2008年度公募プログラム

「慶應義塾への導入プログラム」―正課外教育を中心に―

活動課題(テーマ)

本プログラムは2007年度に採択された「慶應義塾への導入プログラム」を継続的に踏襲したものである。 2007年度は採択時期(5月)の関係から春学期から秋学期にかけての実施となったが、2008年度は「導入教育」の名が示すとおり主に新入生を対象とした内容としなるべく早い時期から広報を行いたい。今回は前回コアとした以下のふたつの概念のほかに留学生との交流も目的に加えた導入プログラムを作り出してゆく。

<塾生としてのアイデンティティの獲得>

慶應義塾に入学しながらも慶應義塾が持っている伝統や他大学とどう違うのかを意識している学生は少ない。他の大学にはない義塾独特の気風と塾生生活とのかかわりについて考える場を設け、塾生らしい豊かな学園生活を送るためのきっかけを提供したい。

<学園生活への導入>

学問への導入教育はなされても、学園生活への導入は二の次とされてきた多くの大学で、いま初年次教育の必要性が叫ばれている。塾生の自立に多くを要さなかった義塾においても「個」としての支援が必要な塾生が見られる。自分らしさを認識し良き仲間と塾生生活を謳歌するためのきっかけ作りやアドバイスを投げかける場が必要である。また、学部・学年を超えた塾生同士また教職員との交流によって豊かな人間性が醸成され、「社中協力」の精神が養われることが期待される。

<留学生との交流>

慶應義塾大学では国際化の推進に伴い毎年留学生数は増加している。しかし受け入れている留学生と既存の学生との接点は少なく、特に正課外の場での人間的交流を行う機会は極めて少ないように思われる。留学生が慶應義塾大学および学園生活にとけこみ一般学生との交流を図る場を設け、一般学生にとっても国際的な視野を広げるきっかけとなる場を提供したい。

担当

学生総合センター長 富田 広士

主な活動メンバー

学生総合センター長 富田広士
学生総合センター副センター長(就職部長) 渡部直樹
課外活動委員長 伊東裕司
学生相談室長 増田直衛
学生総合センター事務長 栗谷文治
学生総合センター係主任 山崎健二

事務担当部門

学生総合センター

実施状況

連続プログラム「慶應義塾を知ろう」

1.講演会「慶應義塾を知ろう~義塾の伝統と気風~」
実施日:4月17日(木)
講師:山内慶太(看護医療学部教授)
2.「慶早戦前夜祭~伝統の一戦」
実施日:5月23日(金)
出演者:前島信野球部部長、相場勤野球部監督、野球部ナイン、應援指導部
内容:慶早戦の歴史レクチャー、リーグ戦振り返りビデオ上映、野球部監督・主将挨拶、野球部ナインパネルディスカッション、應援指導部による応援指導およびステージ、若き血斉唱
3.公開座談会「挫折を楽しむ~カウンセラーからのメッセージ特別編~」
実施日:6月12日(木)
出演者:増田直衛(学生相談室長)、手塚千鶴子・平野学・菊住彰・村部妙美・西河正行(学生相談室カウンセラー)
4.講演会「大学時代の自分育て、自分磨き~卒業後の進路に備えるキャリア開発とは~」
実施日:7月7日(月)
講師:宮城まり子(法政大学キャリアデザイン学部教授/塾員)

合宿企画「塾生交流in立科2008」

実施日:9月10日(水)~12日(金)
場所:慶應義塾立科山荘(長野県)
参加者:学生(1年生)17 名 上級生スタッフ(2~4 年生)8 名 教職員8 名 合計33 名
内容:パネルディスカッション、懇親パーティー、交流企画(自然散策・屋内レクリエーション)、バーベキュー、報告会

成果・目標達成度

本プログラムのコアとなる概念は以下の二つである。
1.塾生としてのアイデンティティの獲得
-他の大学にはない義塾独特の気風と塾生生活とのかかわりについて考える場を設ける
2.学園生活への導入
-目的意識がない、大学生活になじめないといった学生に自立した学生生活を送るきっかけを与える

また上記二つの概念に関連して、塾生同士または教職員との交流によって豊かな人間性を醸成し、「社中」の同士意識の基礎的精神を養うことも狙いとしている。
講演会「慶應義塾を知ろう」、「慶早戦前夜祭」では、まさに塾生にとって義塾への帰属意識の支柱となるテーマをとりあげ、参加者は義塾が持つ伝統への理解をさらに深めたようである。一方、講演会「大学時代の自分育て、自分磨き」、公開座談会「挫折を楽しむ」は、学園生活に悩みを抱えている学生に対して、自立し目標をもったキャンパスライフを送るためのアドバイスを投げかけることも狙いとした。実施後のアンケートによると、各企画とも好評で多くの学生にとって新たな一歩をふみだすきっかけ作りとなったようである。意外であったのは、公開座談会「挫折を楽しむ」が予想以上に参加者が多かったことである。かなり余裕を持ったつもりで準備した会場が満席となり追加で椅子を並べる事態となった。「挫折」というキーワードでこれほどの反応があったことに、大学生活に失望感を抱いている学生、挫折経験から自分を肯定できないでいる学生、自分に自信がもてず積極的に行動できない学生、劣等感を抱いたり自分らしさを獲得できず悩んでいる学生などが、教職員の思う以上に多いのではないかという問題意識を与えられた。
「塾生交流in立科2008」は実施の数ヶ月前から上級生スタッフが実施プログラムを検討し、当日の運営も基本的に学生スタッフが行った。学部・学年を超えて塾生同士が活発に交流し、参加した学生の感想は大変好評であった。特に参加費5,000 円というコストパフォーマンスが魅力的だったようである。価値観の違う塾生や教員と語り合い多くの友人を得たことで、社中のつながりの素晴らしさを実感し義塾へ帰属意識も高まったのではないかと思う。また参加した学生の感想から、多くの学生が新しい友人を作る場が少なく自分の人間関係の輪を広げる機会を欲していることや教員と自由に話をする場を求めていることをうかがい知ることもできた。

今後の展望

今後も、「塾生であるという自覚」「学生生活における目的意識」をいかに学生に抱いてもらえるかを念頭に置きながら個々のプログラムを実施してゆく。
新入生で自分の所属する大学に帰属意識をもっているものはほとんどいないと思われる。大学生が帰属意識を持つに至るには、大学生活において自分の居場所、活動場所を見つけることが第一のステップである。正課外における導入教育では、普段教職員から意識されることのない学生層-目標がなく自分の能力を発揮することがないまま漫然と大学生活を過ごしている学生-に目を向けることを忘れてはならない。他人を見て自分を評価するのではなくしっかりと自分で自分自身のことを考える、また、多くの人と交流し社中のつながりの大切さを実感する、そのようなきっかけづくりを正課外教育においていかに行うことができるのか、引き続き模索してゆきたい。

参加者の声

公募プログラム

法学部法律学科 中村彩(「塾生交流in 立科2008」参加者)

入学当初、内部生の私は外部生と関わるきっかけがなかったため、内部生同士で固まって生活していました。そんな時に「塾生交流」の参加者募集が目に留まり、さっそく応募しました。友達作りが目的で参加して、実際に様々な活動を通して男女問わず仲良くなれたと思います。特に自然散策での、お互いに励まし合い見事登頂することができた山登りによって、絆を深めることができました。バーベキューや花火といった夏ならではのことを、気候の良い立科山荘で経験できたことも良い思い出です。また懇親パーティーも含め、食事が美味しくて大満足でした。そしてパネルディスカッションや発表会は「大学生活は何を意識して、どのように過ごせば良いのか」を改めて考える機会を与えてくれて大変有益なものとなりました。本当にこの交流会に参加して良かったです。上級生スタッフをはじめ、学生総合センターの方々、教授の皆様、ありがとうございました。


商学部 山口美穂(「塾生交流in 立科2008」上級生スタッフ)

私は実施プログラムを計画、運営する学生スタッフとしての参加でしたが、塾生交流を通して、私自身、沢山のものを得ることができました。中でも一番は、友達です。大学では多くの出会いがありますが、塾生交流での出会いは格別でした。携帯のアドレス交換一つで「友達」になれる現代ですが、「真友」にまで至る関係を築くのはなかなか難しいものです。立科で、教職員の方々のお話をきき、そのうえで塾生同士ディスカッションをするという貴重な機会を与えて頂いたことで、互いに、人生について、あるいは、未来について、語り合える「真友」を得ることができました。自然散策、ドッヂボール、鬼ごっこ、クイズなど、特別なものは何も用意しなかったのですが、かえってそれが、友を得るに良い環境であったように思います。無邪気に遊ぶ楽しさや、真剣に語り合う楽しさを、今後の人間関係にも生かしていきたいと思います。

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