正座がきれいで自然な動きでした。天女と伯了をえんじている方が声を出さずに物語を表現していて、実際に声を出すより話が面白く感じられました。

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